たたり? 噂の「旧一の大鳥居」真実は……
海辺に現れる巨大な鳥居。インパクトがある。
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今は自転車の人たちの憩いの場にもなっているけど、この鳥居は「GHQが鳥居を壊せなかった」という事実がひとり歩きしている、噂が絶えないスポットでもあるが果たして……。
井上 羽田空港にある旧一の大鳥居は、今は鳥居としての機能は失ってモニュメントとして残されています。もともとは穴守稲荷という額が掛けてありましたが、現在その額は境内の一の鳥居にあります。
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井上 この神社の額を外していることに意味があり、“鳥居はあくまでもモニュメントとして残している”ということの象徴になります。鳥居は神域を示すものであり、その先に御本殿はなくなっているわけなので。
――本当に現在は神社とは関係ないんですね……。現在は「平和」という額がかけられておりますよね。
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井上 人々の暮らしがかつてここにあったこと。それを示す地域の歴史として大事にされているのがあの鳥居です。それをおもしろおかしく「呪い」とか「祟り」だとか言われる人もいますね。
いろんな人がいますけど、我々神社としては呪いや祟りは否定しています。神様はそうやって無闇矢鱈に祟ったりするものじゃないという解釈ですから。
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井上 結局は、世間的に言われる祟りということはないです。聞いた話だと、GHQが土地を2mくらい土地の底上げしたんですね。当然、鳥居の足も埋まってしまったわけです。週刊誌の記事の写真の鳥居もちょっと足が短い。
――なんかずんぐりむっくりしてます。
井上 相当深く埋まってたんですよね。で、掘り返すのがめんどくさかったんだと。
――ええー!?
井上 相当埋まっているので、取るのが大変だったと。だから「残していいんじゃない?」ぐらいのノリで鳥居を残したという話も聞いています。そのへんが実情じゃないかと。
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――それを、祟りとか呪いとか言って勝手に怖がってるわけですね。
井上 GHQの委託で日本のゼネコンが受注して、土地の底上げ工事をしたわけなので記録にも残っているんですよ。神社に残ってたキツネさんも首まで埋まっちゃって。そこから持ってきたのが、境内の福徳稲荷のキツネさんです。
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――福徳稲荷のキツネさん、お顔が厳しいです……!
井上 境内の戦前からあるキツネさんは基本このキツネさんだけです。強制退去になった後も、日中の何時間かだけ旧住民が取りに行ってよかったんですね。その時にキツネの頭がちょこっと地面から出ていたのでここが元御本殿があった場所だと掘り返し、限られた時間で持って帰ってきたものです。
――貴重なキツネさんです。
井上 そういうキツネさんなので非常に生命力のあるというか、必ず帰ってこれる「サバイバーのキツネさん」としても信仰を集めています。