特集 2023年9月13日

シズラーで一番食べて欲しいのはチーズトースト、という主張

「シズラーのサラダバーにはこの世のすべてがある」と言っても過言ではない。種類が豊富な生野菜やサラダは勿論、スープにタコスにデザート、どれでも幾らでもお替り自由。家族と出かけるのを嫌がり始めた思春期の子供ですら、「シズラー行くよ」と誘えば絶対についてくるだろう。

しかし、私は主張したい。「シズラーのサラダバーで一番注目すべきは、チーズトーストである」と。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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チーズトーストの美味さを周知するチャンス到来!

ある日のこと。撮影を終えた林編集長、安藤さん、私の3人は、近くのシズラーでご飯を食べることになった。

シズラー初体験の安藤さんにサラダバーのシステムを説明しながら、私はぶち上げた。「あのですね、美味しいものが何でも食べ放題なんですけど、一番食べて欲しいのはチーズトーストなんですよ!」と。

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シズラーを何度も利用している林さんも、チーズトーストに注目したことはなかったらしい

チーズトーストが好きすぎる私

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こんなに美味いものがメニュー下部にひっそりと。私だったら表紙にする

サラダバーを頼むと付いてくる、このお替り自由のチーズトースト。ちょっと調べてみたら、私は数年に一度のペースでその魅力を訴えていた。

「5,000枚は食いたい」「成人は平均60枚は食べられる」。我ながら大袈裟だが、なんとかみんなにその魅力を伝えたいという必死さの表れであろう。

勿論サラダバーは大好きだし、他のメニューを頼むこともある。

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ステーキが有名だが、こういう海鮮のグリルも美味しいです

でも、家族や他のお客さんの目を気にせず、あらゆる制約を取っ払って自由に行動して良いのなら、私はチーズトーストだけを食べ続けるだろう。「あいつ、チーズトーストばっか食べて馬鹿か!」と思われるのが恥ずかしくて、サラダとかも食べてる節、ある。

サラダバーに新鮮な驚きを見せる安藤さん

「サラダバー3つで」と店員さんに頼むと、「チーズトーストは何枚お持ちしますか?」と聞かれる。いつもの流れに極めて冷静な素振りで「あ。そうですか。じゃあ6枚で」とお願いする。1人たった2枚の計算だ。本当は青筋立てて「5,000枚で!」と言いたいが、ここは我慢。

チーズトーストを待つ間、サラダバーを取りに行くと安藤さんが目を輝かせる。

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「え?これ全部取って良いの?」。そうそう、最初は驚きますよね
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「パンもあるじゃないですか?」と安藤さん。これらも普通に美味しい。だけど…

席に戻って、それぞれの作品(サラダバーや朝食バイキングの盛り付けは、その人自身を表す「作品」なのである)を見せあう。

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安藤さん作。初心者なのに綺麗だし、なんというか「運動する人」のチョイス、という感じ
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林さん作。やや崩れたジェンガ感があるが、私はここから「すぐにもう一皿行くから」という前向きな意思を感じる
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林さんに「石井さん上手ですね」と言われて嬉しかったが、今見ると改善の余地あり、ですね

さながら品評会の様相を呈してきたが、ここでいよいよ真打登場!

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見よ!この紅白でMISIA出てきた時くらいの説得力!
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2人とも美味しいと言ってくれた!

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「おお、これか~」と2人。すぐに手を伸ばさず、まずは観察から入る姿勢が素晴らしい

このチーズトースト、実は冷めても美味しさがそれほど損なわれないのがまた素晴らしい点なのだが、でもまあ、今は2人に早く食べてもらいたい。

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林さんはちぎって。安藤さんはガブリと。冷静と情熱の間
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「ああ、これ確かに美味しい!」。そうでしょう、そうでしょうよ!
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見てください。この子守唄のメロディに包まれ、安心しきった子供のような安藤さんの顔

チーズトーストと聞くと、トローリとチーズがとろけるものを想像すると思うが、シズラーのは違う。パリパリとした食感は恐らく、粉チーズを焼いているのだと思う。

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「このチーズがはみ出てるやつは当たりですね」、と林さん。そうなんですよね~!

しかし、パン自体の食感は柔らかい。裏を見ると焼き目がついていない。

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ということはトースターではなく、チーズ面だけを鉄板かフライパンで焼くのだろう

チーズのパリパリ感と、パンの柔らかさ。そこに確かなバターの風味と強めの塩味。こんなの、美味いに決まってるよ!

ここに来るまでには苦労もあった

今から頼まれてもいないのに、恥ずかしい思い出を書く。

私が異性と初めてお食事をしたのが、まさにシズラーであった。お金持ちのその子に「シズラーでも行かない?」と軽く誘われて、(ん?アムラー的な何か?)と戸惑いながらついていったのだ。

見た目もファミレスみたいだったので油断していたが、当時の私には頼めるものが何もない価格帯の店だった(なにしろマックの80円ハンバーガーとかを貪ってた高校生だったので)。結局相手にお金を借りるという屈辱を味わい、何を食べたのかも覚えていないほど苦い体験となってしまった。

それから時は経ち。今では「シズラーはむしろチーズトーストが一番!」などと言って、林さんと安藤さんに堂々と講釈を垂れている。アメリカンドリームは、ここにあった。

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何かを成し遂げた人間の笑顔だ

チーズトーストという「体験」を味わってみて欲しい

結局この後、さらに4枚追加して大満足した。

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「成人男性なら60枚は食える」なんてつぶやいておいてなんだが、まあそれは「白髪三千丈」みたいなものなんで

本当は家でこのチーズトーストを再現してみたりしようと思ったが、今回はやめておく。みんなで盛り付けを褒めあい、色んな話をしながら、「あれ?なんかこれ、凄く美味しくない?」と気づく。皆さんにも、シズラーでのそういった「体験」をひっくるめて、チーズトーストを味わってみて欲しい。

あと、あなたがもし高校生なら、一応それなりのお金を用意して行くように。

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