インド料理研究家が作るグリンピースの丸ごと炒め
5月中旬のある日、多数の著書もあるインド・スパイス料理研究家の香取薫さんが、「グリンピースを莢ごと食べるこのインドの食べ方は私の好物なのです」と、私が知っているグリンピースの食べ方(焼売とミックスベジタブルくらいだが)とはまったく違う料理をSNSにアップしていた。


なんでも無農薬のグリンピースが手に入った場合にだけ作る北インド料理だそうで、「莢(さや)の頭を指でつまんでパクッと口に入れ、前歯でしごいて引っ張って、ドラムスティック(と呼ばれるインドの野菜でモリンガの実)のようにして食べるんですよ。莢が柔らかいとスジしか残らないことも。柔らかくなった豆と莢の内側の実の部分がねっとりしてなんとも美味しい」とのこと。


グリンピースはあまり好きではないのだが(サイゼリヤの「柔らか青豆の温サラダ」以外では滅多に食べない)、この莢ごと料理するグリンピースだけはものすごく食べたい。とても前歯でしごきたい。
あの料理を真似するには無農薬のグリンピースが不可欠。どこかで取り寄せられないだろうかと検索しそうになったが、よく考えたら近所の畑で母親がサヤエンドウ(莢を食べるエンドウの場合の呼び方)やスナップエンドウを育てているのだった。

そろそろシーズン終盤で、もう食べられなくなる頃だなと寂しく思っていたのだが、育ち切って莢が固くなったエンドウの豆こそグリンピースではないかと気がついて畑に急ぐ。
すでに枯れ始めてきている棚には、茶色くシワシワになってきた取り残しの固い莢が残っていた。普段だったらまず収穫しないが、今日はこれがお目当てだ。

その中身を確認すると、パンパンに膨らんだグリンピースが並んでいた。
これは莢を食べるための品種なので、豆だけを食べる前提のグリンピース用のエンドウとは少し違うのだろうけれど、私の舌ならおそらく誤差の範囲のはず。これで再現してみよう。

とりあえず味見をする
香取さんの料理を作る前に、まだ少し莢が柔らかそうなものを丸ごと塩茹でして、その味を確認してみる。


茹でた莢を開いて確認すると、しっかり育ったら豆はもちろんだが、鞘の内側のねっとりした部分がうまそうでたまらない。

頭部分(茎側)を摘まんで前歯でしごいてみると、筋だけを残して莢ごと口に飛び込んできた。違う。
鞘の固い部分だけ残すという、やりたかった食べ方が叶わなかったものの、ここまで大きく育ったからこその濃い味を、鞘と豆の両方で味わうことができた。
私が思っていた以上に、サヤエンドウやスナップエンドウの収穫時期は遅くてもいいのかもしれない。この食べ方だと事前に筋をとらなくていいから楽という気づきがうれしい。今後はこうやって食べよう。
