特集 2019年3月26日

おれはスイーツなら無限に食べられる~東急沿線さんぽ

甘いものは別腹、いや無限だ。

満腹な状態でも「甘いものは別腹」と言うが、それは科学的にも証明されていることらしい。おおざっぱに説明すると甘い食べ物を見ると、オレキノンという物質が脳内に分泌されて食欲が刺激される。甘いものを見ていたらずっとお腹がすくということか。科学的にも無限に食べられることが証明されたわけだ。甘いものを無限に食べようじゃないか。

 

前々作:おれはそばなら無限に食べられる
前作:おれはチャーハンなら無限に食べられる

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:においの情報だけで料理を再現できるのか


  スイーツ=少し、を変えたい

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よくご飯を食べに行った後に甘いものが出てきますよね。あれ少なくないですか。
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デザートのことを言っていますか?でも食後だからそんなものでしょう。
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あと二つは欲しいです。おかげで帰りにコンビニでシュークリームを買うことになるんですから。
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世界が自分だけのためにできていると思ってはいけないよ。
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ショートケーキは名前からして物足りないのでジャンボケーキにして欲しいです。
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心の中でだけそう呼んだらいいんじゃないかな。

 というわけで東急沿線さんぽ、今回はスイーツです。コーヒーと一緒に読んでください。


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パンケーキのおかわりをください

よく世の女性たちが「パンケーキを食べたい」と言っているのを聞くが、今までの人生で食べたことがない。私自身、甘いものは好きだがコンビニに売っているシュークリームを食べるだけで満足する人間である。パンケーキなんて、UFOや雪男などと同じぐらいの架空の食べ物とかじゃないのか。現実にあるとしたら、人生経験として食べたほうがいいと思う。

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なので、おしゃれな町として有名な自由が丘の「RusaRuka東京 自由が丘店」に行った。

東急東横線自由が丘駅から歩いて10分ぐらいの場所にある「RusaRuka東京 自由が丘店」。もともとは福岡にあったお店が東京に進出したそうだ。

お店の外観から放たれる「おしゃれなお店でございます!」というオーラに足が震えながらも店内に入る。

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店内も白を基調とした高級感あふれる雰囲気。そして、お客さんの9割が女性。

パンケーキはうわさ通り、女性が好きな食べ物なのだろう。友人と男二人で来たのが浮く。気をしっかり持ってパンケーキを食べよう。

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ちなみに9:30~11:00まではモーニングメニューが提供される。
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11:00~は通常のメニュー。絵本のぐりとぐらに出てくるパンケーキを再現したメニューもある。

ぐりとぐらのパンケーキもいつかは食べてみたいが、注目したいのはメニューに書かれた魅力的な文字。

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「パンケーキおかわりFREE」

なんとパンケーキの食べ放題なのだ。おかわり自由なお店はご飯おかわり自由のやよい軒しか知らないので、食べ放題なんてすてきだ。
モーニングメニューの中から注文をして出てくるのを待つ。

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落ち着かない。

最近、新聞を飲みながらビールを飲んでいるおじさんが多いお店にしか行ってなかったので、このおしゃれな雰囲気に負けてしまいそうである。コップの水の減るスピードが早い。

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テーブルに置いてあるボトル。高級感のあるお店なのでお冷やのピッチャーもおしゃれだと思ったら違った。

水を飲みきったので、テーブルに置いてあるボトルを手に取ったら「それ多分、メープルシロップですよ」と言われた。危なかった。メープルシロップを飲む男になるところだった。

おしゃれなお店だからこういうのに水が入っているのだと思った。だって、こういう水とうを会社に持って行く人いるじゃないか。

そんな落ち着きのない行動をしていたら注文していたパンケーキたちがやってきた。

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「スウィートダンディー」というメニュー。レモン風味のクリームにハチミツ、ブラックペッパーがのった少しピリッとした風味のパンケーキ。
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「フレッシュモーニングパンケーキ」。ヨーグルトクリームにグラノーラ、フルーツをトッピングしたメニュー。朝にぴったり。

到着したメニューはどれもインスタ映えする見栄えである。あと、横文字。

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パンケーキってナイフとフォークを使って食べるものだと知った。
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さっぱりしていてうまい・・・。

ほのかな甘みのパンケーキにレモン風味のクリーム、そして、ブラックペッパーがアクセントになっていて、これはおいしい。
あと、気づいたのはホットケーキのように厚さがないのでペロリと食べきれる。

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おかわりをもらう。
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おかわりのパンケーキは、バタークリームがついてくる
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メープルシロップをたっぷりかけてお召し上がりください。

おいしい。パンケーキは無限に食べられるかもしれない。そんなことを思っていると隣の席の女子たちがかわいいポーズで写真を撮り始めた。もしかしたら、ここはそういう空間なのかもしれない。周りを見ても写真を撮っている女の子たちが多い。郷に入っては郷に従えというので、われわれも取ってみよう。

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どっちかで言うとすしざんまいに近い。
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あごにピースをすると小顔に見えるらしい。恥ずかしさで体温が2度上がった。
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こんなポーズは誰もやってなかった。もう古いのかもしれない。
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そんなことをしつつ10枚食べたら、お腹いっぱいになったので帰ります。
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でっかいパフェを食べに行く

続いての甘いものパフェだ。喫茶店で出てくるパフェもでかいがもっと大きなパフェを見たい。でっかいパフェを食べるべく、やってきたのは東急目黒線の武蔵小山である。

商店街を進みながら数分、洋風な古さが素敵なお店が出てきた。

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店名は「王様とストロベリー」

ケーキのテイクアウト販売もしているが、店内ではコーヒーなどを飲める喫茶店のようなスペースもある。

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そして、こちらがお目当ての品。

全長60センチ、重さは3.5キロのパフェの王、キングパフェである。昭和60年に生まれて平成が終わるこの時代まで愛されてきた。

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ちなみに小さめのジャンボパフェもある。ただ、今日はキングパフェを食べに来た。

ジャンボパフェもあるが、これでも少し大きいので2人でわけて食べてもいいかもしれない。

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店内に有名人たちのサインがずらり。

そして店内に入ると数え切れないほどの有名人たちのサインが。キングパフェを目当てに取材も数多くされている。博物館ぐらい飾られているサインを見るだけでも楽しい。

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店内もまるでヨーロッパに来たかのような雑貨でおしゃれ。

異国のような雰囲気の店内でコーヒーを飲む人たち。外国に来てしまったのかと思うが、隣に座っている年配の方々が年金の話やら「あそこのおじさん最近見ないわね」「平成の次、なにになるのかしら」という話をしていたので海外に行っていた気持ち日本へと帰ってきた。

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そして、お目当てのキングパフェを注文しようと思ったときに急展開が。

キングパフェを注文しようと店員へ聞いてみる。今までの経験上、炭水化物なら1kgぐらい余裕である。しかもスイーツなんて甘いもの、お腹にはたまらないだろう。
ただ、念のためである。一応、聞いてみる。

「すみません、キングパフェって一人でも食べきれますか?」、「いや、厳しいと思いますね。」

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その「厳しい」の声に怖くなり、小さいサイズのジャンボパフェを食べました。

怖かった。残すのが怖かったんです。気づいたときには「じゃあ、ジャンボパフェで」と言ってしまっていた。こういうところが会社で昇進しない理由かもしれない。あと、隙あらばさぼろうとするからか。

しかし、負けた気持ちのままではダメだ。当たって砕けろの精神で友人と行った。リベンジである。

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絶対食べきるぜ!
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これは弱い自分を乗り越える物語

もう逃げない、そんな気持ちでやってきた。昨日の夜からなにも食べていないのでお腹が減って仕方がない。

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精神を落ち着かせながらキングを待つ。
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しばらくすると、取り皿と大きなスプーンがやってきた。
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そして、登場したキングパフェ。でっけぇ...。

テーブルにエベレストが来たのかと思ったらキングパフェだった。あまりの重さに店長自ら持ってきてくれた。

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友人の顔が見えないぐらい大きい。こういうゆるキャラがいそう。

ソフトクリームなので早めに食べないと溶けてしまう。どのくらいの時間で完食できるのか。

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大きなスプーンですくって、
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取り皿へ。公園の売店でおばちゃんがサービスしてくれたソフトクリームぐらいの量だ。

取り皿に盛られたソフトクリームはこれ1杯で普通のパフェぐらいの量がある。こんなにソフトクリームを食べてもまだパフェを楽しめるなんて良い。

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甘すぎず、後味がさわやかなソフトクリームです。

普段、コンビニやスーパーで売っているアイスは小さく、すぐに食べきってしまうが、このパフェなら満足以上の量が味わえる。ソフトクリームが上の乗っかっているだけであとはコーンフレークだけのかさ増しパフェがあるが、このパフェは下までぎっしりとソフトクリームが入っている。全然減らないとんちみたいなソフトクリームである。

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アイスって20分ぐらい食べると寒くなることを知りました。
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途中から取り皿を使うのが面倒になり、直接食べることにした。

食べ始めてから30分弱、ようやく山はなくなり、グラスの中を食べ進める。気づいたのは甘い物って飽きるなということである。

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甘い物を大量に食べるとしょっぱさが恋しくなる。後半、ずっとぎょうざのことを考えていた。

甘いものはだいたい塩やしょうゆで味がついた食べ物のあとに少しの量で出てくるだろう。よくできた構成である。どこでもいいのでシェフを呼んでお礼を言いたい。そして、ちょっとだけこのパフェを食べて行ってほしい。

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途中、肩がつって悶絶する時間がありましたが、
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食べ続けて2時間で残り2割ぐらいまで減ってきた。

2時間甘いものを食べ続けると頭がぼーっとする。頭が働かない。対面の席に座る友人が500メートル先にいる感じがする。

「残り少ないから食べていいよ」と遠回しに食べきってほしいアピールをしたが、温かいコーヒーを注文して黙ったので私がいただきます。

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気合いでなんとか完食した。気持ちでなんとかするタイプだ。

1時間あれば食べきれるだろうと思ったがスイーツだけに甘かった。満腹ではないのだが、手がパフェへのびない。休憩をしたり、コーヒーを飲んだり、ピザトーストを食べるか相談していたら2時間半ぐらいかかった。

しょっぱい料理よりも甘いものほうが同じ味に飽きるのが早いかもしれない。

今回、2人で挑戦したが、4、5人で食べる人が多く、1人で食べ切れる人もいるらしい。胃が宇宙なのか。

余談だが、武蔵小山は商店街が充実しており、そこで飲み食いしたあと、清水湯という温泉施設に行くのもおすすめです。以上、情報でした。

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初めてのハニトー

最後は存在は有名だが食べたことのないものを食べたいと思う。

皆さんは「カラオケ パセラ」をご存じだろうか。
首都圏および関西圏を中心に計19店舗(wikipedia情報)があり、ご飯に力を入れているカラオケ店でもある。

そんなパセラには名物のスイーツがある。ハニートースト(通称:ハニトー)という食べ物だ。

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お店の前にモニュメントができるぐらいの名物っぷり。

編集部の安藤さんも食べたことがなく、食べてみたいということで一緒に食べに行った。

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普段、カラオケには行かないタイプだそうです。自分も行かない。

飲み物と一緒にハニトーも注文する。カラオケに来たのだから1曲ずつ歌ってから注文しようと思っていたが、先に注文して正解だった。

トーストが大きいために調理に時間がかかり、届くまでに30分以上かかる。鳥貴族の釜飯と同じである。行ったらすぐに注文しよう。待っている間、カラオケを満喫する。

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ちなみに料理メニューは電話受付ではなく、タッチパネルでの受付である。

電話では「受け付けていないんですよ」と言われて恥ずかしさを感じた。カラオケに行かなすぎてシステムがわからない。

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安藤さんのラブ・イズ・オーバーでスタートした。

安藤さんは以前、カラオケ大会に出ることになり、1時間ずっとラブ・イズ・オーバーを練習したそうだ。

 

この動画のときである。

そして、自分は音痴なので人とカラオケに行くということがない。昔、一人カラオケを趣味でやっていたが2、3年行ってない。

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私はTHE BLUE HEARTSを歌った。高校生のときからずっと聞いている。

2曲歌っても全然来ない。カラオケに行かない人たちの持ち歌がなくなっていく。歌える曲を増やそうと安藤さんと今後のカラオケ対策を話し合った。

そして、サザンオールスターズの「愛しのエリー」を歌っているときにやってきた。ウェディングケーキが来たのかと思った。

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こちらが一番人気の完熟チョコバナナハニトー。
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こちらは安藤さんのハニトーバニラ。

トーストというからには6枚切りとかの薄いパンが来るかと思ったら、1斤(きん)ぐらいある。大きなトーストにたっぷりのはちみつ、そしてバニラアイスが乗っている。
このボリュームのある食べ物を食べながら歌うなんて、さては食いしん坊が来るお店だなと思ったが、多分普通の人たちは1人1斤じゃない。

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甘い香り漂う中、安藤さんの「愛しのエリー」が響き渡る室内。

安藤さんの歌が終わり、早速食べてみよう。初めてのハニトー、そのお味はいかに。

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「いただきます!」
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「すげー甘い!」

たっぷりかけられたはちみつがパンに染みこみ、そこにバニラアイスの甘さも加わる。甘いもの好きにはたまらない。疲れた脳が目覚めるほど甘い。

そして、底に行くほどはちみつが染みこみ激甘である。梅雨の時期に傘を持って歩かないぐらい甘い。

安藤さんいわく「武器になるぐらい甘い」そうだ。

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そして、まだ1つめが食べ終わってないときにやってきたのが、
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渋谷限定の忠犬ハニ公。
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パンに犬がいる。さらにテーブルの上には3斤のパンがある。春のパン祭りである。

食べても白いお皿はもらえないが、楽しい祭りの始まりだ。歌いながら食べよう。

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食べながら歌うってできないな。

ハニートーストがおいしいのは事実だ。しかし聞きたい。これを食べるタイミング、難しくないですか? パンが口の中の水分を全て奪うなかで、キン肉マンなんて歌えやしない。

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歌えないけど、おいしいので大丈夫です!

さすがに2斤食べるのはきついというより、集中して食べたいときに音楽はあまり必要ないかもしれない。

安藤さんが歌う浜田省吾の音量、少し下げようかなと思った。ハニトーにロックは合わない。クラシックとか流してほしい。

このあと、甘さに負けてしまい食べきれなかったがスタッフがおいしく頂きました。

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エンディングです

というわけでこれをもちまして無限に食べられる3部作はいったんおしまいです。みなさんありがとうございました。

エンディングは尾崎豊の「卒業」でお別れです。ちゃんと歌詞を書くと怒られそうなので替え歌でお送りします。それではどうぞ。

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「お皿の上 グラスの中 すいこまれる食べ物(そら)」
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「食欲とリアルな美味さ 感じていた」
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「電車に乗り 次の駅で お店に入る」
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「大盛りの ハイカロリー競い合った」
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「行儀よく 遠慮なんて できやしなかった」
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「夜の中華 わんこそば パフェかき氷」
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「このシリーズからの 卒業~」
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ご静聴、ありがとうございました。

あなたの無限に食べられるものはなんですか?

そば、チャーハン、スイーツと無限に食べてきた。どれもただ大きいだけではなく、オリジナリティーのある作りでおいしかった。まだまだおいしいお店はあると思うので、見つけたらメモしておきます。無限に食べられるシリーズ、ごちそうさまでした。

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今回紹介しきれなかったが、武蔵小山にラーメンを食べたあとにかき氷を食べられるお店「はいむる珈琲」というお店もある。ここも全部おいしいのでおすすめです。ジャンボパフェを食べたあとに行ったけどおいしかった。
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