特集 2018年12月10日

やきとん屋は儲かるらしい、でもね…

やきとん屋を体験しました。飲食店やっていても業態が違うと流れが全く異なり戸惑います。

街で見かけるやきとん屋(焼き鳥のように豚の肉や内臓を串に刺して焼く店)。大衆的な雰囲気と、手ごろな値段で気軽に飲めるので、頻繁に利用する方も多いかと思います。

多く見かけて、よく利用する店ですが、その裏側と言うのは店員やその業態に関わる人でもなければ分かりません。串に刺して塩やタレをつけて焼くというシンプルな料理だが、その調理にはどんなコツがあるのか?そもそも儲かるのか?

やきとんの調理体験イベントがあったので、そのあたりを社長に直接聞いてみました。儲かるらしいです。まあ、色々ありますが。

1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:カフェや日本酒蔵で飲みながら走るマラソンをやったらとても楽しかった

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

板橋、池袋界隈の有名店

やってきたのは東京都板橋区上板橋。板橋、池袋界隈にやきとん屋、イタリアン、海鮮居酒屋、日本料理の4業態9店舗を展開する「ひなた株式会社」のひなた上板橋店。ひなた株式会社が創業した店舗です。

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20席ほどの小さい店。

今回のやきとん調理体験のイベントは「いたばしTIMES」という地域メディアが開催したもの。それに参加する形で社長に聞いてきました。社長、やきとん儲かりますか!

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右が辻社長。左が関店長。

やきとん調理の指導をしてくれるのは、辻社長と関店長。辻社長はバンドをやろうと上京。その後、バンド解散、飲食で働きながら音楽活動は続けるものの、飲食に魅力を感じフグ調理師に。その後、独立、閉店、やきとん屋で修業、再び開業、9店舗のグループ社長と色々盛りだくさんな人生を歩んでいる方。関店長も元は会社員でひなたに飲みに来ていて、やがてここで働くことに。

飲食業界、色々な経歴の方がいます。

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各自にまな板と調理用手袋。飲食は衛星管理が大切です。

それでは、やきとん調理体験に入ります。その前に店で出しているモツ煮の仕込みを、家庭でも出来る範囲で実演してもらいました。それと共に肉の部位についても解説が入ります。

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これはてっぽうといいまして、直腸の部分で・・。この後、ハラミ、カシラなども解説。

肉の部位の説明後、串に刺す形に切り分ける実演。実際に切る前には綺麗に洗ったり、何度も茹でこぼしたり、筋をとったりと前準備がありますが、そこからやると時間がかかるので切る所から入ります。

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辻社長のチェックが入る。

体験用の肉は既に切ってあるものが配られるので、切るのは関店長の実演を見るのみ。串に刺すところと、焼きを体験できます。

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業務用の包丁は非常に良く切れるので、慣れない人が使うと危ないのです。

切り方は部位によって異なりますが、肉には繊維の走っている方向があるので、それが揃うように。そして、焼くと肉が縮むのでそれを考慮して食べやすいサイズに切ります。

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参加者には体験だけでなく店員の方が着ているTシャツもプレゼントされる。

と、簡単に書きましたが、肉によって弾力や形状も異なるので、切断面を均一かつ綺麗に切っていくのはなかなか難しい作業。家ならば別にバラバラでも問題ありませんが、店となるとそうはいきません。経験が必要です。

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人生初串打ち。

続いて串打ち作業です。ここから実際に体験していきます。先に小さ目の肉を刺して、上には大き目のものを刺す。刺すときには肉の繊維の方向や、それに対する肉のサイズなどを考えて刺す方向を決めていきます。

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横方向に肉の繊維が走っているのが分かる。

繊維が並んで幅が広いものを繊維方向に沿って刺すと肉が垂れたり、焼いている時に回ってしまったりする。逆に繊維方向に長い物は繊維に沿って刺した方がしっかり刺せる。いずれにしろ、肉の中心を狙って刺すのが基本だと関店長。

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こんな順番ですかね。

あと、刺すときに波打つように刺していくと、肉がしっかり串に止まるとのこと。串の打ち方は店によっても異なるそうだが、概ね基本はこんな感じのようだ。

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これは店に出せない。

ということで、基本を踏まえてやってみた結果がこれ。隙間があってガタガタ。「これは結構ヒドイ」と関店長がポツリと一言。

ですよねー。研修初日の店員の方が打った1本目ということで。誰でも最初は初心者です。

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店長修正後。揃っている。

ということで関店長に直してもらいました。うん、綺麗だ。やきとん屋で出てくるやつだ。当たり前か。

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カシラで再挑戦。こりゃパズルだね。

この経験をふまえて、肉の並びや刺す方向を何度か検討しながらもう1本。刺したり、抜いたりを繰り返し、できあがったのがこちら。

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先ほどよりマシか。

微妙に不揃いな感じはしますが、先ほどよりかマシになったでしょうか。ただ、焼いて肉が縮んだり、反ったりして変わってくるので、できあがりは焼いてのお楽しみのようです。

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ひとまず形にはなった。

こんなに時間かけていたら仕込みが永遠に終わらないなんて思いつつ、ひとまず串打ち3本終了。上板橋店では1日200本ぐらいは出るそうなので、このペースで仕込んでいたら開店時間どころか、閉店時間に間に合わなくなります。

そして、できあがりを見た辻社長が、なかなか綺麗にできていると手に取ったものが、先ほど関店長が直したものである事は黙っていました。

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コンロの手前の所が非常に熱いので、串の端は上からつままないと指が触れて火傷しそうになります(なりました)。

続いて焼きです。本来なら炭を動かして火力の調整とかもやらないといけないのですが、そこはお店の方にやってもらいます。真ん中あたりの火力が強くなっていて、端にいくほど弱火になっているそうです。

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塩の振り方も指導してもらう。高い位置から小刻みに。ネットではやった動画みたいな手さばき。

そうすることで、場所を動かして焼ける速さを調節できます。接客しながら焼くことになるので、焼き過ぎないように一番端に持って行って火から逃がす事もします。飲食店は色々同時進行。

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店長からの直接指導。

どのぐらいで焼き上がるかは、慣れてくると分かるそうですが、分からなければ肉をキッチンハサミなどでずらして見るという手もあります。または、肉を皿とかコンロの端で軽く叩き、跳ね返り具合で焼けているかどうかを判断できるそうです。

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さあ、やきとんとビールだ!この体験イベントは飲み物付き!

焼いて、タレをつけて、また焼いて、ひっくり返してなんてことを繰り返し、なんとか焼き上がりました。肉が回ったり、外れたりすることもなく、見た目はまあまあ。

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やきとんにビール。うまいね!

味は大変美味しかったです。食べやすさとか、焼き具合も、横で見てもらっていただけあってひとまず問題ないと思います。やきとん、うまいですね。ビールが進みます。

で、体験が終わったところで、辻社長。そこんところ、どうなの?やきとん屋、儲かるの?

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教えて、辻社長!
いったん広告です

儲かる業態です

ストレートに聞いてみたところ、辻社長からは「儲かる業態ですよ」との回答。おおっ!そうなんですか!

 

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自分で焼いたやきとんの他、事前に仕込んであった店特製のモツ煮も出た。モツ煮は仕込みに時間がかかるが、ロスの少ないメニューではある。

まず、やきとんに使う材料は仕入れが安い。そして、やきとん屋はサワーとかホッピーといった酒類が多く出やすい業態なのです。サワーやホッピーなどは店で出す飲み物の中で比較的原価が安く、日本酒やワインと比べて多く飲まれます。

また、海鮮物は切ったらその日のうちに使い切るということになりますが、肉ならば多少余裕があります。食材のロスも少なくできるので、その分利益が出ます。やきとん屋は儲けが出やすい業態といえます。

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イベリコ豚のグリルとかタン下デミソースシチューなどメニューにも工夫あり。

とはいえ、飲食店は1年で3割、3年で5割、5年で7割、10年で9割がつぶれると言われています。ただ、やきとん屋をやれば儲かるという訳ではありません。

味はもちろん、色々な工夫、営業努力が必要です。体験レベルでも分かるとおり、店に出せるものを作るにはそれなりの経験を積まなければならないし、仕込みもかなりの労力がかかります。

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こういう品書き1つとっても、見やすく、選びやすくする工夫が必要です。日本酒業態ならその種類や店の規模に合わせた量なども考える必要がある。

また、ひなた規模の店になってくると、働く人の確保、育成と言う問題も出てきます。どこの業界もそうですが、飲食業界も人手不足。いい人が雇えず閉店する店もあります。

辻社長も人の確保には苦労をしているようで、募集をかけても一人も採用できなかったなんてこともあるそうです。

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日替わりメニューにも色々変化球が仕込まれている。

やきとん屋は儲かりやすい。ただ、それ相応の工夫と努力。そしてお客様に楽しんでもらえる店の人のホスピタリティが無くてはならない。儲けるのは色々大変です。


飲食店は楽しい

私もカウンター7席のみで日本酒と発酵食品の酒の肴の店を経営していますが小さい店でも続けるためには様々な工夫が必要です。1人あたりの平均注文量から計算して仕入れる日本酒の数を調整して常に質を保つとか。メニューに季節感や変化を持たせるとともに、ロスやオペレーションを考えるとか。新規顧客やリピーターを増やすための施策とか。ターゲット顧客にいかにリーチするとか。

幸い、夫婦2人でやっていて、特に2号店を出そうなんて気はないので、人手不足とか、人材育成といった問題は無いのですが、近隣の店でも結構苦労しているところがあります。どんな仕事もそうですが、色々苦労があります。

ただ、飲食店をやっていると、普通に生活をしていたら絶対に会うことは無かっただろうと言う人と多く出会えます。楽しかったとか、美味しかったとか直接言ってもらえる機会も多いです。実に楽しい。

それはそうと。そうかー、やきとん儲かるのかー。そうかー。うちの店では出せないなー。色気は出さず、日本酒と発酵食でこれからもやるか。

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右が「いたばしTIMES」編集長の宮下さん。辻社長、関店長、宮下さん、楽しい体験イベントありがとうございました!

取材協力
ひなた上板橋店
〒174-0071
東京都板橋区常盤台4-25-1
東武東上線 上板橋駅北口より徒歩2分
電話:03-3936-8910
http://yakiton-hinata.com/aa-map-kami-itabashi/

いたばしTIMES
http://itabashi-times.com/

お知らせ

経営している店「酒と醸し料理BY」は、おかげさまで来年2019年1月11日に7周年を迎えます。ありがとうございます。7周年を記念して1月12日~14日の3連休15時~20時は「7周年記念昼から日本酒立ち飲み特別営業」をやります。

7周年記念立ち飲み特別営業では、日本酒、おつまみどれでも300円の特別価格。かたいプリンも数量限定であります。ご来店お待ちしています!

ちなみに、店の名前のBYは日本酒の醸造年度を表す表記「BY(Brewery Year)」からきています。私の名前は関係ありません。Googleで「日本酒 BY」で検索すると私の店ではなく醸造年度の表記の説明が出ますが、「日本酒 面倒臭い」で検索するとトップに出ます。「日本 日本酒 面倒臭い」「東京 日本酒 面倒臭い」などでもトップに出ます。店を検索するときは、あの面倒臭い日本酒のところなんだったっけ?と思い出せば検索しやすいです。

それから、今月12月22、23日15時~20時は「自慢日本酒特集 昼から日本酒立ち飲み特別営業」あります。何か自慢話や自慢の品を持ってきた方は日本酒1杯サービスの「自慢アイテムサービス」あります。昨年の様子はこちらで。

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