特集 2019年5月20日

マウスを使わずにパソコン作業をすると本当に効率的なのか

ビジネス書を読んでいたら、「仕事ができる人はほとんどマウスを使わない。キーボードのショートカットを駆使してPC作業をする」と書いてあった。マウス大好き人間の僕も仕事ができる人になりたい。そこで、キーボードだけを使って、画像入りの記事を書いてみた。

1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

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仕事ができる人になりたい

世は働き方改革である。少ない時間で多くの成果を上げる必要がある。記事の作成もできれば短時間で行いたい。大事なのはパソコンの作業を効率化することだ。

ビジネス書に「マウスを使うな」と書いてあった

何げなく読んだビジネス書に、「仕事ができる人はほとんどマウスを使わない。キーボードのショートカットを駆使してPC作業をする」と書いてあった。言いたいことはわかるけど、本当にできるの?画像の挿入はどうやるの?文字の色どうやって変えるの?「戻る」「進む」「コピー」「切り取り」「ペースト」といった超基本的なショートカットしか知らない僕には厳しい世界だ。そして、キーボードだけで作業ができたとして、本当に効率よくなるのか?

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マウスが便利なので使っちゃう

僕の場合、記事の初稿をWordで作成し、編集担当とのやりとりを経て、最終的にWebシステムで入稿する。最も時間がかかるのはWordの作業である。単純に文字を入力するだけなら楽だが、フォントを変更したり、画像を貼ったりする必要があって面倒である。マウス大好き人間の私は、キーボードとマウスを行ったり来たりするので、右手が忙しい。効率もかなり悪いと思う。あー。仕事ができる人になりたい。

実際マウスを使わずどこまでやれるか、やってみた。

実験手順

① 架空の記事を、まずはいつものようにマウス +キーボードで書く

② 同じ記事を、今度はキーボードだけを使って書く

③ どっちが早いかを比べる

 

架空の記事を書く

まずは実験に使うための架空の記事を用意する必要がある。

 

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まずはゆっくり時間をかけて推敲し、アルトリコーダーを吹くだけの中身の薄い記事を作った(この記事の全文はこちらにあります)。14000本を超えるともいわれるDPZの過去記事のなかで最も中身の薄い記事だと思う。自宅で作るカルピスより薄い。でもこれは実験用の架空の記事なので許してほしい。

中身は薄いが、画像を貼ったり画像の大きさを変えたり文字の色を変えたりする必要があり、まあまあ面倒ではある。これを使ってタイムアタックをします。

まずはいつものようにマウス +キーボードで。

ここから実験開始。上記のアルトリコーダーの記事を、時間を計りながらマウスとキーボードで一から作成する。キーボードは文字入力だけに使う。すなわち、ショートカットは一切使わず、必要な動作はすべてマウスで行う。

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いつもとほとんど変わらない入力スタイル。いつもと違うのは、すでに作った記事を見ながら同じものを入力しているということ。頭を空っぽにして修業のように入力していく

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マウスとキーボードによって心を込めて写された同じ記事。

すでに作成した記事を眺めながら同じものを入力していくのは、さながら現代版写経である。印刷が発明される前の人類は、書写によって文章を複製していたという。我々はいい時代に生まれた。

結果が出ました。

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6分14秒。これを標準タイムとします!

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前から思っていたがマウスで画像サイズを変更するのは若干の煩わしさがある。ドラッグアンドドロップではなく、「書式」から高さや幅を数値で指定する方法もあるが、それはそれで煩わしい。改善の余地だ。

次は本命。マウスを使わずキーボードのみで。

さて、次はいよいよキーボードのみでの記事作成である。まず、記事作成に必要な作業のショートカットをネットで調べる。その結果、こうなった。

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Ctrl + Bは知っていたけど、画像に関係するショートカットは知らなかった。画像サイズ変更には5つも押す必要がある。実際には5つ同時に押すのではなく、順番に押していけばよいのだが、慣れないとキーボード上で両手がツイスターをやっているみたいになってしまう。

画像挿入のショートカットは Alt → N → Pなので、 「きならない」と覚えることにした。画像サイズ変更は Alt → J → P → S → Zなので、「」と覚えることにした。意味不明である。

そして、文字の色を変更するショートカットが存在しないことが判明。これは困った。DPZの記事では画像のキャプションをオレンジ色の文字で書くことが多い。一発で文字色をオレンジに変えるショートカットがほしい。

ショートカットがない場合は、自分で設定すればいい。Wordの「キーボードのユーザー設定」という機能を使い、オリジナルのショートカットを設定する。(こちらのページが参考になります。)

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「Alt + Ctrl + Shift + O」で濃い黄色になるようにした。オレンジ色は選べなかったので、最も近い「濃い黄色」にした。すでに存在するショートカットとの衝突を避けた結果、4つもボタンを押す羽目になってしまった。

武器はそろった。いよいよキーボードだけでアルトリコーダーの記事を作ります。

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「のっぴきならないジャパンサイズ、のっぴきならないジャパンサイズ」 と謎の日本語をぶつぶつ言いながらショートカットを使う。

慣れないショートカットを使うのはいらいらする。が、慣れてくると早い。めちゃくちゃ早い。マウスを使わないと行動に迷いがない感じが出る。効率的なだけでなく、見た目が自信たっぷりに見える。何事も雰囲気が大事である。

結果が出ました。

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5分28秒。さっきより45秒も早い!

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ショートカットを使うことで爆速で画像サイズが変わる。うれしい。

マウスを使わないと確かに早い。しかも見た目が「仕事できるマン」っぽくなる。これはよい。いちいちショートカットを覚える必要があるが、それも歴史の年号を覚えるみたいに強引な語呂合わせで覚えるのが楽しい。のっぴきならない。

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作業時間の内訳。キーボードのみの場合、右手がマウスとキーボードを行ったり来たりする必要がないため文字入力に集中できる。(ちなみに、実験を始める前に何度も実験用記事の文字入力の練習をしているので、「文字入力の慣れ」による差はないです。) また、文字色変更はショートカットで爆速になる。ただし、画像の挿入はマウスを使ったほうが若干早かった。マウスを使わない場合、挿入したい画像を選ぶためにTabキーを連打する必要があるからだ。それでもトータルではキーボードのみのほうが早い。

キーボードだけで作業すると仕事ができる人っぽくみえる

結果として、キーボードだけで作業をするとマウスを使う時よりも早く仕事が終わった。でももっと大事なのはかっこよさだ。さっきも言ったが、キーボードだけで作業をすると「仕事ができる人」っぽくみえる。自然と背筋がピンと伸びる。

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ふだん重度の猫背であることを踏まえると、かなり背筋が伸びています。なぜならキーボードだけで作業をしているから。ほどんどの人が知らないマイナーなショートカットをどや顔で使う優越感が自信をもたらすのだろうか。話のスケールが小さいですね。

とにかく手を動かしたくない

さて、マウスは使わないほうがいいことが分かった。「それならキーボードも使わなければもっといいのでは?」という考えが頭に浮かぶ。音声入力である。

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Windowsにデフォルトで入っている、「Windows音声認識」を使って音声入力によって記事を書きます。

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「あるひとつぜん、アルトリコーダーをふいてみたくなった。アマゾンでにせんえん…。」小学校の本読みの宿題をやっているような気分になる。
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自分の書いた記事を音読する。かなり気持ちの悪い行為をしている。
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Gif画像なので音声が伝わらないですが、とにかく早いです。言い終わった次の瞬間には文字列が存在する。

音声入力、笑っちゃうぐらい早い。読めばいいのだから。普段通りのスピードで読んでもわりと解釈してくれる。ただ、結構な頻度で誤字になる。

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音声入力の結果。「ジャーマン式」が「邪魔時期」になったり、「早くうまくなりたい」が「早く亡くなりたい」など、いろいろひどい。

そして、誤字を直す時間を含めると結局キーボードで入力したほうが早い。誤字を直すのは面倒である。

また、当然だが、文字入力以外の操作が弱い。調べたところ、「Altキーを押しながら N を押す。Pを押す。」という風に言えばショートカット操作を行えるようだが、何度やっても成功しなかった。

 

g_失敗.gif
「Altキーを押しながら N を押す。Pを押す。」は「おれたちをしながら猪瀬利用する」になった。猪瀬を利用するな。

他の入力方法と比較してみる。

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音声入力は文字入力しかできなかったので参考記録だが、他の入力方法の文字入力と比べてかなり早い。ただし誤字があまりにも多い。

 

ショートカットを覚えよう

音声入力はとても早いが、誤字が多い。となると、使えるのはキーボードだけだ。さようならマウス。絶対にショートカットを覚えよう。画像の挿入は「きならない」、画像サイズ変更は「」。他にも、Wordで記事を書くときに使えそうなショートカットを調べてオリジナルの語呂合わせを作った。ぜひ使ってほしい。

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13個のショートカットを一気に覚えよう。Ctrl + Shiftは「腰」であり、J + L は「Jリーグ」である。(ここからPDFをダウンロードできます。印刷してデスクに貼りましょう。)


キーボード入力でかっこよく

マウスを使わずキーボード入力だけで作業をすると、早いしかっこよく見える。デイリーポータルZなのにうっかり役に立つ記事を書いてしまった。

もちろん、世の中には作業を効率化するための工夫がいろいろある。トラックパッド、トラックポイント、プログラマブルテンキーというものもある。人それぞれ、自分に合った作業効率化を目指せばよいと思う。でもこれだけは言える。マウスを使わないとかっこいい。

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写真はアルトリコーダー初日の様子。こっちも頑張ってかっこよく吹けるようになりたい。
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記事本編はここでおしまいです。次のページには、実験に使用した架空の記事の原稿があります。

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(注意!!このページは、実験に使うために書いた架空の記事です。特に面白くはないですが、優しい目で見守りましょう。)

アルトリコーダーを買った

ある日突然、アルトリコーダーを吹いてみたくなった。Amazonで2,000円。次の日に届いた。お金を払えばいつでも新しい楽器を始めることができる。大人っていいな。

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懐かしさが全くないのは、僕は一度もアルトリコーダーを吹いたことがないからだ。中学校の音楽で習う人が多いようだが、僕の学校の音楽はずっと歌うだけの授業だった。

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賃貸マンションで吹くとめちゃくちゃ怒られそうなので、公園で吹きます。

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「リコーダー禁止」とは書いていなかったのでたぶん大丈夫です。

いよいよ人生初のアルトリコーダー。どきどき。

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今までソプラノリコーダーしか吹いたことがなかったのですが、アルトリコーダーは大きくて押さえるのが大変ですね。
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情熱大陸のメロディーを途中で間違えながら吹いています。

ソプラノリコーダーと違い、アルトリコーダーは息遣いが難しい。低い音を出すときは息をかなりゆっくり吐きだす必要がある。また、小学校で習ったソプラノリコーダーはジャーマン式で、今回買ったアルトリコーダーはバロック式なので、音域も違うし基本的な押さえ方も微妙に違う。でも楽しい。思い付きで始めたけどこれは新しい趣味だ。早くうまくなりたい。

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河原でリコーダーデビューもしましたが、全然うまく吹けないのですぐにやめました。

ヤマハ YAMAHA ABS樹脂製 リコーダー アルト バロック式 YRA-38BIII
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