特集 2024年11月16日

渋柿の渋を抜きながら送る方法

柿のおいしい季節ですね。

秋に佐渡島を旅行していたら、柿もぎのバイトをしている友人の娘が、大量の柿と共に帰ってきた。農協に出荷できないハネもの(傷などで出荷できないやつ)をもらってきたそうだ。

「好きなだけあげる!」とのことだが、佐渡の柿は基本的に渋柿だそうで、その渋を抜く方法が興味深かった。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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佐渡の秋は柿もぎで忙しい

佐渡島の秋の名物といえば、おけさ柿である。貝の牡蠣ではなく、果物の柿。

特に佐渡南部の羽茂(はもち)地区を旅していると、オレンジ色のかわいい実をつけた木をよく目にする。

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佐渡島の柿。とてもおいしそうだが、このままだと渋いそうです。

私もよくわかっていなかったのだが、おけさ柿という品種がある訳ではなく、平核無(ひらたねなし)、刀根早生(とねわせ:平核無の突然変異で早く収穫できる)という品種の種無し渋柿が、おけさ柿というブランドとして新潟の農協から出荷されているそうだ。

佐渡島はおけさ柿の出荷量のうち、六割以上を占めているが、本州の新潟で生産されているおけさ柿もあるらしい。詳しくはこちら

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渋柿の渋抜き用の焼酎がある

秋の佐渡南部は柿の収穫で忙しく、農園でバイトをしている人も多い。佐渡在住の友人の娘もその一人で、バイト先からたくさんのハネものをもらってきた。

どれも味に問題はないそうだが、農協に出荷するためには様々な基準があるので、収穫時にかなりの数がハネられてしまうそうだ。

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傷やシミがあったり、規格外サイズだと出荷できない。このケース二つ分もらってきた。

私が訪れていた十月中旬は、まだ早生(わせ)と呼ばれる柿の時期。これからしばらくは柿のシーズンは続くので、好きなだけあげると言われた。

じゃあ一ついただきますと皮を剥いて食べようとしたら、これは全部渋柿なので、渋を抜かないと食べられないよと笑われた。へー。

そういえば柿の渋ってどうやって抜くのだろうと思っていたら、かっこいい柿専用の段ボールをくれた。

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柿専用の段ボール。しっかりとH型にテープを張るのだが、うっかり箱の上下を間違えて貼ってしまった。
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一回り小さい段ボールを中に入れる。

二重にした段ボールの中に、ヘタを焼酎に浸した柿を並べて密封すると、一週間くらいで渋が抜けて甘くなる。

これは昔ながらのやり方で、農協が出荷する場合は、選果場で炭酸ガスを使った渋抜き処理をするそうだ。

使用する焼酎は、アルコール度数47%を誇る『しぶぬき専科』が定番。この時期になると、酒屋やドラッグストアなどで当たり前のように目にする。外国人が柿のリキュールと間違って買わないか心配だ。

ちょっと飲んでみたのだが、特に味や香りはなく、アルコール度数の高いホワイトリカーみたいなものだと思う。酒税法で焼酎は45度までというルールがあるため、スピリッツと表示されているのかな。

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佐渡ならどこのご家庭にもある、しぶぬき専科。

 

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一応飲んでも大丈夫なお酒で、たまに島外から来た旅人がおもしろがって飲んでいるのを見かける。消毒用アルコールの味がするよ。
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佐渡で一番売れているお酒かもしれない。
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HOW TO 渋柿の渋抜き

さっそく柿の渋抜きの方法を教えてもらった。

まず適当な器にしぶぬき専科を1センチくら入れて、柿のヘタ側を浸して、ヘタを下にして段ボールに並べていく。

段ボールの内側にビニール袋を拡げたり、仕上げに霧吹きでかけたり、細かい部分は各家庭で微妙に違うのだとか。

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焼酎に柿のヘタを浸す。佐渡の柿は酒を飲んで渋が抜けるのか。
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味見ができる訳でもないので、浸し具合の加減がよくわからない。
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段ボールに新聞を敷いて、柿のヘタを下にして並べていく。

実際にやってみると、柿のサイズは意外とバラバラで、隙間なく埋めていくのが難しい。あまりぎゅうぎゅうに詰めると、それはそれで傷みそうだし。

大きい柿と小さい柿を組み合わせたり、端っこの柿は横向きにしたり、どうにかみっしり詰めていく。

これが結構楽しくて、そんなにたくさんは食べられないけれど、あと5箱くらい詰めたい気分になった。もし佐渡に住んでいたら、選果場で柿詰めのバイトをしていたかもしれない。

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柿の大きさがバラバラなので、なかなか頭を使う作業だった。これは農協が出荷するものではないので、おけさ柿を名乗ってはいけない。
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硬いヘタで実に傷をつけないように、上段はヘタを上向きにするという選択肢もあるそうだ。
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最後に上から新聞紙をかけて、余った焼酎を掛けてしまう。
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『開箱予定日』に、そろそろ甘くなるであろう日付を書いて密閉して発送する。刀根早生で一週間、平核無で10日くらいが目安とのこと。
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三角や五角の柿もある

これは余談になるが、普通の柿は四角なのだが(言われてみて気がついた)、たまに三角や五角の柿もあるそうだ。

そういう柿は出荷前にハネられるため、商品としては並ばない。世の中には、こういった値段のつかないレア商品がたくさんあるのだろう。

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右が普通の四角い柿(ただし傷があるのでハネられた)、左が三角の柿。ヘタの葉っぱも三枚だ。
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これは珍しい五角形の柿。五角だけに合格祈願のめでたい柿として売れませんかね。

⏩ 渋柿をそのまま食べてみる

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