デジタルリマスター 2024年5月10日

エレベーターで世界初を目指す (デジタルリマスター)

一気に難易度を上げる

さらに高い山(ビル)ではどうだろう。登山では徐々に高度順応していくのが常だが、企画としてはそんなやぼったいこと言っていられない。いきなりてっぺん級を落としに行こうと思う。

ここ横浜のランドマークタワーには日本一の高さをほこる展望台がある。その高さ69階。

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天高くそびえる峰。

しかも特筆すべきはそのエレベーターだ。時速45キロの速度は現在でも世界トップクラスという。これは攻略しておかねばなるまい。

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登山口。

さっそく受付で入山許可を買った。1000円だった。

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そもそもこういう目的で来る人自体初だろうな。

買ってから気づいたのだが、これ再入場不可って書いてある。

つまり山頂アタックは一度きりということだ。

失敗したらまた入場券を買えばいいことなのだが、さすがに企画とはいえ途中で息しちゃったから、という理由だけであと1000円払う甲斐性は僕にはない。

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750mを無酸素で登りきれるか。

単独、という部分を尊重して、本当は一人で乗りたかったのだが、ここランドマークタワーのエレベーターにはガイドさんがついているのだ。

そういう意味で厳密には単独行ではなくなってしまったが、撮影部隊が僕一人ということで容赦してもらいたい。そしてむしろ周りに人がいたほうが精神的に厳しいということもわかってもらいたい。

果たしてこのプレッシャーの中、単独無酸素登頂は成功するのか。

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こうして鼻を隠して入山します。

ランドマークタワーの地上69階は、先ほどトレーニングに使った大森の17階と、階数だけ比較すると4倍ほどある。この高さをハイスピードのエレベーターが駆け上っていくのだ。不安ばかりが頭をよぎるが、そんなこと考える暇もなくガイドさんがドアを閉めた。

「本日はランドマークタワーにご来場ありがとうございます。このエレベーターは…」

アナウンスが背中から聞こえてくる。僕はおもむろに息を止める。

はい、はじめ!

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なにしろ登山スピードが半端ない。
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星空みたいな天井にも注目。

さすが世界レベルの速度を誇るエレベーター、加速時のGフォースに加え、急激な気圧の変化を耳から感じる。

ガイドさんいわく、最上階まで所要時間約40秒ほどとのこと。

「まもなく到着です。」

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着いた。

なんとあっけなく成功してしまった。

横浜ランドマークタワー、単独無酸素エレベーター登頂、第一号は僕だ(たぶん)。

それにしてもお客が一人しか乗っていないゴンドラで、その唯一のお客が背中を向けて必死で自分撮りしているのだ。ガイドさんには申し訳ないことしたと思っています。

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山頂の風景。
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もう鼻外していいから。
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世界を手中におさめた感があります。

実は僕は登山にはまったく詳しくないのだけれど、それでも徐々にその楽しみがわかってきたような気がしてくる。登山の魅力って自分を追い込むことですよね、たぶん。

次はいよいよエベレストクラスを落としに行きます。

⏩ 次ページに続きます

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