シウマイの崎陽軒がギヨウザ!?
ここまで「昔ながらのシウマイ」と「シウマイ弁当」について見てきたが、崎陽軒にはシウマイが10種類以上、お弁当に至っては20種類以上あったりする。それがこうして毎日どんどこ作られている。
ただ、コロナ禍のときは本当に大変だったそう。
駅には人がいないし、販売店が入っているテナントも休業。売上は前年比6割もダウンしてしまった月もあった。
そこで力を入れたのが「冷凍の製品」と「オリジナルグッズ」の開発である。
山本さん 遠方の方からの「崎陽軒のお弁当を食べてみたい」という声を受けて、冷凍向けのお弁当を急ピッチで開発しました。現在も崎陽軒オンラインショップでお買い求めいただけます。
ちなみにこの売店、以前当サイトの特集「身近な絶景」で、ジャンクションの下にポツンとある崎陽軒の売店として紹介した場所である。正式に取材で訪れることになろうとは。
シウマイで有名な崎陽軒がギヨウザを!? これは大スクープじゃないですか!?
山本さん 驚かれますよね(笑)。これもコロナ禍で開発した冷凍の製品なんです。シウマイで培った技術を活かして開発した、崎陽軒ならではのギヨウザなんですよ。もちろん干帆立貝柱を使っています。
そして「オリジナルグッズ」である。
お弁当が売れないならグッズを売ればいいじゃない。そんなマリー・アントワネットはいないが、新たな「崎陽軒グッズ」をたくさん開発していった。
山本さん タオル、半纏(はんてん)、腹巻き、靴下、マスク、ポーチ、靴下……たくさん作りました。短いスパンで季節に合ったものを開発していきましたね。
そして、つい最近大ヒットしたのが、「シウマイ弁当お弁当箱&お箸セット」である。
山本さん 最初は2月末に発売したんですが、すぐに売り切れてしまって。4月に再販したときは、崎陽軒本店ショップに開店前から行列ができていたんですよ。
こんなにグッズが売れるのも、神奈川を中心に崎陽軒が浸透しているからだろう。
コロナ禍でも、崎陽軒ファンの皆さんが冷凍の製品やグッズをたくさん購入して、応援してくれた。みんなだって大変なのに。
山本さんは「こんなにも地域に愛されている会社なんだ」と衝撃を受けたという。
山本さん 私は地元が長野なので、正直に言うと入社までシウマイ弁当を食べたことがなかったですし、ここまで地元に愛される企業とは知らなかったんです。だから余計に驚いてしまって。改めて、皆さんの「崎陽軒愛」に支えられている会社なんだなと実感しています。
次のグッズをどうしよう
近年、売上は緩やかに回復しているそう。これからお盆や秋の行楽シーズンだし、お弁当の売れ行きも戻りそうである。
ただ、グッズの開発ペースはコロナ禍と変わっていないという。喜んでもらうためとはいえ大変だ。
山本さん グッズに需要があることがわかったので、こちらも期待に応えたいんです。ただ……何が喜ばれるのか、段々わからなくなってきましたね……(笑)
「求められるものと作りたいものって違いますよね……」「これウケるぞ!と思ったら在庫を抱えたり……」「わかりますわかります……」と、深くうなずくデイリーポータルZ陣なのであった。
取材協力:株式会社 崎陽軒
参考:『崎陽軒Walker』(KADOKAWA)