特集 2024年4月16日

コンビニパンの元ネタ探し

なぜこんなに驚いているかは、記事を読み進めると明らかに

コンビニ各社がオリジナルのパンを出している。

でもそれらは山崎製パン製であることも多いし、すでにあるヤマザキパンをアレンジしたパンだったりもする。

言ってみればヤマザキパンの別バージョンだ。

どう変化しているのか並べてみよう。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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コンビニのパンには元ネタがある

ヒップホップでサンプリングされている曲を見つけて「ここのフレーズ、あれじゃん!」などとマニアが言ったりする。あのスノッブな遊びがパンでもできる。

たとえばこのコッペパン。上はローソンのコッペパンで、下がヤマザキだ。ローソンのコッペパンは山崎製パン製である。

この場合、ローソンのコッペパンの元ネタがヤマザキのコッペパンということになる

4行前で「スノッブな遊び」と書いてみたが、全くスノビズムを感じなくてびっくりしている。 

こうなると全てのバージョンを全部集めたくなる。どんな領域でもコレクター魂が発動してしまう。

ファミリーマートとミニストップにもあった。いずれも山崎製パン製である。

コンビニ独自のパンと言ってもだいたい山崎製パンだ。この世はでっかいデイリーヤマザキである。

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コッペパンでオリジナルと別バージョンを比べてみよう

買ってきた4種のコッペパンを並べてみる。

山崎製パンが供給しているコンビニ各社のコッペパン

セブンイレブンはガーデンベーカリーという専用の製パン会社で作っているパンが多く、コッペパンもガーデンベーカリー社製であった。だから入れてない。
コッペパン比べがしたいのではなく、あくまで元ネタと別バージョンを知りたいのだ。 

大きさと内容で整理した図・こしあん化って言いたい企画です

並べた写真からも分かるように、大きさだけではなく、表面のツヤもかなり違う。いただいてみようじゃないか。 

左からファミリーマート、ローソン、ヤマザキ
ヤマザキ・オリジナルのコッペパン
ずっしり重みがあって、ふわふわ~という世界観ではない。質実剛健のヤマザキらしい。
ローソン
これだけこしあん。マーガリンの味を強く感じる。和菓子っぽい。
ファミリーマート
パンが柔らかい。すぐにあんことホイップにたどり着く。
ミニストップ
ヤマザキ本家よりもカロリーが高く、「量が多い=良い」というヤマザキの思想を先鋭化した存在。

4つ食べてみて、美味しかったのはファミリーマートだった。好みは人それぞれですね~なんてぼかす必要もなく、はっきりしていた。

オリジナルへのリスペクトはあるんだけど、やっぱりファミリーマートのアレンジが一番好きかな。マニアの狭い会話みたいだけどコッペパンの話なんで勘弁して欲しい。 

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ミニクリームパンも展開していた

ヤマザキの薄皮シリーズの数が減ったことが話題になっていた。だが、この小さいパンもコンビニ・スーパーに別バージョンがあった。コンプリートしておかなければなるまい。

コンビニでは5個もあれば6個もあった。いずれも山崎製パン製
パンの数だけで整理した図・「増量」のアレンジしかない

 数だけではなく、実際の味はどうなっているだろう。クリームパンの海にダイブしてみよう。

ヤマザキ・薄皮クリームパン
かじるといきなりクリームが出てくる。クリームがねっとりしている。クリームの塊を食べるためにパンでくるみました、という思想。
ファミリーマート
パンとクリームのバランスが良い。クリームにバニラビーンズが入っている。ストリングス入れたみたいなアレンジ。
ミニストップ
1個増量しているのでパンがぎゅうぎゅうに詰まっている。味はクリームパンのイメージ通り。クリームの量は少なめかも。
ライフ
ミニストップと同じ。オーソドックスであることの大事さを感じた。スーパーでお母さんが買ってくるパン。

元ネタがいちばん攻めたパンなのだ。そこからノーマライズされたのがコンビニ・スーパー各社のクリームパン、という理解でいいだろう。

ヤマザキのクリームの多さが際立っている
ミニストップのパッケージがぎゅうぎゅう。他社は斜めにはいっているのにここだけ縦に入っている

元ネタに比べてアレンジバージョンがとっつきやすくなっている。そういえば昔の10分ぐらいあるプログレの曲って、後ろの方に2分ぐらいのラジオエディットってのがありましたね。

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ミニスナックゴールドも別バージョンがあった

レコード屋気分でコンビニパンをdigってると、気になるパンがあった。
ファミリーマートにあったこのパン、ヤマザキのミニスナックゴールドを横長にしたものではないだろうか。

ファミリーマート・ロングデニッシュ(山崎製パン製)

あの名盤、ミニスナックゴールドの別バージョンに違いない。 

名盤の名にふさわしい丸さ

ヤマザキのサイトによるとミニスナックゴールドは手で巻いているらしいので、巻かずに横に往復したバージョンを作ることも可能だろう。なるほどね。

そしてミニストップでこれを見つけたときは声が出そうになった。

こういうのもあるのか!!1.5往復!

ファミリーマートほど細長くはないパターンだった。行って帰って行って終わってる。1.5往復。
知らないブートレグを見つけたような気分だ。誰かに言いたい!

図にしたい!

ミニスナックゴールドには白い部分だけではなく、全体にうっすら砂糖でコーティングされている。だが、ミニストップ・ファミリーマートはそれがなく、手がベタベタしないで食べやすかった。細長いのも食べやすい。

やっぱりこれもハードコアなヤマザキパンを食べやすくアレンジした方向だ。ヤマザキパンはオリジンとしてのレジェンド感を醸し出している。鳥羽一郎じみてきた。

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小さくして食べやすく

僕のフェイバリットとも言えるホワイトデニッシュショコラもアレンジバージョンが展開されていた。

柔らかいパンのなかにしっかりしたチョコが入っている

これのアレンジバージョンは全て小型化、3個入り化の方向だった。
しかもだ、珍しくセブンイレブンにも別バージョンがあるのだ。王者セブンイレブンも手を出すほどの名作ということだろう。ちなみにヤマザキ自身も小さいサイズをリリースしている。

集められた全てのバージョンはこちら

図にするとこうなる。 

ホワイトデニッシュショコラは美味しいけど、ちょっと多い。そのあたりのニーズをすくったコンビニアレンジはさすがである。

ヤマザキも小分けのミニバージョンを出しているが、セブンイレブンのミニバージョンはチョコレートが多くて全編サビみたいなアレンジになっている。セブンイレブンは「甘い=おいしい」というヤマザキの思想を受け継いでいる。

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ヤマザキパンは宇宙

ヤマザキパンは多品種でどこに行ってもはじめて見るパンがある。さらにそんな無限に横展開するヤマザキパンひとつひとつがコンビニで別バージョンで縦に展開されているのだから3Dである。宇宙だ。

ローソンのこれは
ヤマザキのこれの別バージョン
やっぱりローソンでみかけた小さいブールパン
スイートブールを小型化させてクリームを挟んだバージョンだろう
セブンイレブンの「しっとりたまご蒸しパン」はヤマザキのラップパンの別バージョンだろうか。

だとしたらかなり思い切ったアレンジをしてきたし、ラップパンに手を付けたか!という驚きもある。

こういう会話をずっとしていたい。


日本語盤でもある

別バージョンを見ていて気になったことがある。

ヤマザキ)ホワイトデニッシュショコラ

セブンイレブン)白いデニッシュチョコ

ヤマザキ)ビッグデニッシュドーナツ

ローソン)大きなデニッシュドーナツ

コンビニバージョンは商品名が日本語になっていることがあるのだ。

マイケル・ジャクソンの"Beat it"が「今夜はビート・イット」になったようなものと思えばいいだろう。日本語盤である。最終的には日本語盤もすべて集めるのがマニア道である。

かと思うと自ら直訳みたいな商品名のパンを出すから油断ならない
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