嗚呼、何とかわいそうな黒ひげよ
樽に入った黒ひげに向かって剣を刺す。これってそもそもどういう状況なんだ。
タカラトミーのサイトを見ると、恐るべき光景が広がっていた。
黒ひげの入った樽は海を漂っていたのである!
つまり敵に捕まった黒ひげは、樽に入れられて海に流されたのだ。
樽から飛び出した黒ひげがどうなるか、想像するに難くない。
インターネットでは「仲間の海賊が剣を刺し、捕まった黒ひげのロープを切って助ける」という説も見られたが、記事の都合上この設定で推し進めたい。
この平和な世の中で黒ひげはものすごい危機に直面しているのだ。
これは何としても助けたい。
飛び出したあとに海に落ちなければ、黒ひげの命はまだ助かるかもしれない。
空中キャッチだ。それしか方法はない。
使命感に燃える
早速黒ひげ危機一発を買ってきた。
助ける対象をいきなり金で買ってきてしまったが許していただきたい(特にタカラトミーさん、冗談の記事なので怒らないでください)。
黒ひげ危機一「発」なのである。007の映画タイトルと同じ表記だ。
まずは底のネジを外してバラしてみる。
デイリーでは
この記事でも分解されているが、シンプルな構成だ。
電池駆動じゃないおもちゃの機構にものすごく惹かれます。からくりだ。
まずは空中キャッチする部分を作ろう。
黒ひげが飛び上がると、両脇から腕が挟み込んでキャッチするようにしたい。
こういうイメージ。
剣と干渉しなさそうな位置にドリルで穴を空ける。筆者と同じくらいの世代の方は、昔ミニ四駆の肉抜きという改造を散々やったであろう。
穴と穴の間をニッパーで切ると、簡単にスペースが出来た。
思ったよりもラクに出来て嬉しい。
過去に同じような加工をしたときは、ドリルがなかったので半田ごてを突き刺し、プラスチックを溶かしながら穴を空けた。
換気が必要なタイプと思われる甘い香りの煙が出てきたので、慌てて作業した記憶があるが、今回は安心だ。
穴が空いたので腕の部分を作り、モーターを中に入れる。
ホットボンドで強引にモーターを付ける。初めてホットボンドを使ったが、すいすいくっついてこれめちゃくちゃ楽しいですね。
こうして黒ひげの樽から腕が生えた。
この腕が内側に動いて黒ひげをキャッチする算段だ。
こういう形の敵、ゲームのスーパードンキーコングに出てきたような気がする。
動くところは出来たので、黒ひげの飛び出しを判定するところを作ろう。
「フォトリフレクタ」という、物が近づいたり遠ざかったりするのを検出するセンサーを使う。
黒いやつがフォトリフレクタ。一度配線を間違えて、中のLEDがパーンと弾けた。
この位置に設置すると、飛ぶ前は距離が近く、飛んだ後は距離が遠くなるので、黒ひげの飛び出しを判定出来るという仕組み。(毎度ひどい図ですみません)
あとは黒ひげが飛び出したら腕が動くように、適当にプログラムを書いてひとまずは完成だ。
その前に、どのくらい黒ひげが飛び出すのか確かめてみよう。
あ。
黒ひげ、めちゃくちゃ飛び出すな。
慌てて腕を伸ばして、キャッチ用のスポンジをつける。
今度こそ完成!
せっかくなので外で撮った。
魔改造っぽさが出ていてとても良い。
元の高さの倍くらいになってしまったが、何が起きるのかが見た目からはさっぱりわからないところが気に入っている。
樽と黒ひげの一体感が増して、新たなボスキャラのようになってしまった気もする。
キャッチ出来た!
うまくいったのが嬉しくて、1カメ2カメ3カメとアングルを変えて撮ってしまった。
アップで撮ると、下から急に黒ひげが沸き上がってくるのが面白い。間欠泉かよ。
広がる海、迫り来る剣、周りを泳ぐサメ(これは想像です)…これまでの黒ひげには危機に満ち溢れていたが、もう安心してほしい。
黒ひげ危機一発ならぬ、黒ひげ安全装置の誕生である。
地味だ!
ものすごく手間がかかった割に、絵面が地味すぎる。
でも、平和とは得てしてそういうものなのかもしれない。
黒ひげを救うことで、また一つ勉強になってしまった。
頭の悪いメカ 発表会やります!
デイリーポータルZ×fabcrossのイベント、「頭の悪いメカ 発表会」に出演します!(編集部石川さんの告知記事は
こちら)
今回の黒ひげ安全装置に加え、新作も出します。
超豪華メンバーでお送りするイベント、皆さま是非頭を悪くしてご参加ください。
イベント概要
fabcross × デイリーポータルZ presents
頭の悪いメカ 発表会
6/25(土) 17:00 OPEN 18:00 START
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東京カルチャーカルチャー
役に立たない機械を作っている人たちのトークショーです。
・石川大樹(デイリーポータルZ編集・ヘボコン主催)
・爲房新太朗(デイリーポータルZライター)
・てらおか現象(マンガ家、Fabcrossライター)
・藤原麻里菜(Youtubeチャンネル「無駄づくり」)
・マンスーン(ハイエナズクラブ、オモコロ等ライター)
・森翔太(パフォーマー、映像作家)
・司会:越智岳人(fabcrossウェブマスター)
・ゲスト:きゅんくん(ロボティクス・ファッション・クリエイター)
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