高プロテインのコオロギパウダー
コオロギはこのように形を変えていました。
コオロギの粉末です。人が食べる用に飼育されたコオロギを乾燥させて粉末にしたもの。Amazonで購入しました。他に食用バッタの粉末などもありました。
EUでは2018年に規制が変わり、食用の昆虫の流通が増えてきているそうです。飼育による環境負荷が小さく、栄養価が高いなど、次世代に向けた新たな食材として注目を集めています。
肉類や大豆など、タンパク質を多く含むといわれる食材で、タンパク質含有量が10~40%の間ぐらい。それに対し、コオロギは70~80%ほどの含有量になるそうです。もうマッチョになりたかったら、筋トレしてコオロギを食べようといった感じです。
とはいえやはり見た目が気になる。カニやエビも初めて見た人類は、ゴツゴツしていて泡吹くし、飛び跳ねるし、挟むし、食い物と認識したかどうか。実際、日本をはじめ世界中で昆虫は伝統的に食べられています。慣れれば大丈夫なはずですが、元々食べる習慣のない人にとっては厳しい。その点、元の姿のわからない粉末ならその障害は無くなります。
ということで、コオロギ粉末を食べてみました。香りは甘さのないココアというか、米ぬかのような。または、釣り餌で使うサナギ粉の香りをかなりマイルドにしたようにも感じます。
食べてみると、米ぬかと川エビの殻を混ぜたような感じと言えばいいでしょうか。好んで食べるような味とは思いませんが、食材として特に問題なく食べられます。栄養補助食品的に何かに混ぜて食べるには十分だと思います。
コオロギ粉末入りプロテインバー
このコオロギパウダーが使われた加工食品も市販されているので食べてみました。
コオロギ粉末入りのプロテインバーです。これ1本で50匹分のコオロギ粉末が入っていて、10gのタンパク質が摂取できます。抹茶味とチョコ味の2種類。
この時点でコオロギパウダーの香りはしません。ココアや抹茶の香りと共に飴のような甘い香りがします。もちろんコオロギの形もありません。普通のプロテインバーと同じです。
食べてみると、先ほどのコオロギパウダーの味はほぼしません。言われれば、最後の方に少し感じるだろうかという程度です。うまいです。ただ、コオロギとは関係なく、タイ製だからか、プロテインバーだからなのか、かなり甘く感じます。タンパク質の補給だけでなく、疲労回復に糖分、アミノ酸も一気に摂取できそうです。
うどんにしてみよう
続いて入手したコオロギパウダーで何か料理を作ってみたいと思います。粉の味がより感じられるように、うどんにしてみました。
全部をコオロギパウダーにすると、ボソボソになりうどんの形にはならないと思われるので、小麦2に対してコオロギパウダー1の割合で混ぜてうどんとします。
材料は小麦(中力粉)、コオロギパウダー、水、塩。あと、麺つゆとして醤油、みりん、酒、砂糖、鰹節。薬味として小ネギを使います。
うどんの打ち方については各種サイトに出ているのでそちらを見ていただければとおもいます。粉に塩水を入れて練り、袋に入れて足で踏むなどして何回も伸ばす。丸めてしばらく休ませたら麺棒で伸ばして切れば出来上がりです。
より深くうどんの作り方について知りたい方は、ライターの玉置標本さんの「趣味の製麺」をご覧ください。製麺記事も各種あります。
こうして出来上がったうどんの生地がこちらです。コオロギパウダーの色が強く、見た目は蕎麦のようになってしまいました。でも、弾力はうどんの弾力です。それもかなり強い弾力となりました。
打ち粉をつけて麺棒でのばし、細く切り分ければうどんの麺は完成です。太さや厚みがバラバラなのは、私のうどんスキルの低さのせいです。気にしないでください。
できた麺をしっかり茹でて、水で締めて皿に盛ったら薬味を乗せて完成です。麺ツユもつくりいよいよ実食。
できたうどんは練りや太さの影響なのか、コオロギパウダーの影響なのか分かりませんが、かなりもっちりとした麺にしあがりました。そのままで食べたコオロギパウダーの味がかなりマイルドになり、そこに小麦の甘さが合わさった味になっています。
他にも、小麦を製粉するときに出る小麦の皮「ふすま」を混ぜたうどんの味に少し似ている気もします。それよりかはもっとクセがあるので、麺ツユではなく、カレーうどんとかにするといいかもしれません。
ひとまず、コオロギパウダーはうどんのつなぎとして問題ありません。加熱によりコオロギパウダーのプロテインがどのように変わるかわかりませんが、筋トレ後のプロテインとエネルギーの補給にコオロギパウダー入りうどんもいいかもしれません。
すぐに使うことはないけれど
ライターの水嶋さんが書いた記事「食糧危機はともかくうまいぜ高級虫料理」の中でコオロギパスタが出てきます。まさにこのコオロギパウダーを使ったパスタだと思います。
そのままはちょっとクセがあって好みが分かれるところですが、料理に使えば慣れない姿に躊躇することもなく普通に食べられます。しかも栄養価が高く、飼育に対する環境負荷も少ないので、家庭では難しいですが、加工食品には今後多く使われるようになるかもしれません。
ただ、その時はコオロギ粉末とは言わず、クリケットパウダーとか、何かいい感じの商品名になって原材料の所に記載されているような気がします。染料や食品添加物に使われる赤色天然色素のコチニール色素も、カイガラムシ色素とか書かれていたら引く人が結構いると思います。都会の人で虫嫌いの人は多いですからね。