マンガでわかる~だけのマンガ喫茶があればいいのに

マンガでわかるビジネス書が好きだ。
読みやすいうえにためになるなんて最高じゃないか。いくつか読んでいるうちに気づいたのだが、けっこう構成が似ている。
困っている若いビジネスウーマン、偶然出会う賢者、賢者の教えを実践して成功、という流れである。マンガ以上にマンガなのだ。
そんなビジネス神話のパターンを研究して、応用してみた。
もともと好きだったのだが、記事にするということでさらに買って読み込んでみた。30冊ほど読んでみた。
お話はだいたいこんな感じ。
問題ひとつで1章になっている。1冊で4章ぐらいで終わりである。
主人公はたいてい20代前半の女性である。それがいきなり大きな仕事を任されて物語が始まる。
主人公の女性はおっとりしていてバリバリと仕事をするタイプではない。
奮闘するが上司は高圧的、同僚は非協力的とのっぴきならない状況である。リストラ対象になったり給料の遅配が起きたりと自然と追い詰められている主人公もいた。
追い打ちをかけるように主人公は自分の陰口を聞いてしまう。わかりやすくひどい目に遭うのもまた、マンガでわかるビジネス書あるあるである。
かなり行き詰まったところで次の展開だ。
マンガでわかるシリーズで重要な役割を果たすのが賢者である。賢者というのは僕が名付けた役割なので、「賢者でーす」と言って登場したりはしない。
賢者とは困っている主人公のところに現れる知恵者である。たいてい年長者だ。
賢者登場のパターンとしてはぶつかる、荷物を拾ってもらう、屋上に突然現れる、店で隣にいる、などさまざまだが100%偶然である。
賢者は無償で知恵を授けてくれる。リアルな世の中ではただで物を教えてくれる人の話を聞いているといつのまにか壺を買っていたりするのだがそんなことはない。
次が最初の決めシーンである。
主人公の悩みはひとつの方法で解決するというのだ。
それが「マンガでわかる〇〇」の「〇〇」である。そこは「7つの習慣」だったりマーケティングだったり傾聴だったりニーチェの教えだったりするのだ。
賢者がそれを言うと、主人公は必ず復唱する。
賢者は掃除のおばちゃんや店の常連など身近な存在だが、その人たちがいきなり孫子やニーチェを語り始めるのだ。
フィリップコトラーに顔がそっくりなおじさん、自助論が大好きな女子高生などダイナミックな設定がたまにあるのがマンガでわかるビジネス書の趣である。
賢者は教えるときにまず主人公のやり方を全否定する。そして意外な方向からアプローチしてくる。
かつてのジャンプの格闘漫画と同じである。師匠は技を教えて、主人公はそれを体得する。
ビジネス書は努力、友情、勝利の要素があってマンガに似ているが、マンガでわかるビジネス書はそれがマンガになっているのだからマンガ以上にマンガである。
教えるのがニーチェではなくかめはめ波でも成立する展開だ。
ただ、マンガでわかるビジネス書は、原著の解説が入る。
解説部分は表や図を登場人物(このときデフォルメされる)が一緒に見て、原著の文章が引用される。
賢者から授かった知恵を職場で実践するとあっさり成功する。そしてこれまで非協力的だった人たちがあっさりと「おれが悪かった」と改心するのだ。
この人物描写のスピーディさがマンガでわかるビジネス書の魅力である。実際の世界もこれぐらい単純であってほしい。
主人公がもくもくと働いてるときに四角い枠で原著が引用されるのがかっこいい。
成功したら賢者がいる場所に行って報告である。賢者はRPGの村人のようにいつも同じ場所にいる。いつも公園のベンチに座っている賢者は身体が心配である。
そして主人公が自信をつけて章が終わり、ちょっとしたギャグのあるコマが入る。
マンガが終わると文字だけの解説のページが続く。
このあとも問題が起きて賢者に相談、解決のパターンの繰り返しである。エピローグでは数年後の未来に成長した主人公が成功しているようすが描かれる。
積立投資の解説書では家をキャッシュで買うまで成功していた。
マンガでわかるビジネス書のフォーマットがあればどんな考え方や方法もマンガにできる。
「マンガでわかる『マンガでわかる~』」
だってできる。
だが、僕の単純なイラストではリアリティがないのでマンガでわかるビジネス書風のイラストを描いてもらった。
このように「マンガでわかる~」をマンガで説明することができた。マンガでわかる~がよくわかった。
2ページ目の賢者のセリフを変えることで応用可能である。例えば…
これが「マンガでわかる進化論」である。
同様にして「マンガでわかるつんくのLOVE論」「マンガわかるネガティブ思考」「マンガでわかるコンビニでトイレ借りたときに買うガム選び」など展開できるので考えてみてもらいたい。
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