友達のつながりとかも一筆書きできる
友達どうしがつながるソーシャルネットワークサービスの場合でも、ハミルトン経路を見つけることができる。つまり、友達を交差点に置き換え、つながっている友達どうしの間に線をひく。
同じ人に二度めぐりあわずに、つながりだけを辿ってすべての自分の友達をめぐることができれば、それがハミルトン経路になっている。こんなふうに、何かがつながっている関係がある場合、いつでも一筆書きを考えることができます。
だからどうしたって話ですけどね。
一筆書きといえば、紙の上でやる迷路あそびの一つだ。
ただ、その起源ともいうべきものは、ロシアのプレーゲル川という川の中洲にかかるいくつかの橋を順番に回れるか、というものであったらしい。
紙の上だけでなく、実際の土地を迷路にみたてて一筆書きをすることができるか。いろいろためしてみました。
※2006年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
とはいえ、一筆書きといえばまずはこういうやつだろう。最初はちゃんと基本を押さえておきたい。
知っている方もおおいと思うけど、一筆書きには簡単なコツがある。点から線が奇数本のびているようなところを探せば、そこが必ず書き始めか書き終わりになる。
そのセオリーどおりに書き進めていったのが、下の図。
この場合、線が奇数本のびているような点(奇点)は、いちばん下のふたつだ。どっちから書き始めてもよくて、行きづまらないようにてきとうに書いていくと、それが自然と答えになっている。
といった要領で一筆書きをこなしていこう。
次の問題からは、外に出ていきます。
上の写真は、家のちかくにあるサミットというスーパーのもの。
このスーパー、なんと入口と出口が別々に作られている。
しかも入口から出ることはできず、出口から入ることはできないという、ドンキホーテみたいな仕組みになっているのだ。
これはもう、入口から出口まで通路を一筆書きで回って買い物をせよという挑戦にちがいないのです。
さて、やみくもに突入してしまう前に、一筆書きをすることが本当にできるのかどうか、調べてみよう。
お店の中の通路を線で、交差点を点であらわした模式図が左のもの。右下が出入口で、左側にレジが並んでいる。
セオリーどおり、前のページで奇点と呼んだ場所を調べてみると、左の図で赤く示したとおり、ぜんぶ10個もみつかる。
じつは、一筆書きができるのは奇点が0個または2個の場合だけということが知られている。つまりこの通路を一筆書きすることはできないのだ。
とはいえ、嘆くのは早い。
一筆書きには、通路をぜんぶ通ることを目的とするふつうの意味の一筆書きの他に、交差点をぜんぶ辿ることを目的する変種があって、そういう歩き方のことはハミルトン経路と呼ばれている。
すなわち、こう。「同じ交差点を二度通ることなく、すべての交差点を辿ることができるか?」
こっちを採用することにしてみると、次のように歩けばOKなのだ。
以上の準備をもとに、サミットの通路をハミルトン経路でたどってみたのがこちら。
やってるときは楽しかったけど、書きながらだんだん不安になってきた。ぼくだけじゃないのか、これ。
心の内の正直な声には耳を閉ざし、次なる舞台へすすみます。
つぎは一気に縮尺を大きくして、首都高速道路を一筆書きしてみよう。
といっても、首都高全体は次の図のようにとても広い。
なので今回は、その中からまんなかの一部だけ、首都高環状線とよばれる部分にしぼって一筆書きをしてみたい。
するどい方はもうお分かりのように、上の図もやっぱり奇点が2個以上あるので、ふつうの意味の一筆書きはできない。なので、上の図で点にあたる部分、各ジャンクションを一回ずつめぐるハミルトン経路を走ってみることにしよう。
とかいいつつ、ぼくは運転は初心者だ。
首都高は枝分かれがいっぱいあって正しい方向に進むのはとてもむずかしい。こういう場合はやはりプロに頼るのがよさそうだ。
タクシーをつかまえて、運転手さんに事情を説明する。
ちなみにこのとき、深夜2時だ(昼間の渋滞を避けるため)。怪訝な顔をされるか怒られるかだろうと思っていたら、
「大丈夫ですよ」とあっさり。
なんでも、以前も同じようなお客さんが何人かいたらしく、「またか」くらいに思ったらしい。世のなか一筆書きブームなのか。
コースの設定は運転手さんにおまかせしてしまった。
以下、車内からのようすを。実際に通ったコースを最後に書きますので、我こそは湾岸ミッドナイトという方は経路を推測してみてください。
といっても分かるわけないですよね。
正解はこうでした。
汐留より先で通っているところは東京高速道路といって本当は首都高ではないのですが、せっかく通れるので通っておいたのでした。
友達どうしがつながるソーシャルネットワークサービスの場合でも、ハミルトン経路を見つけることができる。つまり、友達を交差点に置き換え、つながっている友達どうしの間に線をひく。
同じ人に二度めぐりあわずに、つながりだけを辿ってすべての自分の友達をめぐることができれば、それがハミルトン経路になっている。こんなふうに、何かがつながっている関係がある場合、いつでも一筆書きを考えることができます。
だからどうしたって話ですけどね。
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