お盆、地域ごとにやることも食べるものもいろいろで面白い
皆さんが毎年やっているそのお盆、実は全国的には珍しいのかもしれません。
フォームはお盆が旧暦に合わせて7月頃からはじまる地域もあるため、7月から開けていました。こちらは現在も開けており9月中旬くらいまでは募集を行う予定です。
「うちもやるよ!」「これってもしかして珍しい?」など、まだまだお待ちしております。
夏休みは帰省シーズン! ……ですが、今年はまだなかなかそうもいかない人も多いはず。 全国で行われているお盆を見て、田舎に帰省した気分を味わいたい。日本全国のいろんなお盆が知りたい……!
そんなわけで当サイトにて、読者の皆様から「お盆」行事の投稿を募集させていただきました。お盆に帰省しない(できない)方も、これ見て帰省気分を味わおう!
親族や友人など、例年人が集まる季節である夏は、祖霊を祀るお盆行事の季節でもあります。お盆とは仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)と日本の祖霊信仰が融合した行事で、この時期に家に帰ってくるご先祖様を迎えてもてなし、送り出します。
横浜出身の私は、この時期お墓参りなどは行いましたが、家ではほとんどお盆らしいことをせず、親戚の家ではじめて見たお盆提灯に衝撃を受けた記憶があります。考えてみるとその頃からぼんやりと「お盆」への憧れがあったのかも。
そんなわけでまずは私から。同じ神奈川でもこんなお盆をやっていることを知らなかった、神奈川県藤沢地区の「砂盛り」です。
箱に砂(川砂)を敷き詰め、御線香や盆花、麻幹(麻がら)などを刺して先祖を迎えるのだそうです。添えられている野菜の角切りは精霊馬の食事らしい。
こちらを知って、さらにいろいろなお盆を知りたい! と思ったきっかけのお盆行事でもあります。これ以降、確かに意識すると神奈川県でも、スーパーのお盆特設コーナーで砂盛用の麻幹を売っていたりするんですよね……。
そしてここからは読者の皆さまの投稿を見ていきます! まずは「砂盛り」、うちもやるよ!という反応から。
ユーイングさん
神奈川県厚木市
今日7/13が迎え火でした。厚木市でも砂盛りやります。
私の小さい頃は鳩サブレの缶だったのですが、父が老いてからはホームセンターで買ってきた箱になりました。
飾り物としては、蓮の葉の上に茄子を1センチ角程度に切ったものを用意し、ミソハギという植物を数本束ねて刷毛状にした物で、角切り茄子にぴしゃぴしゃ水をかける謎のセットがあります。胡瓜の馬に茄子の牛は、以前は巨大なのをわざとお盆用に育てていたのですが、畑をやめてからは「市販の野菜では勿体無くて出来ない」と、藁で出来た既製品を使っています。
当日の18時前になると玄関前でおがらで藁に火をつけて「この火でお戻りください」と言いながら掲げ、その後その火で線香を点けて、ご近所の砂盛りを回って線香を供えます。
実際に砂盛りをやっているというユーイングさんから詳細な紹介が到着しました。ありがとうございます!
鳩サブレの缶でやっていたというのが神奈川らしさですね……! だいたいありますからね、鳩サブレの箱。
また、厚木市からは他の方からも「うちもやる!」と投稿を頂きました。
みつるさんからは「最近やっているお家見ないですね…」というコメントも。人が集まりにくくなったこのご時世で、お盆行事もすたれていってしまうのでは……という危機感も投稿を募ろうと思ったきっかけのひとつであります。お盆を情報でも後世に残していきたい……!
かっこいい~! 神奈川県伊勢原市、箱とか盆花の感じが砂盛り的だけどこちらは砂盛りではなく、富士山……!
先祖が見つけやすいように大きな富士山を作るんですね! 本当にいろいろで面白いな、お盆……。
monikaさん
千葉県印西市
8/13の夕方に、お墓に行って、提灯に火を灯して家に迎えます。迎え盆です。
8/14の朝、お墓参りに行きます。前日、家に連れて帰っているのに?と子どもの頃から謎です。
このとき、茄子ときゅうりを角切りにして、お米を和えたものをお供えのご飯として持っていきます。
よく見る、茄子に割り箸刺すやつとかはありません。
8/15の夕方、家から提灯に火を灯して、お墓まで行きます。送り盆です。
野菜の角切り出たわね……! 藤沢地区では角切り野菜は「精霊馬の食事」でしたがこちらではお米を和えてお供えに。
monikaさんからは「この風習がどの辺りの地域まで一緒なのか、気になります」とのこと。千葉県北部と茨城県南部の皆さん、いかがですか?
こちらは先ほどの厚木市のユーイングさん同様、ナスの角切りに水を与えてたけど、意味が分からなかったという足立区のあだち花子さん。
精霊馬の食事だったりご先祖様の食事だったりする角切りナスの鮮度を保つため……? とかいろいろ考えちゃいますけど真相は謎です……!
ゆさん
東京都下
盆棚(精霊棚)をかざり、縄を結ってまきつけ、笹を二本棚の両脇にかざります。盆棚の中には仏壇から位牌を持ってきて、配置します。写真は、盆棚の位牌配置前です。
また、盆登楼(電気でぐるぐるまわるやつ)をかざります。お盆はお迎えのため、8月13日の夜に線香を持って、道に置いておきます。
15日のよるは送りのために同じく線香を道においておきます。
食べるのは
朝は、おまんじゅうをふかしてつくります。
地粉の手打ちうどんをお昼に作ります。
夜はナスと乾燥昆布を醤油で煮たものをつくり、盆棚に上げます。
盆棚の上と、盆棚の下(写真でゴザが垂れている部分をめくりあげたところ)には、朝、夕とご飯とお水を上げます。
仏様が食べられるような配置で、毎回作り替える木?(植物の茎が乾燥したもの?)の箸をおいておきます。
盆棚というのは、お盆のために家ごとに設けられるお盆のための臨時の祭壇のことです(これの存在自体、大人になってから知りました)。この期間に食べる食事もしっかり決まっているんですね! おまんじゅうをふかして作ったり手打ちのうどんの用意など、準備も大変そうです……!
お盆の食事、地域によってバラバラだな~と思うのですが、長野からの投稿で、お盆の食べ物について触れている方はもれなく「天ぷら」を挙げてくださいました。長野のお盆は「天ぷら」……!
ハッサクさん(長野県駒ヶ根市)からは「薄皮まんじゅうを天ぷらの衣で揚げた天ぷらまんじゅうを食べます。」という情報を頂きました。絶対うまいやつ。
オシャライさんというのは「お精霊さん」が変化したものっぽいですね……。
こちらも盆棚の一種だと思うのですが、西日本では屋外に新精霊用(新仏)・外精霊(無縁仏)用の棚を屋外に別に設けることが多いらしいです。このオシャライさんもそのパターンかもしれません。
おしょうらい棒に火をつけて回す……? なんか夏フェスみたいですね。(そんな夏フェスがあってたまるかとも思いつつ)。
迎え火は盆の13日頃に焚く家が多いのですが、期間中は毎日焚く場所もあるそうです。迎え火は、かつては先祖の霊に伴ってくる悪霊除けの意味もあったそうですよ(※諸説あり)。大勢の人が火がついた棒振り回している姿は迫力がありそうですし、そりゃ悪霊も滅しますわとも思います。
「高灯篭」、調べてみたらエレクトリカルでした。面白い!
あれだ、盆踊りのやぐらにかかる提灯みたいな雰囲気です。盆踊りもお盆行事ですもんね。
長崎ってお墓自体も彫られた文字が金色だったり形も凝っていたりして派手なんですよね。(参考記事:長崎の墓地がすごい)
花火したり酒盛りしたり……派手派手でご先祖様も楽しいと思います!
山梨県のももりんかさんからは知り合いの家の「いつ見てもかわいくて感動する」という精霊馬。荷物背負ってる! かわいい~!
これも村ごとの風習なんですね。はー不思議。
北国の夏さんからは「ナスときゅうりの精霊馬作る宗派の方が羨ましいです」というコメントも頂きました。精霊馬を作るかは宗派にもよるんですね……?
スライムのぬけがらさんの家ではお盆の間殺生をしない料理を用意し、「鰹だし」や無精卵はOKなんだとか。お盆は一般に仏事とみなされてるため、殺生に当たらない料理を用意するところが多いみたいです。(とはいえ、親の健在な者だけ魚食するようなところもあるらしい)。
最後は盆と直接は関係ないけど……。というこんな投稿。
卯月さんの地区では真夏に成人式をやるそうですが、調べてみたところ都会に出る人が多い地方では、帰省しやすいよう正月や盆に成人式を行う例があるんだそうです(へ~!)。
成人式で厄払いを行うというのも私は初めて聞きましたが、二十歳という節目に成人式で厄払いをするってのはなんか理にかなっている気もしますね~。
※2021年10月15日追記:こちらの投稿に関して卯月さんから訂正をいただきました。開催時期が大体被っているので『&』にしたものの、成人式と厄払い自体は別々なものだそうです。
いやー、なにげない年中行事も興味持ってみるとめちゃくちゃ面白いな~~。
皆さんが毎年やっているそのお盆、実は全国的には珍しいのかもしれません。
フォームはお盆が旧暦に合わせて7月頃からはじまる地域もあるため、7月から開けていました。こちらは現在も開けており9月中旬くらいまでは募集を行う予定です。
「うちもやるよ!」「これってもしかして珍しい?」など、まだまだお待ちしております。
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