特集 2018年12月20日

飲み会以外の日常でコールをするとどうなるか

ホットアイマスクを使う人にコールをかけています。

飲み会で他人にお酒をうながす「コール」という文化がある。

「お酒を強要するなんてけしからん」と思っていたのだが「あれリズムと拍手は楽しそうだよな……」と少し憧れていた。

あの形態だけ残し、他のものでコールをやってみたら楽しいのではないか。実験してみました。

1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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昼のお蕎麦やさんでコールをしてみる

まずは「飲み会以外で」コールをかけてみようとお蕎麦屋さんにきた。

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大学時代の後輩に実験をお願いした。しかし全員コールが苦手だったという。

まずは3人で記憶にある「コール」を集める。

出たコール例

「なーんで持ってんの!なーんで持ってんの!飲み足りないからもってんの!はい!飲んで飲んで飲んで…」

「○○の〜! ちょっといいとこ見てみたい! はい! 飲んで飲んで…」

「○○が飲む〜ぞ!○○が飲む〜ぞ○○が飲む〜ぞ〜!3秒で飲むぞ!3・2・1!」

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「あの明るすぎる先輩がこのコール得意だった」「居酒屋でこればっかやってるやつがいた」と多少あの頃のもやっとした気持ちを思い出しながら10個程度書き出した。

 このメモを元に、ランチを食べながらコールをかけていく。

お酒だと「飲んで飲んで」だが、ランチなので「食べて食べて」だろうか。変な緊張が走る。

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そうこうしているうちに蕎麦と丼がきた。まさかコールをかけられるとは思っていないだろう。
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食べ始める。どのタイミングでコールをかけていいかわからず、しばし無言が続く。
蕎麦に天かすを入れるとき
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ここで一人が天かすを入れようとした。ここならコールできそう!せーの!

 

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「か〜けて♪ かけてか〜けて♪(天かす!)か〜けて♪かけてか〜けて♪(天かす!)」
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コールに合わせ、天かすがドバドバ入っていく。「こんなに入れるつもりじゃなかった」と落ちこんでしまった。
蕎麦に七味を入れるとき
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しばらくし、七味を入れようとしたのを見てすかさず天かすの仕返しが始まった。「か〜けて♪ かけてか〜けて♪(しちみ!)」

 

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歌っている間はなんとなく動作が止められない空気になるので、七味がドバドバ入っていく。
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「辛い」と恨むような目で相手をみることになる。

その後も「食べることをうながすコール」などやってみたが、どれもすごく嫌な気持ちになることがわかった。

ご飯を自分のペースで食べたいのに、コールをかけられている間は食べることを続けなければならないのだ。急かされているようでつらい。

これでは飲み会でお酒を強要するのと同じだ。もっと優しくコールはできないのか。

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「モノを使う時」にコールをかけてみる

「コールは食べ物には向かない」と学んだので、次は食べ物以外で実践してみることになった。

蒸気ホットアイマスク
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エントリーNo.1:蒸気でホットアイマスク。これを他人につけてあげながら、休息をうながしてみる。

 

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「アイマスクをつけて!疲れが取れない!」「わけがな〜い♪」
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「おやすみ〜♪ おやすみ〜♪ おやすみ〜おやすみ〜♪」
「郡司くん、お〜やすみ〜♪ おやすみ〜♪ お〜や〜す〜み〜♪」(聖者の行進のリズムで)
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爆笑している。感想を聞いたら「歌われているので眠れないが、休めと応援されるのは気分が楽になっていい」とのこと。いいぞ!


 

胃薬
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次は胃薬を飲んでみる。一応口に入れるものだが、苦い薬を飲む時に応援してほしいと思って買った。

 

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「もしかして?」「二日酔〜い?」
「飲みすぎて?」「胃が不快〜!?」
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「飲んでかーら言え♪飲んでかーら言え♪飲んでかーら言え♪胃薬!はい!」
「飲んでかーら言え♪飲んでかーら言え♪飲んでかーら言え♪胃薬!はい!」
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笑いが止まらなくなった。いつもは「苦い…無理…」と思いながら飲む薬が、コールをかけられていることで気がそれ、味覚に集中してる暇がなくなる。すごい。これは発見だ。

 

ハンドクリーム
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次はハンドクリームだ。塗ってる間にコールをかける。
「なーんで持ってんの!なーんで持ってんの!乾燥してるから持ってんの!」「はい!」

 

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「ドドスコスコスコ♪ドドスコスコスコ♪ドドスコスコスコ♪うるおった!」
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「うるおった?」「うるおった〜!」と塗った後の時間がやさしさに包まれる。

疲労回復をうながしたり、普段はやっていてつらいことにコールをかけられるととても気分がいい。

休めと言われるのは嬉しいし、つらいことはコールのわちゃわちゃでかき消され、つらさが半減するのだ。

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モノがなくても「応援」だけでいけるのではないか

「ポジティブな応援」がコールに向いているのでは、と悟ってきたので最後はただやる気を出させるだけのコールをしてみた。

やる気を出させるだけ
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「やる気がでる〜ぞ♪ やる気が出る〜ぞ♪ やる気が出る〜ぞ〜♪!」

 

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「3秒で出るぞ! 3・2・1!」
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「…………どう?」「おお…出た…」
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「というかカウントで追い込まれるので逃げられない」「圧がすごいのでやる気を出さざるを得なくなる」


コールには追い詰める要素もあるのでやる気を出せ!と迫れれると逃げられなくなるという。

どうしても仕事や勉強がはかどらない時、誰かにコールをされたら気が変わりそうという結論になった。

まとめ:コールを気持ちよく使うポイント

・相手がつらい時間をすごしている時、鼓舞してあげるためにコールをかける(苦い薬を飲む、筋トレをする など)

・相手の頑張りをねぎらったり、休息をうながす時にかける(アイマスクをしながら、帰宅時に「おかえりコール」など)

・相手が落ち込んでいる時や、だらけている時、やる気を出させるためにコールをかける(朝起きた時、サボっている時など)

と「応援」「鼓舞」「ねぎらい」の場面でコールを使えば、とても素晴らしい仕組みだということがわかった。

あまりによかったので「お酒にコールを使うことはコールの悪用だ」「コールに失礼」という意見まで飛び出す始末だった。


拍手とリズムの力はすごい

普通に暮らしながら「ここでコール言えるかも」と考えながら歩くことも面白かった。ただ、歌を歌えるところがとても少ないので、基本小声でやることになる。飲み会でコールが浸透したのも「騒いでいい」という条件があったからかもしれない。
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これはリップクリームを買う時に「買って買って買ってリップ買って買って」とコールをかけている図。変な販売員のようになってしまって失敗した。
やってみたコールをまとめてみました
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