赤福以外も素晴らしい
赤福が好きで、赤福の赤福以外も食べてみたくて今回それが叶った。赤福は赤福以外もきちんと美味しいのだ。お土産には赤福を買ったけれど。今回食べなかったからね。ちなみに買ったのは「白餅黒餅」。黒餅には「ほまれの赤福」以前で使われた黒砂糖が用いられている。白は白小豆餡。美味しかった。
「お伊勢まいり(とんぼの本)」矢野憲一,山田孝雄,宮本常一 新潮社 1993
「日本の食生活全集24聞き書三重の食事」西村謙二 農山漁村文化協会 1987
赤福という食べ物がある。伊勢名物で伊勢周辺に行くと駅の売店などにも赤福は並び、道を歩けば「赤福」という看板が夢に出そうなほど並ぶ。その誕生は古く創業は1707年となる。
そんな赤福は赤福という会社が作っているけれど、赤福の赤福以外のものを食べたことがない。その周辺に行くと何も考えずに赤福の赤福を食べていた。そこで赤福の赤福以外のものを赤福(店舗)で食べてみたいと思う。
伊勢神宮は三重県にある。伊勢神宮に参拝するお伊勢参りは古くから行われてきた。今ほど自由に旅ができない時代は「講」が組まれ代表者が参拝した。講とはお金をみんなで積み立てるものだ。これを「伊勢講」と言う。日本各地から伊勢に参拝者が来ていたわけだ。
江戸時代、お伊勢参りに来た人々はたくさんのお土産を買って帰った。そのお土産で特に有名なものが「伊勢暦」「煙草入れ」「萬金丹」の3つだ。今ではそこまで人気ではないものもあるけれど、当時は人気だった。
現在、有名なものはなんだろうと考えると、間違いなく「赤福」ということになる。伊勢神宮の周りを歩いていると「赤福」という看板が目を閉じても浮かび上がるほどたくさん並んでいる。誰もが知る名物だ。
赤福の創業は1707年。富士山が噴火した年だ。赤福の由来は「赤心慶福」。赤子のような、いつわりのないまごころを持って自分や他人の幸せを喜ぶということだ。製造者は「株式会社赤福」である。株式会社が設立されたのは1954年のことだ。
今では電車や車などがあるけれど、昔のお伊勢参りは当然人力だった。歩いてくるとお腹が減るわけで、お餅のような腹持ちがいいものが喜ばれた。この辺りには「返馬餅」や「二軒茶屋餅」なども存在する。赤福もそのような流れで生まれたのだと思う。誰もが餅を求めた時代だったのだ。
私は赤福が大好きだ。伊勢周辺というか名古屋でも買えるので、行ったら必ず買うことにしている。お餅に滑らかなあんこ、最高なのだ。ちなみに今の赤福は白砂糖を使った「ほまれの赤福」というもので、1911年に誕生している。その前の赤福には黒砂糖が使われていた。
赤福はめちゃくちゃ美味しいので、赤福以外も絶対に美味しいと思うのだ。そこで赤福(店舗)を訪れた。お品書きを見ると「赤福ぜんざい」があった。
ちなみに赤福には「朔日餅」という毎月一日だけ販売される商品もある。そちらは「よもぎ餅」だったり、「さくら餅」だったりと赤福以外が存在する。ただそちらは一日にしか買えない。いつでも買える赤福以外を赤福で食べたいのだ。
いくつかの赤福(店舗)では上記のように「赤福ぜんざい」を出している。こちらは冬季限定で、夏季限定では「冷やしぜんぜい」や「赤福氷」などもあるようだ。赤福からは大きく離れず、餅とあずきを使う間違いのない美味しい一品だ。
赤福ぜんざいはもちろん美味しかった。私が訪れた日は寒い日だったので、ぜんざいの温かさは最高だった。ただ私が求める赤福の赤福以外はもっと赤福以外なのだ。
赤福は「五十鈴茶屋」も展開している。本店は赤福本店の隣にある。赤福本店は蛇を超えて龍ほどの長い列を作っているけれど、その隣の五十鈴茶屋は少し落ち着いている。そして、こちらでも赤福を食べることができる。
五十鈴茶屋のメニューを見ていると赤福以外もあることがわかる。シュークリームとか、ガトーショコラとかがあるのだ。これを食べたい。
五十鈴茶屋に行けば、赤福の赤福以外を食べることができる。赤福を食べることもできる。ただ赤福では赤福以外はぜんざいしかない。
五十鈴茶屋も赤福の店のひとつだけれど、五十鈴茶屋なのだ。赤福という名前の店で赤福以外を食べたいのだ。
赤福で赤福以外を求めてさまよい、赤福の「外宮前店」を訪れた。電車の待ち時間があったので、偶然訪れたのだけれど、ここのメニューを見て驚いた。あるのだ、赤福だけれど、五十鈴茶屋のメニューが。
調べてみると「五十鈴茶屋」のものが食べられる赤福の店舗は「外宮前店」だけのようだ。赤福ももちろんあるけれど、私は「和ガトーショコラ」と「いちご大福」を頼んだ。赤福でコーヒーを飲むとは思わなかった。
赤福で出てくる「赤福ほうじ茶」と「米粉」を使ったガトーショコラ。赤福から離れてはいるけれど、根底には赤福の流れを感じることができる。食べてみるとこれが美味しい。ほうじ茶がきちんと香って美味しいのだ。
三重県産のいちご「かおり野」を使ったいちご大福。これも美味しい。白餡に包まれているのがまたいい。いちごの味を生かしてくれるのだ。もっとも「和ガトーショコラ」も「いちご大福」も五十鈴茶屋で食べられるんだけどね。あえて赤福で食べるのが風流ということにしたい。美味しかった。
赤福が好きで、赤福の赤福以外も食べてみたくて今回それが叶った。赤福は赤福以外もきちんと美味しいのだ。お土産には赤福を買ったけれど。今回食べなかったからね。ちなみに買ったのは「白餅黒餅」。黒餅には「ほまれの赤福」以前で使われた黒砂糖が用いられている。白は白小豆餡。美味しかった。
「お伊勢まいり(とんぼの本)」矢野憲一,山田孝雄,宮本常一 新潮社 1993
「日本の食生活全集24聞き書三重の食事」西村謙二 農山漁村文化協会 1987
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