特集 2025年5月29日

限界まで細長くしたパワポでプレゼンしたい

パワーポイントのスライドのサイズは自由に変えられます。
試しにめちゃくちゃ細くしてみたら絶対にスライドとして適さない縦横比になったので、むりやり資料を作って発表してみました。

目を細めてご覧ください。

1999年生まれの人類。記事を書いたり短い動画を作ったりしている。
室内用サインプレートと国語辞典、絵本が大好き。酒が苦手。
飲み会でオレンジジュースを6杯飲み、同僚に心配されたことがある(果糖の過剰摂取を)。

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「デザイン」から縦横比を変えられる

パワポは、実は縦横比を自由に変えられるのだ。

a.png
「ユーザー設定のスライドのサイズ」を選ぶと自由に変えられる。ちなみに2016年のOfficeを使っているので、最新のものとは違うかもしれません。
b.png
高さをMAXにし、幅を限界まで狭めると、
c.png
こうなる。細い!!

スライドが細い。それだけでここまで面白くなるものなのか!
縦に細いバージョンと横に細いバージョンの資料をそれぞれ作って、会議に持っていきました。

①縦長「キリンについて」

d.JPG
「お願いします」
e.JPG
「うわぁ~~~~~~~~~~!!」
一斉に身を乗り出す聴衆(手前から爲房さん、べつやくさん、石川さん、橋田さん、西村さん)
f.JPG
「~について」という語感が持つ弱々しさを助長している。弱い!プレゼンというよりむしろ学習発表会である。
g.JPG
「え~、キリンはアフリカのサバンナに生息する哺乳類です。」

h.JPG

かつてこんなに苦しそうなキリンを見たことがあっただろうか。

縦長だからと安直にキリンをテーマに選んでしまったが、実はキリンはそんなにまっすぐじゃない。顔と首、そして体までをこの幅におさめるのはとても難しかった。きっとこのキリンは息を止めている。

i.JPG
「特徴的な長い首は7個の頸椎からできていて、」
j.JPG
「一番下の胸椎も支えになっています」
k.JPG
「おお~~!」「この図は縦長にちょうどいいね!」

んちゅ「続いて血圧についてです。」

l.JPG
「2mも上にある脳に血液はちゃんと届いているのか?」「なんかこれポエムっぽいですね」

林さんにポエムっぽいといわれて気づいたが、確かに短歌みたい!キリン血圧短歌だ。後半が下の句ですね。縦に一行で書くとポエムっぽさが強調されるな。

んちゅ「キリンの血圧はとても高く…」

m.JPG
突然首を傾ける爲房さん
n.JPG
なぜならこの数字がとても見にくいから

文字をちょうどいい大きさやフォントにするのが難しく、数字がちゃんと見える書き方はこれしかなかった。数字が縦なのも、縦書きのスラッシュなどもう意味不明なのも全部見にくい。聴衆が全員首を痛めてしまう。なんだこれ!

ちなみにこのスライド内で一か所脱字があり、「ここ間違えてて見づらいんですけど…」と言ったら全員から「そういう問題じゃないよ!」「脱字とか以前にずっと見づらいよ!」と励まされました。

んちゅ「最後に、キリンの模様は個々で異なっています。そのため指紋認証の代わりに首認証が使われていると考えられます。認証方法はおそらくこうです。」

o.png

p.JPG
「何?!」「見えない!」「スマホを?」「あぁ~!」「上から落としてもいいんじゃない?」
r.JPG
「以上です。ありがとうございました!」
s.JPG
「うわすごい!!!」「これも縦になるんだ!!!」

スライドショーを終了すると出るメッセージも無理やり縦書きになっている!句点(。)やオンビキ(ー)、そして「ッ」もおそらく横書き用で、縦にされることが想定されていない。色んな文字を寄せ集めた怪文書みたいになってしまった。無理させてごめんよ。

q.jpg

②横長「気になることばについて」

横長は横書きの文字の画像を入れやすそうなので、「最近気になったことば」をテーマに発表してみた。

t.JPG
「お願いします!」
モニターが横長なのも相まって、さっきよりもちょっと見やすい。
u.JPG
まず、「お入口」についてです。
v.JPG
「お入口?」「それは何?看板?」「そんなのあるんだ」
画像と文言の両方に疑問をもつ聴衆
w.JPG
「わたしの体感をグラフにしたものがこちらです。」
x.JPG
「”お入口”を耳にする回数は”お出口”に比べて少なく…」(縦棒グラフ)
y.JPG
「あ、これグラフなの?!」「縦棒グラフ?横棒じゃなくて?」「何か書いてあるけど全然見えないな」
z.JPG
「母音の連続、言葉自体の使用頻度なども関わっていると思いますが、まぁ”書いた人が昔叱られてトラウマになっている”説が有力でしょう。」
「どういうこと?」

横書きだとこのような矢印型フローの図がしっくりくる。聴衆にも(内容はともかく)わかりやすいと好評だった。この形式を使いたかったがためにひねり出した説を、有力候補として堂々と紹介しました。

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んちゅ「続いて、スーパーで”果肉が高い(肉厚)”という表現を見つけました。」

あ.png
写真だとわかりにくいのでスクショで見てください

んちゅ「わたし一人にアンケートを取った結果、100%のわたしが果肉が豊富な様子は”厚い”と言うと回答しました。」

い.JPG
円グラフを無理やり詰め込んだ
う.JPG
「選挙の議席数みたいじゃないですか?これ」

ちなみに円グラフについて、石川さんから「円の上部を見せないと100%であると証明できないよ」としっかりとしたフィードバックをいただいた。確かに!確かにそうだけど、こんなフィードバックを受けたのは世界初じゃないか?
「ほっそいスライドに円グラフを載せる」という変な条件が揃わないと得られない、月食ぐらいレアなアドバイスをゲットした。うれしい。

え.JPG
「果肉ですが、横から見ないと高低で表せないと思うので、果物を横から見る習性がある人が”高い”と表現したと考えられます。」
お.JPG
吹き出しが横に伸びている
いったん広告です

んちゅ「最後に、”毛穴はツルリ”と書かれた洗顔料についてです。」

か.JPG
「毛穴はツルリ。では毛穴以外は?」
き.JPG
「おそらく”ゴワリ”ではないでしょうか。」
く.JPG
「真ん中のは…顔?」
獲物を狙う獣くらい眼光が鋭いべつやくさん
け.JPG
「もしくは、”毛穴以外が五割(ゴワリ)”という説も有力です。」

ここでも、円グラフを入れたいがためにひねり出した説を胸を張って紹介した。
グラフと凡例の色が逆である見づらさを詫びようとしたが、どうせ見えないのでやめた。

こ.JPG
「まとめです。」「それ箇条書きか!」「横だと全然箇条書きっぽくないね」
横一行で箇条書きにしようとすると、こうするしかなくなる。学びを得た。
さ.JPG
「以上です!ご清聴ありがとうございました。」

し.jpg

情報は共有しづらいが、楽しさは共有できる

スライドは細長すぎると情報が全く伝わらない。なんせ見えないから。

ただ、見えない!なんだこれ!とワイワイするのが終始とても楽しかった。おそらく印象にも残ることでしょう。

今後もし爪痕だけでも残したい商談があったら、細長いスライドを使うことにします。

せ.JPG
編集画面を見せている写真がパソコン教室のフリー素材みたい
そ.JPG
「この円グラフ、上を見せたほうがいいよ」大学時代を思い出した。
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
パワポの遊び方で、スライドそのもののサイズが変えられるというのは盲点でした。スライドに合ってないグラフを入れるだけでこんなにおもしろいなんて!
縦横比に気を取られますが、気になった言葉のスライドがおもしろいこと、見ているライター陣がネットミーム(外国人の観客)のようになっていることにも気づいてください。(林)

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