のり弁をむしょうに食べたくなったので書きました
たまにむしょうに食べたくなる食べ物があるだろう。それがのり弁だった。食べたいものを食べると心が満たされるので、今年は食べたいを食べる1年にしたいと思います。
ほかほかのごはんの上にのりを乗せて、その上に様々なおかずを容器いっぱいに入れたのり弁当こと通称のり弁。よくある弁当チェーンだと500円出せばおつりが出るぐらい安い。おせちやお餅もいいが、今、のり弁を食べたい。
※この記事は(交通費だけ)デイリーポータルZをはげます会の提供でお送りします。はげます会のみなさん、ありがとう!
「のり弁を知らない」という人のためにまずは基本となるのり弁を見てもらいたい。俺たちの味方、オリジンに来た。
オリジン弁当はオリジン東秀株式会社が運営する、惣菜や弁当を販売するお店である。キッチンオリジンはそのオリジン弁当の少しおしゃれで女性向けにアレンジしたお店だ。ここでは惣菜を自分で好きなものを好きな量だけ購入できる量り売りを採用している。好きなものをたくさんでもいいし、色々なものを少しずつでもいい。唐揚げをパックにパンパンに詰めて帰りたい。
実は1月3日にお店を探して色々と歩いたのだが、正月休みでどこもやっておらず、4店舗行って、全部休みだった。みんな休むのはいいことだ。休むときは休もう。
白いご飯の上にしょうゆをつけたのりを乗せ、その上に豪快に白身魚のフライ、ちくわの磯辺揚げ、きんぴらごぼうを乗せたらのり弁ができあがる。日本のおせちはこれでもいいと思う。
ただ、忘れてはいけない。このままだと味気がないと思う、味が濃い食べ物愛好家みなさん、おまたせしました。タルタルソースです。
他ののり弁も紹介しよう。ほっともっとである。ほっかほっか亭から独立したのがほっともっとである。
ここではのり弁の他にからあげ1個とコロッケが乗った特のりタル弁を選べる。基本のやつの方が比べるにはいいが、コロッケの魅力がすごい。ホクホクのコロッケとご飯を一緒に口の中に入れてしまいたい。それで俺の2020年は始まるような気がする。
BIGのり弁も魅力的だったが、間を取って特のり弁にした。
東京駅には駅弁屋がたくさんあり、牛タン弁当や海鮮弁当など魅力的な弁当たちが並ぶ。新幹線に乗って食べたい。ここでのり弁を探そう。
おいしそうな弁当が多く並んでいるがのり弁は一つもない。そうか、ないかと肩を落としながら東京駅内を歩くとのり弁の専門店を見つけた。そんなのがあるのか。
「のり弁があった!」と思い、メニューを見たら腰をぬかしそうになった。知っているのり弁じゃない。金持ちののり弁だ。
しかも値段が1080円。オリジン弁当だったら3つ買える値段だが、それ以上に魅力的なおかずが乗っている。
どうしようか、どれもおいしそうと思ってさらにすごいのを見つけた。
オリジン弁当なら9つ買える値段である。店員さんへ聞いたところ「並んでいる弁当、全部の具が入っている数量限定の弁当です」と「全部」「数量限定」と魅力的なワードでアピールされた。買います。
買ったので早速開けてみよう。これが2700円ののり弁だ。心して見てほしい。びっくりしやすい方は水かお茶を飲んでから見てください。
入っているのは、焼鮭、卵焼き、鶏の照り焼き、大葉のれんこんもち、きのこのりんご酢に、青葉のナムル、ゆず大根、しらたきの明太子和え、煎り豆腐、いくらなどの普段ののり弁では絶対に入らないおかずがたくさん。普段の君とは違う、着飾った君の姿はまぶしくて、凝視できない。そんなことをこののり弁を見て思う。
なんでもない日に食べていいのだろうか。王族しか食べてはいけない食べ物じゃない?食べて怒られない?
というよりこんなにおかずにお金をかけてしまって、ご飯が実はそこまでおいしくないとかではないのか。
有明海産を使っているため、風味がしっかりしている。鶏とご飯を一緒に食べたり、鮭とご飯を食べたり、鮭と鶏とご飯を一緒に食べたりとずっと口の中が幸せ。これこそ、おせちの代わりに出しても誰も文句を言わないだろう。
正月に実家で過ごしたとき「最近、のり弁にはまっている」と福島県出身の母に伝えたところ「郡山に有名なのり弁がある」と教えてもらった。
のり弁を買うために郡山駅に来た。滞在1時間で買って食べて、その日のうちに帰ろうと思っています。
駅を降りて撮影をしたが、駅弁屋は駅の構内にあるので、入場券を買って入る。
東京の駅弁大会で1位を取ったり、テレビなどでも紹介されたこちらののり弁。人気商品で1日何百個も売れるらしく、夕方にはほぼ売り切れるそうだ。「へ~のり弁が人気商品なのか」とのんきにのり弁を買おうしていた。そういう気持ちがダメなのかもしれない。
売り切れてた。郡山駅には駅構内と改札外に弁当屋が合わせて3店舗あるが、全部売り切れていた。ウケる。
「東京から来たんですけどどうにかなりませんか?」と聞いたが「今日はもう入荷はしないので・・・。昔は東京駅でも売っていたし、車内販売もしていたけど経費がかかったりで販売してなくて、ここで買うしかないですね」とのこと。こんなに手に入りづらいのり弁があるとは。
だいたい朝の8時と10時に入荷するという。「午前中に来れば必ずありますよ」とのことなので、この日は泊まることにした。まさかのり弁のために1泊しなければならないとは。
のり弁に集中したいので朝食を抜いた。のり弁と本気で向き合いたいのだ。
10時ぐらいに行ってみるとお目当てののり弁があった。ようやく出会えた。
家に着いてから日本一ののり弁を開封する。交通費代往復15,620円、宿泊代5,490円、弁当代1,000円。計22,110円の弁当だ。
東京駅に売っていたのり弁とは違って地味だと思うかもしれない。でも、違うんです。1つずつ紹介しよう。
これに太くて歯ごたえのあるきんぴらごぼうに、箸休めとしてさっぱりする赤カブ漬けが入っている。
シンプルイズベストという言葉があるだろう。バクバク食べるタイプの弁当ではなく、遠くの母を思い出しつつ、かみしめて食べる弁当だ。優しい味がする。
そして、メインのご飯である。たっぷりのおかかにのり、梅干しが乗っている。
おかかやこんぶ、梅がご飯にのっている。しかもおかずの鮭を乗せたら、みんなの夢、おにぎりの具を全部入れたご飯が食べられるのだ。おいしいに決まっている。
たまにむしょうに食べたくなる食べ物があるだろう。それがのり弁だった。食べたいものを食べると心が満たされるので、今年は食べたいを食べる1年にしたいと思います。
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