『あたしンち』が好き
『あたしンち』とは東京郊外に住む4人家族の日常を描いた漫画である。原作の連載が30周年を迎えた本年に新作アニメの制作が発表されるなど、今でも根強い人気を誇る作品だ。
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『あたしンち』はきちんと人間を描こうとする気概があっていい。たとえば一家で食卓を囲んでいるシーンで母と娘がああだこうだと話に花を咲かせるなか、父親は会話の内容に興味を示さない様子で黙々と酒を飲んでいることがままある。
僕が子供の頃にアニメを見ているときはそんな父に人間味を感じず恐ろしく思ったものだが、むしろ今では無口な父が積極的に会話に参加しているほうがおかしいよなと感心させられる。人間に型はなく台本のなかで生きてるわけじゃないんだから、会話に参加しない人が場にいてもいいし、そんな日があってもいい。
そういうリアルさが好きだ。
リヴィン田無店、田無駅
あたしンちには「DOVIN」というショッピングセンターがよく出てくる。なにかをもじった店名であることは想像がつくが、いかんせん土瓶だ。元ネタが謎でずっと気になっていた。
予習として調べてみると元ネタは「LIVIN」という店らしい。リヴィンがドヴィンね。難しすぎる。よし、なによりもまず田無に着いたらそのLIVINを見てみよう。
作中でキャラクターが歩いた道に立つことができるのはうれしい。だって、あのDOVINが目の前にあるのだ。おら東京に来てよかった。
ワクワクしてLIVINに入ってみたがキャラクターの像やポスターなどは見つけられなかった。たぶん近くに住んでいる人たちが普段づかいするお店だから、そんな浮かれたことはしないのだろう。
かろうじて、LIVIN内の書店のあたしンちが置かれている棚に、“田無”といえば『あたしンち』と書かれたPOPが貼ってあるのが見つかった。
そして、このPOP以外にあたしンちの町であることを直接アピールするものはなかった。あとは想像でまかなうしかないのである。厳しい。こんなに難しい趣味なのか。聖地巡礼って。
LIVINのほかにも聖地とされているスポットは田無駅付近にだいたい集まっている。駅、改札、バス停などなど。実のところLIVINで見るだけで十分満足したが、ほかも見て回っておこう。
いい。見たかった景色が矢継ぎ早にあらわれて大変にいい。
いいけど、やっぱり像とかポスターがないと雲を掴むような感じがしてさみしい。 聖地巡礼と言っても駅前近くですぐに終わってしまったな。どうしようか。