デジタルリマスター 2022年7月7日

渋谷川の源流をさがす(デジタルリマスター)

渋谷川が気になる。

東京のJR渋谷駅の手前で地下にもぐり、それっきりまったく地上に姿を現さない渋谷川。

渋谷駅から北はどこを走っているのか?そして源流はどこなのか?

地下の渋谷川の位置を推測しながら、源流をさがしてみました。

2006年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:ダーツで百発百中をめざす(デジタルリマスター)

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

まずはJR渋谷駅から出発

渋谷川を渋谷駅のすぐ南から眺めたのが、こちら。

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川は渋谷駅のすぐ手前で地面の下にもぐってしまい、ここから先ずっと地上にでてこない。

こういうのを暗渠(あんきょ)というらしい。

地下を流れているとはいえ、川はかならずやどこかの経路をとおって、源流からやってきているに違いない。それを探してみたい。

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この先どこへ続くのか

地下の渋谷川の通り道をしめした地図は、どこかにはありそうなものだ。

ただ、今回探したかぎりでは、東京都下水道局のつくっている下水道台帳がそのヒントになりそうだった。

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水色が下水管。赤が渋谷川。

下水道台帳というのは都内の下水道の地図を示したもの。

これによると、どうも渋谷川に平行して大きな下水管がつくられているらしい。たしかに、大雨のときのことなどを考えるとそうするのが理にかなっているような気もする。

そして、下水管があるということは地上にはマンホールが現れているということだ。だから、マンホールを目印に歩いていけば、そのそばの地下に渋谷川があるということになるんじゃないかと思った。

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川らしさを探す

ということで台帳から推測すると、渋谷川は渋谷駅前をこんな風にとおっているらしい。

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駅前の歩道橋から川の下流をみたところ。こう来て、
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こんなふうに上流へ。

ここの地下に川がとおっている、ということを何とか地上から確認できないだろうか。

たとえば、地面に耳をつけると、せせらぎの音が聞こえるとか。

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渋谷駅内の通路に・・
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聴診器をあててみる。
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銀行前。
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自転車置き場。

最初はわくわくしながら聴診器をあてていたけど、途中からはあきらめの気持ちがつよくなってきた。

渋谷川が地下を流れ始める最初の地点のあたりでは、かろうじて水がぱちゃぱちゃとはねる音が聞こえる。

ただしそこから先では、どんなに耳をすましても、こもったような風の音しか聞こえてこなかった。そもそも水そのものがあまり流れていないし、地面のコンクリートもそんなに薄くないんだろう。

渋谷駅から北へ

せせらぎのことはあきらめて、渋谷駅から先に進んでみよう。そして、途中のところどころで、その地下に川があるということをうかがわせるようなものがないか、探してみたい。

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道をわたって宮下公園の方へ。
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原宿付近

渋谷駅から北、原宿の近辺では、渋谷川はだいたいこんな道の地下をとおっている。

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原宿付近。通称キャットストリート。暗くてすみません。
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道の両側にはこんなお店が並ぶ。
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こちらはカフェのようだ。

見つけた川の痕跡

渋谷川は現在では地下を流れているけれど、50年くらい前まではふつうに地上を流れていたらしい。

その痕跡を地上からでも見つけることができる。

まずは、このまがりくねった細い道。原宿の竹下通りや新宿コマ劇場裏の路地などもそうだけど、都会のまんなかにあってやたら細くてくねくねした道には、もとは川底だったものも多い。

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くねくねした細い道はもと川底のサイン。こちらは竹下通り。渋谷川へ注ぐ川だったらしい。

そして、この道と表参道のぶつかるところに、参道橋と書かれた石の塔が立っていた。

以前は渋谷川の上にこの橋がかかっていたのだけど、表参道の整備にともなってはずされたということらしい。

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橋のなごり。
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ちなみに川の音は聞こえるかな……?

懲りずにここでも地面に聴診器を当ててみた。けど、結果は同じ。残念ながら何もきこえてこなかった。

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千駄ヶ谷付近

原宿を抜け外延西通りをわたり、川は国立競技場の横を通っていく。

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国立競技場で選手が走る脇を・・
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渋谷川も走る。(前のページとの間で夜が明けた)

下水管はメンテナンスなどの問題でふつうは道路の下につくられる。こんなふうに道路を外れて普通の緑地の下を通るのは、そこに渋谷川の水路が通っているからこそなのだろう。

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どれどれ。

川の上流はここから先、中央線の線路をくぐり、外苑西通りを再びくぐって新宿御苑へ向かっていく。そのようすを辿ってみよう。

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千駄ヶ谷駅の東、中央線の線路を、
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くぐって来る。手前側が上流。
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そのまま児童公園を抜けて、
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マンションのわきの緑地の下をくぐる。
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公園が荒れ放題

その先の児童公園がたいへんなことになっていた。

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怖い。

草が伸び放題で、鉄棒がうまっている。逆上がりでもしたら、手が草のつゆだらけになりそうだ。

こんな状態になっているのはたぶん偶然じゃない。そこを川が通るということは、つまり水があつまりやすい土地だということになる。しぜんに草も生え放題ということになるなのだろう。

さきほどの
・都会のまんなかにとつぜん細くてくねくねした路地があったらもと川と思え

にひきつづき、

・都会のまんなかにとつぜん草ぼうぼうの細長い路地があったらもと川と思え

というガイドラインを追加しておこう。

新宿御苑へ

そしてその先は新宿御苑につながっている。荒れ放題の緑地、そして地下の下水管を追って、新宿御苑へ向かう。

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千駄ヶ谷付近の下水道地図。青くぬったのが今追っている下水管。左側の緑色の一帯が新宿御苑。
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地上では外苑西通りをわたっていく。

新宿御苑

さっきの草ぼうぼうの路地は、外苑西通りをこえて、新宿御苑の外周沿いに続いていた。

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向こうが下流

背の高い草にまみれながら上流へ向かうと、あるところで追えなくなってしまった。

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御苑の内側から路地を見たところ。まんなかに草の生えていないラインがつづいていて、水の流れがあったぽい感じがする。
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さらに上流を見る。この先で背の高いコンクリの壁に飲まれてしまっていた。

新宿御苑の職員の方に伺ってみたところ、路地が行き止まりになってしまった先は旧玉川上水につながっているらしい。

渋谷川もその流れにつながっていたけれど、現在の水源といえるのは御苑内の玉藻池ではないかとのこと。さっきのところまで引き返し、あらためて玉藻池をさがしてみた。

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ここかな。

さっきの草ぼうぼうの路地から(おそらく)つながって、水の流れが地上に出ているところが見つかった。

渋谷駅前で地下にもぐって新宿御苑まで、ようやくまた日の光にあたることができた、という気がする。

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(おそらく)終点の玉藻池。つかれた。
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苑内でも特に古く、ということだから、源流としてはふさわしそうだ。

本当に正しいかどうか

今回たどってきた経路は、おおまかにはたぶん合ってるだろうと思うけど、細かい部分では実際の川のながれとは違う部分も多いはず。どこかに暗渠の川の流れを書いた地図がないかなあと思っています。

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今回の経路。下が渋谷駅。上が新宿御苑。
地図は国土地理院発行の5万分の1地形図(東京西北部)です。
また、記事内の下水道台帳は東京都下水道局の下水道台帳ホームページによるものです。

 

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