数年ぶりに実家に帰った
僕が育ったのは京都市伏見区の向島という地域。かつては京都屈指のガラが悪いスポットとして名を馳せていたが、現在は何の変哲もない住宅街である。
住んでいて治安の悪さを実感したことはないけれど、バイト先で絡まれて「車で連れ去られるか土下座するかお前が選べ」と選択を迫られたことがある。
土下座で済むならラッキー!くらいに思ったが、頭を蹴られてはたまらないので結局どちらも拒否した。
通学路はお金のかからないテーマパーク
余談はさておき、地元の学校の通学路を久しぶりに歩いたら、風景が昔とあまりにも変わっていなくて自然と当時の遊びや楽しみが思い起こされた。
僕は自己の連続性が希薄なほうだ。昨日の自分と今日の自分が同じ人間だという感覚がいまいちよく分からない。毎朝違う自分が生まれている気がする。
だが、通学路を歩いたとき、数十年前の体験や記憶がたしかに同じ体の中にあるのだという実感が持てて楽しかった。
そんな思いができる場所は他にない。歩くだけならお金もかからないし通学路は最高のテーマパークなんじゃないか。タダに勝るものなんてないし。
それでは早速、臆することなく個人的な昔の遊びを紹介させていただこう。
車道脇のタイヤ道を歩く
車道の脇に廃タイヤが並べてあり、この上を歩くのが定番だった。ホイールがついていないものは軽くてグラグラするのでバランスよく進まなければならない。
タイヤを持ち上げて転がすヤツもいた気がする。雨の日の後なんかは中に水が溜まっていて、そこに足をつっこんで靴がグチョグチョになることもあった。
しかしこれ、何のために置かれているものなのだろう。写真にはうまく写っていないが数十メートルはタイヤの道が続いているのだ。
「私有地だから歩いちゃダメ」と言われる階段の攻略
歩道の脇に階段があってここを降りると学校までの距離を少しだけ短くできるのだが、「下のお宅の物だから歩いてはいけません」と先生がよく言っていた。
しかしこのゲームには必勝法がある。
階段のないところを歩けばいいのだ。慣れていない低学年の子は傾斜につまづいて泣いたりしていた。これでいいのか、初等教育。
ブロックのパターンを見抜こうとする
通学に使う歩道には上図のようにブロックが敷き詰められている場所があった。ブロックは緑・灰・白色の3色で構成されている。
この配置にパターンがあるんじゃないかと考えながら歩くのが好きだった。ここに同じ色が2つあってその前後の色はこうだから目印にして……云々。結局6年間で答えは出なかったので息の長い遊びだった。
もちろん、同じ色だけを踏んで進む遊びもやった。なにせ3色あるから毎回違うルートが開拓できて楽しいのだ。