斜面が多く平地が少ない坂の町・長崎では、ゴミの収集にソリを持ったおじさんが山の上から降りてきたり(⇒参考記事)、バキュームカーがホースを何本もつないでくみ取ったり(⇒参考記事)、車の駐車場がつっかえ棒で無理矢理土地を広げたものだったり(⇒参考記事)、 といった具合に、日常の当たり前の光景でも当たり前でなくなってることが数多くある。
今回は、そんな長崎の墓地に注目したいと思う。
(T・斎藤)
日当たり良好、眺望抜群
ご覧のように、長崎では墓地もやっぱり斜面にある。 なので、 ・日当たり良好 ・眺望抜群 といった、まるで「一等地」みたいな要素が墓地に加わる。
墓地というと、一般的に ・昼間でも薄暗い ・陰気でじめじめしてる ・お化けでも出てきそう といったイメージ がなんとなくあるかと思うが、実際はそういうところはあまりなく、寺が管理している清潔感のあるところが多い。長崎の場合、それにさらに日当たり良好、眺望抜群になるわけだ。
「まるで一等地」とさっき書いたが、 実際、繁華街からけっこう近いところにもあったりする。
繁華街に近い墓地にて上から見下ろす。 墓石とビルの、カタチと質感がなんとなく似ていているのが面白い。固くて四角いものが延々と続いている様子はなかなか壮観である。
山の上の方までお墓があるので、ちょっとした登山だ。 息を切らせながら石段を登っていき、ふと振り向いた時の眺めに圧倒される。
まるで戦(いくさ)
お盆の時期の長崎の墓地がまたすごい。
その光景を初めて見た時は大変驚いた。 ヒューーーンというロケット花火の音、バチバチバチバチという爆竹の音などと共にモクモクと煙が立ち上り、その向こうには大勢の人の姿が見える。
この光景は一体何なのか?
まず、長崎では墓地で花火をする習慣がある。 それはどう考えてもおかしいと思うのだが、聞くと 「え〜?!お墓で花火ばせんと?」 と逆に聞き返されるくらい、長崎では一般常識となっている。
たまに「これで大丈夫なのかな?」と思うくらい煙が上がってることもあって、その直後、消防車が墓地に向かって走っていくのを見たこともある。しかも2回見た。
やたらいっぱい人がいるのは、長崎では「墓地ではゆっくりするもの」という風習があるから。ここで言う「ゆっくりする」とは、5分とか10分とかではなく、2時間〜3時間。だいたい夕方から日が暮れるくらいまで、お墓でお菓子を食べたりビール飲んだり、花火をしたりしてのんびり過ごす。
それで自然と人がたまり、写真のような知らない者から見たら戦みたいな光景になるのだった。
木を見ず森を見る
今回は個々のお墓ではなく、集合体という捉え方で遠目で見た。 「木を見ず森を見る」というスタンスである。一方、長崎は歴史ある街だから有名人のお墓などもあり、個々のお墓を見ていくのもまた楽しいかもしれない。
ちなみに、写真をよく見ると墓石の文字が金色なのが見えると思う。これも理由はよくわからないがなぜか長崎では文字は金が標準である。