特集 2012年9月29日

海水で作る豆腐は海の味によって変わる

海の味の違いを調べる第2弾。今回は島豆腐で違いがでるのか実験してみます。
海の味の違いを調べる第2弾。今回は島豆腐で違いがでるのか実験してみます。
沖縄の豆腐といえばアチコーコーの島豆腐が一般的ですよね。

海の味は違うのか?に続く第2弾は、西海岸と東海岸の海水を使って島豆腐を作ると、それぞれ味に違いが出るのか?という実験です。
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本土の豆腐(木綿豆腐など。以下、豆腐)との違いは、作り方の違い。どちらも生呉を作るまでは同じ工程。生呉というのは水を入れた大豆を細かくすり潰したもの。
島豆腐は生搾り法と呼ばれる作り方。
呉→搾っておからと豆乳に分ける→豆乳を煮る→海水を入れる→脱水成型

豆腐は煮搾り法というもの。
呉→呉を煮る→搾っておからと豆乳に分ける→豆乳を煮る→にがりを入れる→脱水成型→水の中に入れエグミを取る

先に煮るか後に煮るかの違いと、にがりだけを使うか海水を使うかの違い。

あと本土では豆腐を水にさらして冷ましてからでないと販売することができません。これは、食品衛生法で定められていますが、島豆腐は温かいまま売られています。戦後の本土復帰の際に法律が変わり、温かいまま売れなくなりそうになりましたが、政府と交渉し『以前から豆腐を温かいまま販売していた地域に限り、従来の販売方法を認める』となったそうです。
買ってきた大豆は、約500グラム。福岡産で268円。
買ってきた大豆は、約500グラム。福岡産で268円。
そういえば宮古島の方言で「だいず」ってありますよね。「とても」という意味。本島だと「でーじ」ですね。
初めて宮古島に行ったとき「だいず美味しい」って聞いたときは「宮古島は大豆が美味しいのか」と思ったことがあります。
分量がわからないので全部使ってしまう
分量がわからないので全部使ってしまう
15時。水に浸す
15時。水に浸す
大豆を2倍の大きさになるまで水に浸しておきます。大体6時間くらい。
この間に海水を採取しに行ってきます。

海水ゲット

海の味は違うのか?で採取した海水は、西海岸がエメラルドビーチ。東海岸があざまサンサンビーチでした。

今回、西海岸から採取した場所は瀬長島。沖縄本島で自由に行ける最西端です(沖縄本島最西端は那覇空港の奥にある大嶺崎。一般の人は入れない)。
台風の影響があるのか濁ってました
台風の影響があるのか濁ってました
ちょっと黄色い
ちょっと黄色い
対して東海岸は奥武島。ダイビングスポットでも有名なだけあってなかなかの透明度。
なかなかの透明度でした
なかなかの透明度でした
 明らかに違う
明らかに違う
台風や砂などの影響もあるかもしれないが、水の色が全然違う。瀬長島で採取した海水は、砂が混じって黄色く濁っているが、奥武島のは不純物がほぼ無く透明。
台風や砂などの影響もあるかもしれないが、水の色が全然違う。瀬長島で採取した海水は、砂が混じって黄色く濁っているが、奥武島のは不純物がほぼ無く透明。
浸け始めて6時間経過した21時。大豆の膨らみ方がハンパじゃない。
浸け始めて6時間経過した21時。大豆の膨らみ方がハンパじゃない。
ほぼ倍の量になったでしょうか。1kgくらいあると思う。
ほぼ倍の量になったでしょうか。1kgくらいあると思う。

呉を作る

ミキサーで大豆と同量の水を入れてすり潰していきます。
おたま約3杯分
おたま約3杯分
 水300mlくらい
水300mlくらい
泡立ちがすごい呉。少し青臭い
泡立ちがすごい呉。少し青臭い

ここからの工程で変わる

最初にも少し説明しましたが、島豆腐はこのまま搾っておからと豆乳に分ける。→生搾り法
豆腐はこれを火にかけてからおからと豆乳に分ける。→煮搾り法

今回は島豆腐作りなので生搾り製法。このまま搾っておからと豆乳に分けていきます。
布などにいれて
布などにいれて
搾る
搾る
生豆乳。ただの搾り汁なのでまだ美味しくない
生豆乳。ただの搾り汁なのでまだ美味しくない
思ったよりも豆乳が取れる。
生おから。かなりの量
生おから。かなりの量
火が通っていない生おから。おからというより大豆の搾りかす。かなり青臭い。そしてマズイ。

煮る

豆乳を鍋に移して火にかけます。強火だと焦げるので中火の弱火で。
豆乳を鍋に移して火にかけます。強火だと焦げるので中火の弱火で。
泡スゴい
泡スゴい
沸騰してくると吹きこぼれそうになるので弱火に。泡を取るとエグ味が少なくなるそうですが、このままで固めてみようと思います。
沸騰したら火を止めて、キレイに濾した海水を豆乳に投入。 まったく分量がわからないので500mlのペットボトル半分、約250ml入れました。
沸騰したら火を止めて、キレイに濾した海水を豆乳に投入。 まったく分量がわからないので500mlのペットボトル半分、約250ml入れました。
ゆし豆腐になりつつある
ゆし豆腐になりつつある
海水を入れてかき混ぜ待つこと数秒。徐々に固まり始めてきた...!
ゆし豆腐になってる!初めて豆腐を作ったのでちょっと感動。立ち込めるゆし豆腐の香り。たまりません。
ゆし豆腐になってる!初めて豆腐を作ったのでちょっと感動。立ち込めるゆし豆腐の香り。たまりません。
同じように奥武島の海水も豆乳に...(以下略
太平洋の海水はどうなるのか
太平洋の海水はどうなるのか
 同量の海水を投入
同量の海水を投入
ゆし豆腐作り楽しい
ゆし豆腐作り楽しい
海水が違うからなのか固まり方が違う。瀬長島の海水よりもしっかりと固まっている。

これを絞って固めたものが島豆腐になります。

絞り固める

できあがったゆし豆腐を搾って成形します。うちには豆腐の型はないので手で搾ります。冷めてないので非常に熱い。
できあがったゆし豆腐を搾って成形します。うちには豆腐の型はないので手で搾ります。冷めてないので非常に熱い。
この中に島豆腐がある。雑巾じゃない
この中に島豆腐がある。雑巾じゃない
搾る加減がわからないのでなんとなく搾った。

完成

紙粘土にみえるけど豆腐です
紙粘土にみえるけど豆腐です
瀬長島の海水島豆腐
瀬長島の海水島豆腐
奥武島の海水島豆腐
奥武島の海水島豆腐
最後の脱水成型の加減がわからず絞り過ぎたようで、かなり固い豆腐になってしまった。しかし美味しい。

瀬長島の海水(東シナ海・西海岸)で作った島豆腐はほんのりと塩味がついた薄めの味。
奥武島の海水(太平洋・東海岸)で作った島豆腐のほうは明らかに甘みと塩味がある。
同じ工程で作ったつもりだけど、ここまで違いがでるとは。
結果:島豆腐を手作りするなら太平洋側の海水のほうが甘みも塩味もしっかり付いて個人的にはオススメ。
というか、手作り島豆腐が美味しすぎるのでお試しあれ。まだ夏休みの自由研究が終っていないお子さんとどうでしょう。寝る前に大豆を水に浸けておけば、15分くらいで美味しいゆし豆腐や島豆腐が作れますよ。

残ったおからは炒ったら美味しい
残ったおからは炒ったら美味しい
島豆腐2丁作れるくらい大豆が余った
島豆腐2丁作れるくらい大豆が余った
おからも大量にでるし、大豆もあまっているので、しばらく大豆タンパク生活になりますけど、作りたての島豆腐は美味でした。

【後日談】沖縄だと海ネタがやりやすい

冒頭でも紹介したけど、以前沖縄の東のフィリピン海、西の東シナ海の海水で塩を作り比べたことがあった。 気のせいじゃなくて確実に海の味は違う。 そのうち塩辛さとえぐみの違いを見分けて「これはエメラルドビーチ」みたいな海水ソムリエみたいな人がでてくるんじゃないのか、そんなことを思っている。
そして海ではないけど、沖縄には世界に二箇所しかない塩水が湧き出る川「塩川」という川もあるので今度はもう少しポイントを増やして島豆腐を作ってみたい。
そして海ではないけど、沖縄には世界に二箇所しかない塩水が湧き出る川「塩川」という川もあるので今度はもう少しポイントを増やして島豆腐を作ってみたい。
あと沖縄はどこにいっても海が近いので、割と海のネタはやりやすい。
そろそろ沖縄も秋めいてきて、流石に泳ぐのはちょっと寒くなってきた。これから沖縄に観光に来る人は豆腐を作ったり、砂時計作ったり、海に立ったりして海を満喫してみてはいかがだろうか。
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