ユーザー参加型のお稲荷さんのおもしろさ
話をうかがって気づいた、お稲荷さんの意外な「ゆるさ」。
穴守稲荷さんの、しっかりと歴史や神道に基づきながらも堅苦しくなく、ゆるい感じが好きなのだがそれは記事からも伝わるんじゃないかと思う。
いろいろな噂があるので少し怖い気持ちもあった、旧大鳥居の話も聞けてよかった。完全に怖さがなくなった……。
穴守稲荷の境内に約4万7千の鳥居が並ぶ日が楽しみだ。
穴守稲荷神社には他にもたくさんの見どころがある。
境内の千本鳥居の足元に、小さい奉納鳥居も千本鳥居のように並んでいるのも必見だ。
稲荷神社も含めていろんな神社を参拝しているが、小さな奉納鳥居を千本鳥居のように並べているお社は意外と見ない。こちらをはじめ、境内の気になるスポットについても聞いてみた。
井上 戦前にも境内にミニチュアの鳥居が並んでいまして、その様子は神社所蔵の絵にも残っています。伝統に基づいて、かつての当社の事実を現代風にアレンジしたり、御本社の伏見稲荷神社さんに倣って行事を復活させたりしています。
――境内の水琴窟もすごくいい音ですね。
井上 水琴窟の甕自体は、強制退去の前に旧羽田三町に住んでた方の家で使っていたものを奉納していただきました。その甕を使って、私が水琴窟を作りました。
――作った!? 宮司さんが???
井上 水琴窟を作ろうという話は前からしていまして、ネットで検索したところ水琴窟の作り方が載ってました。ちなみに、#水琴窟日記 で水琴窟を作る様子を追うことができます。
――インターネットなんでも載っている! 水琴窟は最近いろんな神社仏閣で見かけるようになりましたけど、こちらの音が1番きれいな気がします。
井上 当社の音いいですよね(笑)。実は中にマイクも入っているんですよ。先行事例を結構調べて、結局甕が大きければ大きいほど良いと。スピーカーと一緒で、大きければ大きいほど音域の幅が広がるんです。
あとは、水滴がいろんな大きさのものがいろんな場所からランダムになればなるほどいい。その仕組みの上皿に穴を開ける時、中を伝う水が全部下に落ちないようにと工夫しています。
――水琴窟だけで取材させてほしいぐらいくらい情報が出てきます(笑)。
井上 水琴窟の音色を追求した人のブログも参考にして、できた時にはその方に報告したら、大変素晴らしいですとお褒めいただきました。あとは、水琴窟をいろいろ回ってレポートしているような水琴窟マニアの方からもかなり高い評価をいただいています。
――マニアも認める良い水琴窟なんですね!
井上 水琴窟の銘が東国一なんですけど……私が命名してるんです。
井上 瓷を奉納してくださった方からの「日本一の音色を!」というオーダーに「東国一で勘弁してください」と返答したのが由来です。あとは繁栄した当時、穴守境内からの景色が新聞の東国部門のコンクールで優勝しているんです。賞品として、中央新聞から時計台が境内に奉納されたという記録があります。
なので「東国一」という銘はそうした事実に基づいてのダブルミーニング的な表記でもあるんですよね。
井上 まあ現在はビルに囲まれており、富士山も見えなくなってしまったので、音色で東国一を復興させようという趣旨でもあります。
――あとは花手水も参拝するたびに変わっていて、かわいいです。(令和5年)2月5日の初午でキツネさんですかね。
井上 花手水も私の趣味です(笑)。いつもあるわけではないんですけど、お花をご奉納頂いた時には。維持がなかなか大変なんですけども。
――趣味!!(笑) コンちゃんと花手水と、毎回見るべきところが多すぎる。
境内には、ほかにもたくさんの見所がある。参道の奥には奥之宮や御神穴があり、御神穴には持って帰って撒くと商売繁盛、家内安全などの御利益があるといわれる御神砂がある。
奥之宮の上には伏見稲荷の稲荷山を模した「稲荷山」があり、稲荷山には航空稲荷や稲荷上乃社、幸稲荷、御嶽神社などの小さなお社が並んでいる。
かつて現在の羽田空港の場所に鎮座した穴守稲荷神社。空港が返還され、本殿跡に旅客ターミナルビルが建った際には屋上に穴守稲荷の分社が奉斎された。旧ターミナルの屋上には穴守稲荷神社と航空神社の2つが並んでいたという。
そのターミナルビルが古くなって取り壊しになり、現在の第一旅客ターミナルビルができた時、穴守稲荷の分社は本殿に合祀された。そこからしばらくは御本殿で祀られていたが、2020年に境内を工事したと時にあらためて境内に分祠したのが「航空稲荷」である。
社務所内には競走馬「イナリワン号」の記念品のコーナーがあり、こちらは社務所に声をかけることで見ることができる。
穴守稲荷の稲荷から名づけられた御縁のある「イナリワン号」はゲームアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』でウマ娘化もしており、ファンの間で聖地にもなっている。穴守稲荷神社は盛りだくさんだ!
取材を通して穴守稲荷神社の歴史も興味深かったけど、とにかく宮司さんが器用で多趣味すぎておもしろかった。穴守稲荷神社の現在やこれからについてもますます期待が膨らむ。ありがとうございました!
話をうかがって気づいた、お稲荷さんの意外な「ゆるさ」。
穴守稲荷さんの、しっかりと歴史や神道に基づきながらも堅苦しくなく、ゆるい感じが好きなのだがそれは記事からも伝わるんじゃないかと思う。
いろいろな噂があるので少し怖い気持ちもあった、旧大鳥居の話も聞けてよかった。完全に怖さがなくなった……。
穴守稲荷の境内に約4万7千の鳥居が並ぶ日が楽しみだ。
取材協力:穴守稲荷神社
鎮座地:東京都大田区羽田五丁目2番7号
電話:03-3741-0809
参考資料:『羽田時空旅行~観て・知る・歩く羽田~』森重和雄・編著
その他、神社所有の資料をたくさんご提供いただきました。ありがとうございました!
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