渋柿をそのまま食べてみる
さてこの佐渡の柿、渋を抜かないと食べられないと教わったが、どれくらい渋いものなのだろうか。
もしかしたら渋柿って言っておかないと、柿畑になっている実を食べられちゃうから(誰に?)、佐渡の柿は渋いという伝説を作っているのでは。
見た目もすごく甘そうなので、あえてそのまま食べてみた。
結果から言うと、想像以上に食べられたものじゃなかった。
口に入った瞬間はしっかり甘いのだが、その甘さの上から渋味が勢いよく襲ってきて、ずっと口の中がザラザラザラザラする。
渋いというか、ザラザラした異物の嫌悪感がすごい。味じゃなくて刺激だ。そして歯がずっとギシギシギシギシする。渋抜き用の焼酎と一緒に食べても無駄だった。即効性はないらしい。
なるほど、これが渋柿本来の味なのか。渋味が甘味になるのではなく、もともと甘さもあるけども、それ以上に渋さがあるようだ。渋抜きの方法を見つけた人、えらい。
見た目はまったく変わらないので、ロシアンルーレットに最適なのでは。
ついでに完熟してぶよぶよになった柿があったので、試しにこれも食べてみたところ、こちらは渋味のない甘いジュレになっていた。
どうやらアルコールや炭酸ガスで処理をしなくても、完熟させれば渋は抜けるものらしい。どのタイミングなんだろうね。
ちなみに干し柿を作る際は、わざわざ事前に渋抜きをせずとも、干すことで渋が抜けるのだとか。また元々甘い柿よりも、渋柿の方が一般的に糖度が高いらしい。柿の世界は奥が深いな。
届いた柿を食べてみる
そして一週間後、自宅に届いていた段ボールを開封すると、記憶よりも鮮やかに色づいた佐渡の柿が並んでいた。
熟し方がバラバラなので、柔らかくなっているものから取り出して、皮をむいて食べてみる。
果たして、あのザラザラする渋は抜けているだろうか。
よかった。ちゃんと渋は抜けていた。
佐渡の郵便局から送った渋柿が、アルコールを吸いながら海を渡り、時間を掛けて甘くなったのだと思うと、なんだかとても感慨深い。
現在の物流だと送った翌日に届くけど、昔は届いた頃がようやく食べ頃だったのだろうか。
さすがにこんなには食べきれないので、しばらくは会う人にあげていたのだが、みんな「柿だ~!」と喜んでくれた。