木は放置すると伸びる
家の裏手に木が生えているのは知っていたのだ。
知っていたのだが、それは窓を開けるとチラッと見えるくらいの場所だったので、数年にわたって見て見ぬふりをしてきた。
木のタイプとしては山桜だと思う。春になると花が咲くので、その時期だけは「風流!」とか思って眺めていた。
ところが、である。
先日、ガスの給湯器が壊れたので業者を呼んで付け替えてもらったのだが、その時にふと上を見上げたらたいへんな事になっていたのだ。
桜が、大木になっているのである。
これまで窓越しにしか見たことがなかった桜の木が間近で見るとこんなにでかかったのだ。なにが風流なもんか。ちょっと恐怖を覚えるくらいにでかい。
ドキドキしていったん家に入ったのだが、これは放ってはおけないレベルだぞと思い直し、勇気を出して再び様子を見に行った。繁る葉っぱをかきわけて、根本を見てさらに驚いた。
この木、変な場所から生えているのだ。写真ではわかりにくいのだけれど、我が家と隣の家との境界をまたいで生えてきており、自身の成長でフェンスを押しのけ、結果的に我が家へ入り込んで成長している。
もともとは隣の家の敷地から生えている植物なので勝手に切ってはよくないだろうと、先週の土曜日にお菓子を持ってお隣さんに相談しにいった。
するとお隣さんもこの木の存在を知らなかったことが判明する。
「え!うち桜なんてあるの?知らなかったわー」とのことで、すんなりと伐採が決まった。あとで一緒に見に行ったらお隣さんも木のでかさに引いていた。
ドングリもある
それと我が家にはもう一本、玄関の脇にでかいドングリの木もあるのだ。これは子どもが小さい頃に捨てたドングリから芽が出て育ったもので、当時は面白くて子どもと一緒にドングリさんの成長を観察していたものである。
その後子どもは義務教育を終え部活とかで忙しくなり、ドングリも放置していたら、これもすっかり立派な木になっていた。
木は放置すると素人の手には負えなくなる。
これが今回の記事で最もみなさんに伝えたかったことである。
今回はこの二本の木を業者さんに伐採してもらうことにした。業者さんというのは知り合いの植木屋さんで、この道10年以上のプロである。
木の写真を撮って送ったら「見てみないとわからないが、たぶんいけると思います」とのことだった。その答え方が「余裕だからまかせろ」みたいなこと言う人よりも職人ぽくて信頼できた。
根は枝ぶりから想像できる
結論から言うと、ドングリの木については余裕だった。
とはいえプロの手にかかれば、ということである。僕だったら半日くらい格闘したあげく、負けを認めて放置していたに違いない。横で見ていてそれを確信した。
あまりにも手際がいいので、作業の邪魔にならないよう、いろいろとコツを教えてもらった。
上だけ切るんじゃダメ、抜かなきゃ
木は人間なんかよりもずっと強いので、その場しのぎで地上に出てる部分だけを切ってもまた生えてくる。
しかも一度切った切り株から生えてくる枝は、さらに強くなっている可能性があるのだとか。恨みを養分に変えるのだろうか。だから木を伐採したい時は、地上部分を切るだけじゃなく、根っこから抜く必要がある。
地下の構造は地上の枝ぶりでわかる
木を根っこから抜く場合、地下でどのように根が成長しているのかを知っておく必要がある。植木屋さんいわく「地上の枝ぶりを見るとだいたい想像がつく」らしい。
つまり地上で枝が太いまま枝分かれしているような木の根は、同じように太く枝分かれしているし、細い枝がもしゃもしゃ伸びている木の根は、同じように細い根がもしゃもしゃのびていることが多いのだとか。
伐採した木は他に植える場合もあるし、燃料にする場合もある
抜いた木は、ものによっては挿し木とかして増やすこともあるが、多くは業者に引き取ってもらって燃料として燃やすことになるという。
うちのドングリはどうですかね、と聞いたら「たぶん燃料ですね」とのことだった。ドングリには少し申し訳ない気持ちになったが、せめてどこかで有用に使われてほしいと願った。