特集 2024年11月26日

東京に新しくできた『日本一長い商店街』を歩く

東京の三ノ輪から蔵前にかけて、日本一長い商店街ができたという。ほんとうに商店街は続いているのか、全区間を歩いてみた。

1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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東京に日本一長い商店街ができたという

ニュースによると、東京に日本一長い商店街ができたという。三ノ輪から蔵前にかけて、国際通りという通り沿いに約 3 km。通り沿いに4つある商店街を、それぞれの組織は残したまま、新しい商店街として統合するのだそうだ。

新しい商店街の名前は『東京国際通り振興会』。これまで日本一であった大阪の天神橋筋商店街の長さを上回るという。

実際どんな感じなのか、歩いてみることにした。

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三ノ輪側から歩いてみる

まずは三ノ輪の交差点から出発し、終点の蔵前までを進むことにする。

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まさにここが日本一長いという商店街の始まりだ。歩道橋の道路標識にちょうど「蔵前 3km」とあり、終点までの距離を教えてくれている。

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歩道橋に登ってみた。片側三車線ずつの広い車道だ。商店街という言葉からイメージする景色とはちょっと違う。

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降りてみた。「国際通り」の標識がある。都道462号線が正式名称で、蔵前を起点として三ノ輪が終点の道路なのだそうだ。つまり新しくできた商店街はまさに国際通り全区間ということだ。

沿道の風景はこんなふう。コンビニがあり、

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ラーメン屋があり、 

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オフィスビルとマンションと電波塔が見える。

いわゆる、大きな通り沿いによくある風景だ。商店街という感じとは違う。

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ここは商店街なのか?

今回統合された商店街たちのうち、三ノ輪のこのあたりを担うのは「一葉桜開運振興会」という名前の商店街だ。

そしてそれを構成する店舗の分布はこんなふうになっている。

 

緑の線が国際通りだ。一番上の端が三ノ輪の交差点で、今回はここから出発した。そして青い丸が商店街に所属する店舗だ。ここから二つのことが分かる。

まず、出発してしばらくは通り沿いに(商店街に属する)お店そのものがないということだ。上で見たラーメン屋さんなどはあるが、それは商店街には属していない。

もう一つは、この商店街は通り沿いに店舗が連なるタイプではないということだ。実際、店舗が集中しているのは酉の市で有名な鷲(おおとり)神社の周辺になっている。そこがこのあたりの中心地なのだろう。

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商店街らしさとは何か

ここまでの景色は商店街ぽくない、ということを言った。では逆に、商店街らしさとは何だろうか。

いわゆる商店街らしい商店街をいくつか見てみよう。

東京都北区 霜降銀座商店街

この景色の中にある商店街らしさを抜き出すと、たとえばこうなる。

 

まず、目をひく大きなゲートがある。これによって、商店街がここから始まるということが明確になる。カラーブロックによる舗装は、いま立っている場所が商店街だということを分かりやすくする。

オリジナルの街路灯やキャラクターは、その商店街の個性を表している。

街路灯に「しもふり」と書くことで、いまいる場所が霜降商店街であることが一目瞭然となる。

歩道と車道のあいだに高さの差がないのもポイントの一つだ。これによって車道に買い物客がじんわりと広がり、逆に車のほうも注意してゆっくりと進むようになる。

とはいえ、これだけの施策をぜんぶやるのは相当なお金がかかるのも間違いない。すべての商店街がこれらを全部できるわけではない。

東京都大田区 仲六郷一丁目商店会

この商店街はフラッグや花のような飾り付けが目をひき、

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東京都台東区 かっぱ橋道具街

ここではアーケードが目をひく。

かっぱ橋道具街は食器類がアイデンティだが、その前にアーケードによってそこが商店街であることが一目で分かるようになっている。

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国際通りは今のところどうなっているか

ひるがえって、ここまでの国際通りがどうなっているかをもう一度見てみよう。

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まずゲートはない。そのためどこから商店街が始まっているか分からない。商店街の名前を示すものがない。そのためここが商店街なのか分からない。フラッグも、店舗の連なりも、アーケードもない。

実際のところ、ここまでの国際通り沿いは商店街ではないのだ。ではどこに商店街があるのか。それは上の地図で示した鷲神社周辺だ。

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商店街の中心地へ

商店街(一葉桜開運振興会)の中心地にやってきた。実際、左側に写っている「でんだんどん」は商店街に属する居酒屋だ。

この風景の中に、商店街らしさが一つ写っている。それは中央にある街路灯とその支柱だ。

一葉桜開運振興会

街路灯の支柱(左端)に、商店街の名前が書かれていて、ささやかながらここが商店街であることを主張している。

そもそも『一葉桜開運振興会』の「一葉」とは樋口一葉のことだ。この付近は「たけくらべ」の舞台でもあり、一葉の旧家もあった。そのためにここには一葉記念館もある。せっかくなので行ってみる。

台東区立 一葉記念館

 この日は偶然にも一葉の命日で、一葉祭という催しが開かれていた。

「甘酒です、ぜひ飲んでください」 と、甘酒が振る舞われていた。ありがたい。おいしい。

この日は入場無料となっていたので、記念館のなかへ。

当時のようすを表した地図を興味深く見た。真ん中に一葉宅があるが、そのあたりから鷲神社周辺までがいまの商店街の中心地だ。右下の斜めの区画は新吉原である。まわりを「おはぐろどぶ」と呼ばれた水路が囲っている。

和菓子の「おし田」で、

名物の田舎まんじゅうを食べ(うまい) 、

近くの鷲神社へ行く。3回ある酉の市の2回目が終わったところで、入り口にはでかい熊手が置いてあった。

通り沿いには、酉の市を知らせるのぼりと提灯が連なっている。風景としてはいままでで一番商店街ぽい。

⏩ 一葉桜国際通り振興会へ

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