ゴボウ農家さんはすごい。地中にあれだけ細長く根を伸ばすための土作り、そして掘り起こす労力を考えてみてほしい。自然薯くらいの値段になっても不思議ではない大変さだ。
ゴボウの栽培はプロに任せて、来年は裏庭に生えている山芋でも牛乳パックで伸ばしてみようと思う。
土の中に伸びた根を食べる野菜、ゴボウ。その細長さは数多ある根菜類の中でも圧倒的であり、素人にとっては育てるのも掘るのも大変な野菜だ。成功した試しがない。
だが牛乳パックを繋いだ細長い容器で育てれば、容易にゴボウらしいゴボウを収穫できるのではないだろうか。
これまで何度か家庭菜園でゴボウを育ててみたが(「ゴボウの実から面ファスナーが発明されたという伝説を16ヶ月かけて確かめた」参照)、畑の土が硬いためか、毎回ひっくり返ったバオバブの木みたいに太くて短い、複雑に分岐した謎の野菜になってしまう。
私は悟った。もし50センチのゴボウを収穫しようとしたら、それ以上に深く、土を柔らかく耕さなければならないのだ。そんなのトラクターでも買わないと無理。
畑の土を柔らかくするのが無理ならば、細長い容器を用意して、地上で育てればいいじゃないということで、牛乳パックをつなげて栽培してみることにした。
牛乳パックの底を無理矢理開けて、三箱を縦に連結させて、水抜き用の穴を空けて、ホームセンターで購入した野菜栽培用の柔らかい土を流し込む。
ここで畑の粘土質の土を使うと、たぶん牛乳パックの中で土が硬く固まって、だいたい地植えと同じ結果になると思われる。
ゴボウは種からではなく、畑に勝手に生えてきたものから、比較的根がストレートなものを選りすぐって植えた。
ワンパクでもいい。まっすぐに育ってほしい。
これを適当な場所に設置しようとしたのだが、そういえばなにも植えられていない植木鉢があったので、牛乳パックの底を切り取って立てかけることにした。この植木鉢の深さが、さらなるゴボウの伸びしろとなるのだ。
ついでに適当な棒を牛乳パックの両脇に深く刺して、しばりつけて植木鉢と一体化させることで、多少の風に耐えられる構造とした。
これを小学生時代にやっていれば、夏休みの自由研究でなんらかの賞がもらえただろう。そんなのばっかりだ。
翌日、ゴボウの様子を見ると、すっかりしおれていた。
しまった、植え替え作戦は失敗だろうか。
でも水をたっぷりとあげたらすぐに復活をしてくれた。
そして収穫のタイミングに迷ったまま、早くも11月を迎えた。
あまり日当たりの良い場所ではなかったので、上物(うわもの)はそこまで大きく育っていないが、果たして根はどこまで伸びただろうか。
固定器具を外して三連パックを持ち上げてみると、なんと植木鉢の中までゴボウがしっかりと伸びているではないか。
これは期待しかないやつだ。
その後の処理を考えて、ゴミ袋の中でパックを開いてゴボウ取り出してみると、長さ的には期待以上だが、途中で分裂してイカのおばけみたいになっていた。あわあわ。
今回は種からではなく、苗となる若ゴボウを移植したため、硬い土生まれの彼らは分裂する気になっていたのかもしれない。種からだったら違う結果となったかも。
この結果を成功ととるか失敗ととるか微妙なところだが、試してみないとわからないことがあるというのを知られたので大成功だ。きっとゴボウの原種はこんな野菜だったのだろう。
こうして収穫したゴボウは、丁寧に洗って泥を落として、キンピラゴボウにしていただいた。細いだけあって柔らかくておいしかった。
やっぱり鮮度が抜群なので、市販のゴボウと比べても香りの面では勝っていると思う。全体的な手間という部分で大負けだが。
ゴボウは家庭菜園に向いていない。でも育てるとおもしろい。
ゴボウ農家さんはすごい。地中にあれだけ細長く根を伸ばすための土作り、そして掘り起こす労力を考えてみてほしい。自然薯くらいの値段になっても不思議ではない大変さだ。
ゴボウの栽培はプロに任せて、来年は裏庭に生えている山芋でも牛乳パックで伸ばしてみようと思う。
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