特集 2019年6月6日

カレー屋でカレー以外のメニューを頼むと新世界に会える

冷奴があった。しかも日本のそれとは味つけが違った

カレーが好きだ。カレー屋に行ったらカレーを食べるのはもちろん、松屋に行っても、蕎麦屋に行ってもカレーを注文するのが己の流儀である。

だがたまには、カレー屋でカレーを頼まず、サイドメニューだけを楽しんでみるのはどうだろう。試してみたところ、楽しくなりました。

1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:宮崎名物「レタス巻」9種類食いだおれ

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インドカレー屋を巡る。ただしカレーを食べずに

カレー屋は、人類が生み出したもののなかで最も尊いもののうちのひとつだ。特にインドカレーを置いてる店はおもしろい。

インドカレーを置いてる店。本当はひとくくりに出来ないほど多岐に渡るものだが、ここでは、インドカレーとナン(※食べ放題の場合もあり)が置いてあって、たまーに店員さんがラッシーをサービスしてくれるようなお店について話をすすめたい。

イメージ、わきますでしょうか。

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突然「サービスです」とラッシーを出されるとニコニコしてしまいますよね

インドカレーを置いてる店に行くと、ついどのカレーを選ぶかで頭がいっぱいになりがちだ。でも、実は他にも色々な食べ物を置いていることが多い。誰がいつ食べるんだろうというくらいに充実している。

気になっていたが、食べきれないので頼めてなかった。

だから、あえてカレーを頼むのをやめてみる。カレー以外のメニューで、お腹を満たしてみたらどうなるのか、心ゆくままに試してみよう。

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冷奴と枝豆がひと味ちがった

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厳密には「インドアジアンレストラン&バー」。ささやかながらてんこ盛り感ある

まず向かったのは、落合の「ヒマラヤ」というお店だ。メニューを開いた時の第一印象は「めちゃくちゃ多い!」だった。

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カレーだけで29種類。チキン8、ナン8、ライス5種類。サイドメニューも23種類ある

コンプリートにどんだけ時間がかかるのだろう。

次に感じたのは「なぜここに」っていうメニューがちらほらあること。 

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突如あらわれた「豆腐」の文字。説明は「ヘルシーな豆腐」とある
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アイスビールの説明書きの達筆さよ

日本酒をちゃんと置いているのもいじらしい。ローマ字で書かれた「sake」の文字もぐっとくる。

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熱燗もある……!

せんべろを意識したかのような、900円の「ちょい飲みおつまみメニュー」もあった。 至れりつくせり。

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おつまみは10種類から選べる

この「ちょい飲みおつまみメニュー」を頼み、おつまみに「枝豆」「インドの漬物」を頼んだ。

さらに別途「冷奴」と「ライタ」という野菜のヨーグルト和えを頼んでみることに。

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野菜&ヨーグルト、インドでは不思議じゃないんだろうが、わたしには未知すぎるから

で、まず枝豆が到着した。

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写真だとわかりにくいんだが、ほかほか湯気が立っていらっしゃいます

一見ごく普通の枝豆なのだが、今まで食べたどの枝豆よりもホカホカだった。

どうやら、茹でた後に水で冷やしていない模様だ。こういう細かい違いが出てくるの、わくわくする。  

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熱い!

次に出て来たインドの漬物は、「野菜スティックが、スパイスにまみれました!」みたいなやつだった。 

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全身くまなくスパイス。そしてネギの無造作っぷりよ

第一印象は「滅茶苦茶スパイシーそう」だったのだが、口に入れてみたところ咳き込んだ。ぎゃー。

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強い。野菜を食べていることを忘れそうになるぞ

しょっぱいのか。辛いのか。どっちかわからなくなるくらいにスパイスの自己主張が強い。口の中だけが国境を超えた。酒が進む……というより飲み物がないと食べ物が進まない。なんともパワフルな食べ物だ。

その次に来た「ライタ」は、ヨーグルトのなかにみじん切りの野菜が入っていて、スパイスが散らされていた。

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目にした時点ではまだ、味の想像がついていない

 「この中には、玉ねぎとにんじんが入っています」と店員さんは言う。

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だがわたしには、パプリカときゅうりが入っているように見えたのだった

口にしたところ、一瞬漠然とした不安が押し寄せた。感じたことのない味なのだ。いや、味というか、食べてる時に感じる匂い。ターバンつけた人たちに囲まれると、こんな匂いが香ってくるんじゃないだろうか……という匂いがする。

だが、次第に悪くないなと思い始め、飲み込む直前には「ちょっと好きかも」と感じていた。

なのに、もうひとくち口にすると、最初に感じた、布っぽい味わいに戻る。何度もふりだしに戻る。 3歩進んで3歩下がっている。

これ、食べ物に対する感想なんだろうか。

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光を食ってるみたいな写真が撮れてた

冷奴はいちばん最後に来た。店は空いていたが、注文してから15〜20分くらいが経過していた。まさか、店内には豆腐の常備がなく、近所のスーパーに買いに走っていたのでは。だとしたら、何かごめんなさい。 

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醤油がかかってない。味はあるのか

ぱっと見、「タレ的なものは何もかかっていないのかな?」というビジュアル。醤油をもらおうとしたが、よく見たら冷奴のいちばん上の部分に何か盛られている。

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ぎっしり、重みがあるタイプのお豆腐

「これはなんぞ?」と聞いたところ、ニンニクとしょうがだと言う。なのでそのまま何もかけずに食べてみた。

お、うまい! この組み合わせ、特異じゃないのに、日本風じゃない。新鮮な気持ちだ。 

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食べ終わった図がすごく居酒屋っぽかった
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おみやげにもらったピーチ味の飴が「桃だよ!!」って語りかけてくるような味だった
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「インド風」と書いてあってもインド風とは限らない 

続いていこう。高田馬場の「友人(ユウジン)」というお店だ。 友人……

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厳密にはインドネパール料理の店。「友人」の文字の味わい深さよ

こちらもメニューが多い。カレーは30種類近くあり、サイドメニューも30種類近い。すべて制覇するのは夢の夢すぎる。胃袋があと100個あっても難しい。 

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ここにも枝豆があった(いちばん左上)
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このページ、全部枕詞に「インド風」がついてるな
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インド風のアスパラ炒めとほうれんそう炒め、気になる

とはいえども、たとえ1つでも多く、気になる食べ物を口にできれば本望だ。

まずインド風の天ぷら「パコダ」を頼んだ。いろんな野菜の盛り合わせだ。

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カレー色してる

日本の天ぷらとはだいぶ味が異なる。 

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スパイスの香ばしい香りよ

 やっぱりというか、なんというかスパイシー。ピーマンや人参も揚がっている。しかもやたらにうまい。

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ピーマンのポテンシャルを体感した

余談だが、わたしがもりもり食っている横で、2人組の男性が「ぼくと契約しようよ」と言ったり言われたりしていた。詳細はよくわからないけど、「めっちゃお金の話をしているな」と感じた。

ともあれ、ネパールの炒め物も頼んでみた。

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「チキンチョイラ」

 スパイスの味……というところまではわかったのだが、何のスパイスだかわからない。

ゆえに漠然と「未知」の味がする。

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野菜がサクサクしている

しいていうと塩とレモンとハーブか。だけど、瀬戸内レモンでも、シチリアレモンでもない。これがきっとユーラシア大陸の味なんだと思う(適当)。

店員さんに尋ねたところ、使っているスパイスは「フニギリシード」だと言う。

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スパイス、見せてくれた

わたしがノートにメモした文字を見て「そうそう。そうだよ」と頷いてくれた。が、のちほどグーグル検索をしたところ「フニギリシード」の該当はゼロだった。

正解が知りたい。

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インド風の「アスパラの炒め物」も頼んだ

アスパラの炒め物は、インド風と書いてあるのだが、すごく慣れ親しんだ味がした。

わたしたち、幼なじみなんじゃ……ってくらい馴染みがある。こちらも店員さんに聞いてみたところ「味付けはにんにく、オイスターソース、ソイソース」とのこと。

……そのソース知ってる。

なお、隣の2人組は「ご縁」について話し始めていた。断片だけ聞いていると不安が増すので、全容を知りたいと願ったのだが、話しかける勇気がありませんでした。

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チーズナンはピザ

まだまだ行こう。中野サンロードの「アジアンスター」

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タイインドレストラン。写真はタイ料理ばっかだが、メインはカレー

こちらはインドに加えて、タイをコンセプトに置いてるようだ。

メニューを開くと、生春巻きをはじめ、タイのメニューが大量にあった。このタイプ(インド+タイ)、けっこう見かけがちな気がする。

カレーと生春巻きが共存する世界、意外とあるのだ。同時に食べる人がどのくらいいるかはわからないけど。

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実はナンて、じっくり見るとけっこう種類ありますよね

 タイっぽいメニューを頼んでみたくなり「パクチーナン」を頼んだ。すると、表面にパクチーが乗った、チーズナンがやってきた。

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サイズ感のわかりにくい写真だが、Mサイズのピザくらいの体感がある
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チーズもっさり

「もはやピザなんじゃこれ」という思いがこみ上げる。うまいんだけども。

かつて一度だけ、カレーとチーズナンのセットを頼んだ記憶が蘇ってきた。その時わたしは、ずーんとお腹が重くなり、胃袋の限界を感じて悲しみにくれた。 

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チーズナン、ナン史上最も罪深いナンだと思う

でも、カレーとピザを同時に食べていたと思えば納得しかない。今後、チーズナンはピザだと思って食べるようにしよう。心に誓った。

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塩バターのお茶は味噌汁の味なのか

チベット料理を置いてあるお店も見つけたので、最後に行ってみたい。早稲田の「KHANA」だ。

チベット……って、どんな料理があるんだっけ。パッと思いつかない。

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こちらの店、看板には「INDEIA NEPALI」とあるが……
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かすかにチベット料理がラインナップされている
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「チベットでは定番のバターと塩の入ったバター茶」

「ミックスチョウミン」という焼きそばみたいなやつと、「チベタンティー」を頼んでみた。

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ミックスチョウミンが到着した
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純和風なお箸にぐっとくる

塩焼きそばっぽいな……と思いきや、塩焼きそば以上にしょっぱい。体内の水分が奪われやしないか心配になる強い味わいだ。  

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上にのってる油揚げのような見た目のものは、卵焼きだった
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好きな味ではあるんだが、いかんせんしょっぱい

「チベタンティー」もかすかにしょっぱい。塩とバターとお茶の味が絶妙に混ざり合っている。

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たっぷり
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光に当たると、バターの油分がきらきらする

美味い不味い以前に「新世界!」という思いが募る。 

しばらく飲んでいると、馴染んできて「おいしいかも」という気持ちも湧いてきた。ネットを見たら「味噌汁とか、海藻を彷彿とさせるような味」と書いてあって妙に納得した。

が、しばらく置いてから飲もうとすると、急に不安が募ってきた。どうやら、新しいものを楽しみたい心はあるにはあれども、心が追いつききれず、時間を置くと、ふりだしに戻ってしまうらしい。

まさか、こんな異国情緒を、家からそうそう離れていない距離で体験できるなんて。

カレーは美味しい。けど、カレー以外のものを食べると、一気に海外旅行感が高まるように思う。なかなかまとまった休みがとれないときには、こうやって飛べばいいんじゃないか。希望が湧いてきたぞ。


海外旅行の食事っぽさ満点だ

カレー以外のメニューは、当たり外れは大きいように思う。飲食物を前にするとつい、期待をしてしまいがちだが、全く期待通りにはいかない。期待値をぐぐっと超えてくることもあれば、その逆もある。だが、予想できなさも含めて、海外旅行っぽいなぁと思った。

もういっそ、予想とか全くつけずに、ありのままを楽しんで、口に合わなかったら合わなかったで、笑えばいいんじゃないだろうか。

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近所のインドカレー屋のテーブルの上に乗っていたやつ。いろんな文化が融合されててぐっとくる

 

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