橋のない川を車で渡る
出発前に「けっこう山道を走るよ」といわれ、先導の車と離れないように車の底をかまぼこ道でこすりながら走っていくと、目の前に橋のない川が流れていた。
ここがモンゴルだったら馬をハイヤーっと走らせて川を渡っていく場面なのだが、私が乗っているのは馬ではなくてキューブという車だ。あいにく川を渡るようにできてない。ありえない。
先導の四輪駆動車が馬以上に躊躇なく川をザブザブ越えていく。
ちょっとこれは無理だろうと思い引き返そうかと思ったが、ぎりぎり車が通れるような山道をバックで戻るほうがおっかない気もする。
このシチュエーション、自分が小学生低学年の頃、近所の年上グループと一緒に遊ぶためには、1メートルくらいのドブ川をジャンプして飛び越えられることが条件だといわれたことを思い出させる。その時はまんまと落ちたのだが、もしここで車が壊れたら、JAFの人は来てくれるのだろうか。
川の向こうには手を振る人達がいる。もう仕方ない。意を決して、「ごめんなさい!」と誰にあやまっているのかよくわからない叫び声をあげながら、どうにか水しぶきをあげながら川を渡り切る。
続けてよくわからないままに連れてこられた友人の車が、いやいや川を渡る姿を写真に撮りながら、もし私が次の車を買う機会があるとすれば、その時は「最低地上高」が車種選択のキーワードになるなと思った。車にあまり興味はないが、「もし次に車を買うとしたらどれにするか」を考えるのは大好きだ。
写真だと大したことなさそうに見える川だけれど、いざ自分の車で渡るとなると、なかなか蛮勇を振りしぼらないと渡れない川だった。そして渡った以上はまたこの川を渡らないと帰れないところがまた悲しい。
ここさら先は自分の足で進む
川を渡った先で車を止めると、ここから先は徒歩で進んでいかなければならない。川沿いに歩けるような道があればそこを歩き、道がなければ川から出ている石を足場にピョンピョンと飛び越えていく。
「風雲!たけし城」の竜神池みたいで楽しいのだが、苔の生えた石はとても滑りやすく、転ぶと本気で怪我をしそうなのでやっぱり楽しくない。