1軒目:新宿伊勢丹地下食品街
右目が充血して痛々しい状態の林さんと、二日酔い状態の僕でこれから新宿の生ジューススタンドを巡る。
僕は二日酔いが治りますように、林さんは目の充血が治りますように。それぞれの願いを胸に、ますば伊勢丹の地下食品街へ。
2人のオーダー
・住:メロンジュース
・林:ブルーベリージュース
注文すると果物をミキサーにかけてその場でジュースを作ってくれる。そうか、生ジューススタンドの「生」には素材が生という事と、その場でミキサーにかけて作るライブ感も含まれている。と、勝手に解釈。そんな手間暇をかけてもらってすみません。
2、3分でジュースが出来上がる。メロンジュースの入った紙コップを口に近付けるとまずキュウリの香りがする。でも飲むとちゃんと濃厚なメロンの味がする。キュウリの香りがして味もキュウリだったらちょっと驚く。これ、キュウリじゃん。
林さんはブルーベリーを飲みながら
「思ったより薄いなあ」
とぼやいている。目の充血を治すためには、もっと濃厚なブルーベリーが必要なのだ。
メニューに「いちごミルクジュース」というのと「ストロベリー」というのがあり、券売機の所でおばちゃんが
「いちごとストロベリーはどう違うんでしょう?」
って悩んでいた。
僕にも分らない。
2軒目:新宿伊勢丹地下食品街「MARIO GELATERIA」
同じく新宿伊勢丹の地下街にもう1軒生ジュースを飲ませてくれる場所がある。「MARIO GELATERIA」は綺麗なお姉さんたちがカウンターの中で生ジュースをミックスしてくれる。
住「ここでバイトしたいですね」
林「僕だったらバンダナ何色かなあ」
住「時給はどれくらいでしょうね」
林「緑色が余ってるから、緑色かな」
住「坊主頭でもバンダナは巻かなきゃいけないんですかね?」
林「坊主とか関係なく、バンダナは巻きますよ」
坊主頭にバンダナを巻いたらマイケルジャクソンの「BAD」のプロモに出て来る間違った解釈の日本人みたいだ。
2人のオーダー
・住:バナナヨーグルト
・林:アンデスベリー
バナナヨーグルトはバナナを剥いてそこにストローを刺して吸っている、という感じがするくらい濃厚で吸い込むのに疲れてしまう。メニューにバナナヨーグルトの効用が書いてあって「疲労回復、ガン、風邪」とあった。ガンに効くって、随分と大きく出たものだ。
アンデスベリーの林さんは
「あまりにも酸っぱくてアゴが痛くなりました」
と言っていた。
ちなみにアンデスベリーの効用は「精神安定、美肌、高血圧」。
とりあえず店員さんがみんな綺麗だったので、2人でキメ顔を撮影しておきました。
3軒目:新宿三越地下食品街「サンフルーツ」
伊勢丹から三越に移動。地下食品街のはずれにジューススタンドがある。買物途中の主婦や子供連れが主な客層。
今まで2杯の生ジュースを飲んだが、二日酔いは一向に良くならない。むしろ胸やけがひどくなっているように思う。
林さんの目も、まったく回復していない。
生ジュースに速効性は望めない。まあ、当たり前だけど。
2人のオーダー
・住:パパイヤミルク
・林:ブルーベリーヨーグルト
パパイヤミルクの味を一言で表現すると「濃いけど薄い」だ。
食感というか舌触りは濃厚なのに、味が薄い。全部を飲み切るのは胸やけ状態の僕には至難の技だ。
住「これ、残しちゃってもいいですかね?」
林「いや、今回の取材は全部飲み切るって事で」
そんな規則は今はじめて聞いた。ブルーベリーヨーグルトを飲む林さんが仕事師の目になり、充血に磨きをかけている。
「これはキツイなあ……」
独り言のようにボソボソとつぶやきながら、なんとか飲み切って次の店に移動です。
4軒目:新宿駅・サブナード「伊藤園ナチュラルステーション」
新宿駅地下街のサブナードへ移動。
今回の生ジューススタンド巡りの隠れテーマとして
「苦手のにんじんを克服しよう!」
というのがあった。僕はにんじんが本当に苦手で、どんな料理でもにんじんだけをよけて食べる技を持っている。きんぴらごぼうでも僕が食べた後には千切りのにんじんが残る。
いい大人がそんな事ではイケナイので、今回その苦手を克服出来れば。と考えていたのだが、最初の3軒ににんじんジュースはなかった。
で、4軒目。とうとうにんじんジュースが現れた。
2人のオーダー
・住:赤いベジタブル
・林:緑のベジタブル
「赤いきつね」と「緑のたぬき」みたいだな。なんて呑気な事を言っている場合ではない。赤いベジタブルには「にんじん、セロリ、パプリカ」が入っている。無理っぽいなあ、にんじん。でも、
「いや、今回の取材は全部飲み切るって事で」
という林さんの目が光っているので、飲まない訳にはいかない。
そんな林さんは緑のベジタブル(ほうれん草、モロヘイヤ、セロリ、パセリ入り)を
「実家の近所の草むらの匂いがします」
って言いながらハイペースで吸っている。一口もらうと確かに草むらの香りがした。小学校の時の林間学校の朝に感じた朝露に濡れた草木の香り。
なつかしいなあ。
って誤魔化して赤いベジタブルをなかった事にしようとしたが、そういう訳にもいかずとりあえず一口。あっ、いける。飲みやすい。にんじんの味がしない。
これならβカロチンを摂取出来るではないか。今度からにんじんジュースにしよう。ジューススタンド巡って本当に良かった。
でも、二日酔いと生ジュースの飲み過ぎで胸やけがピークに。胃薬を飲む。
それでもジューススタンド巡りはまだまだ折り返し地点。次のスタンドに移動します。
5軒目:新宿MYCITY内「沖縄・美々」
ここから新宿に別の用事で来ていた大塚さんが合流。助っ人の登場で半ばグロッキー状態だった僕に生気が戻る。僕が飲めなかったら助けて下さいね。
MYCITYに一足先に到着していた大塚さんが
「面白そうなジューススタンド見つけましたよ」
と当初の予定になかったお店を発見。天然生ジュースと沖縄物産店「沖縄・美々」だ。さすが「はっけんの水曜日」担当。
メニューを見るとニガナジュース、ゴーヤジュース、と怪しさ満載だが……。
3人のオーダー
・住:ニガナジュース
・林:ゴーヤ生ジュース
・大塚:ドラゴンフルーツ生ジュース
みなさん、とにかく一度ニガナジュースを飲んでみて下さい。予想を大幅に上回る豪快な味がします。ジュースっていう気分で口にしたら痛い目に会います、確実に。
強烈な苦味の中に青臭い香りが漂う、とでもいいましょうか、あまりに凄いので店員さんにこのジュースはどうなっているのか聞いてみた。
「沖縄の方言で『下げぐすい』っていうのさー」
下げる薬、という意味らしい。便秘の人は便が出るようになるし、血圧が高い人は血圧が下がる。
「面白い話しがあってさー、臨月を迎えた妊婦さんにこれを飲ませると出産が早まるのさー、子供も下げちゃうんだね」
恐るべしニガナ。このお店には生のニガナも売っているので自宅でニガナジュースを楽しむ事が出来る。
僕があまりに辛そうに飲んでいるので、店員さんが
「シークァーサーとブレンドすると飲みやすいから」
って飲みかけのニガナジュースにシークァーサーをブレンドしてくれた。
確かに飲みやすくなってありがたかったのだが、ブレンドした事によって量が増えてしまいかえって大変な事に。
「医者いらずと言われる」というキャッチフレーズだが、
「コレ飲むくらいだったら医者に行きます」って林さんが言っていたくらいなので、これは完飲せずに許された。
6軒目:新宿MYCITY内「ジューススタンド」
ニガナジュースの余韻もそのままに、同じくMYCITY内にあるジューススタンドに。3人ともニガナジュースにやられてしまっているので、ここでは優しいジュースをオーダーする事に。
3人のオーダー
・住:いちごジュース
・林:ペルシャ産ザクロジュース
・大塚:バナナジュース
僕と大塚さんが優しいジュースを頼んだのに、林さんは「ペルシャ産ザクロジュース」に挑んでいる。強いなあ(羨望と嫉妬が入り交じった視線を向けて)。
ペルシャ産ザクロジュースを飲んで林さんが一言
「お酢みたい」
確かにメニューには「お酢入り」と書いてある。ザクロよりお酢の方が勝っているということか。
「アセロラジュースをもっと雑にした感じ」
林さんの感想からポジティブな面が出てこない。
「だんだんコップから変な匂いがして来た」
まあ、とにかく酢が勝っているという事で。
途中、掃除のおばさんがやって来てカウンター内の店員さんに向かって
「そんなことしてると襲われるよ」
って言っている。
「今日も来たよ」
って店員さんが答えていたが、何が来たのだろうか?毎日何かの襲来に怯えながら生ジュースを作っている店員。そりゃあ、お酢の量も増えましょう。
7軒目:新宿駅地下街「SNAP'PY」
新宿駅地下街にあるジューススタンド「SNAP'PY」。ここで再び人参ジュースと巡り会ってしまう。ニガナジュースを含め都合6杯の生ジュースと胃薬を飲んだ身にとってここでの人参ジュースはかなり無理。
「すみません、大塚さん。ここは一つ」
助っ人大塚さんの登場だ。
ここでのオーダー
・人参ミックス
「あ、林さん。目の保護に、って書いてありますよ」
でも林さんにさっきまでの勢いがない。
「僕、赤い系はちょっと苦手みたいです。緑系はいけるんですけど」
だらしない男性陣を尻目に大塚さんがグビグビと人参ミックスを飲み干していく。なんて頼りがいのある人なんだ。巨人に移ったペダジーニもこれくらい活躍するのだろうか?がんばれペタジーニ。
8軒目:新宿ルミネ1「TAINAN TAAMI」
ちょっと趣向を変えて台湾スムージ-はいかがでしょうか。
僕は初めて飲んだのですが、基本的には氷と粉末と液体をミキサーで混ぜると出来上がるようです。
3人のオーダー
・住:芋頭スムージー
・林:ココナッツスムージー
・大塚:パールミルクティ愛玉
フタに印刷されたどこかで見たようなキャラクターたちは気にせず、まずは一口。くわえたストローが異常に太い。通常のストローの2倍くらいの直径がある。その太いストローで吸うには結構力が必要で、勢い良く吸ったら吸ったで頭がキーンッって痛くなる。かき氷を一気に食べたらキーンッってなるのと同じ。
飲んだ感じはほぼマックシェイク。おいしい。
「おいしけど、真冬に飲む感じじゃ……ズズッ」
「確かに。頭が痛く……ズズッ」
ずっと生ジュースばかり飲んでいたせいか、カツカレーとかハンバーグとかスパゲッティとか、そういうものが食べたくて仕方ない。
「何か熱いもの、食べたいですね」
「あっ、スパゲッティ。おいしそう」
さあ、次の店に行きましょう。最後は渋谷の青汁スタンドですよー。
元気ですかー!
9軒目:渋谷宮益坂「青汁スタンド」
ラストは渋谷に移動して「青汁」です。
噂によると相当手強いと聞きますが、どうなんですか?林さん。
「いや、結構大丈夫ですよ」
そう、林さんは緑系には強いのです。
店内に入ると凄く人の良さそうな主人が青汁を振る舞ってくれる。
3人のオーダー
・住:おいしい青汁
・林:青汁
・大塚:おいしい青汁
「おいしい青汁」の方にははちみつとレモンが入っていて飲みやすくなっている。通常の青汁は純粋な青汁なので、ビギナーの僕と大塚さんは「おいしい青汁」で。
それでは、グビッと。
「あっ、意外といける。っていうか全然大丈夫」
飲食店に来て「全然大丈夫」っていうのもどうかと思うが、飲みやすい。これもニガナ効果か?
常連さんらしきお客さんが次々と来店して来て、回数券で青汁を飲んでいる。
常連さん「今日の青汁は甘いね」
店主「そうでしょ。今年は甘いんです」
聞く所によると青汁は季節によって味が変わるらしい。冬場は甘くなって、今年の冬は寒さが厳しいので甘味に磨きがかかっている。
「通常でしたらちょうど2月くらいの甘さです。はい。」
人の良さそうな店主は上機嫌だった。
まとめ
9軒のジューススタンドを巡り、僕の二日酔いもすっかりとれた。
「いやあ、治りましたよ。二日酔い」
「それはただ単に時間が経ったからですよ」
大塚さんの鋭い突っ込みが入る。
林さんの目はどうなった?
そんな訳ですっかり生ジュース通になったので、
「生ジュースオールスターズ夢のオーダー発表!!」
1番センター「芋頭スムージー」 2番セカンド「緑のベジタブル」 3番ショート「パパイヤミルク」 4番ファースト「ニガナジュース」 5番サード「ゴーヤ生ジュース」 6番レフト「ペルシャ産ザクロ」 7番ライト「赤いベジタブル」 8番キャッチャー「青汁」 9番ピッチャー「人参ミックス」 |
パパイヤミルク、ニガナジュース、ゴーヤ生ジュースのクリーンナップは破壊力絶大。6番のペルシャ産ザクロからでも中長打で得点をかせげる強力打線。打たせて取る人参ミックスと青汁のバッテリーは安定度抜群で相手チームは凡打の山に。
このドリームチームに挑戦してみてはいかがでしょうか。