「にんじんのマヨきんぴら」
ある日、担当編集者の古賀さんから、「パリッコさん、『マヨきんぴら』って知ってます?」とご連絡をもらいました。
きっと「マヨネーズ」と「きんぴら」を合わせた言葉なんだろうけど、初耳。そこで教えてもらったのが、「レタスクラブ」さんのこちらのレシピ。
ネットで「マヨきんぴら」と検索すると他にもあれこれレシピが見つかりますが、要するに、フライパンに食材とマヨネーズを入れて、その油っけで蒸し焼きにし、醤油などで味を調整するだけという調理法のよう。
古賀さんいわく、「これで美味しいきんぴらができるならば、もしかして万能の調理法じゃないですか? 前にパリッコさんが提唱した『酒蒸し法』にも近いような」とのこと。確かに、食材は別に、にんじんに限らなくてもよさそうだし、応用範囲が広そう。
というわけで、試しにさっきのレシピで作ってみましょう。
※なぜかマヨネーズの分量「大さじ1/2」を「大さじ1と1/2」と見間違えていたことに炒めはじめてから気づいて、このあとあわててスプーンで1/3ほどを取り除きました。
全体をざっくりと混ぜ、熱せられたマヨネーズからちりちりと音がしだしたらふたをし、弱目の中火で3〜4分蒸し焼きに。火が通ったら醤油少々を加えて炒め、
仕上げにコショウをふりかければ、
ちなみに今調べてみたところ「きんぴら」とは、ごぼうやにんじんを細切りにして炒め、砂糖や醤油で味つけして、唐辛子で辛味を効かせた料理のこと。
きんぴらという名前の由来は、江戸時代に流行した人形浄瑠璃のひとつ、「金平浄瑠璃(きんぴらじょうるり)」から。主人公の坂田金平は、あの「金太郎さん」としても知られる坂田金時の息子であり、その武勇伝を、ごぼうのしっかりとした歯ごたえや、唐辛子の辛味のイメージと結びつけ、名付けられたのだとか。
そう聞くと、今目の前にあるこの料理、どこがきんぴらなんだ? という気もしないでもないですが、あくまで“マヨきんぴら”だからいいんです。
なにより、このマヨきんぴらがめちゃくちゃ美味しい!
ほんの数分でできて、食感はほどよくしゃきしゃき。マヨのコクがにんじんの甘みを引き立て、しかし酸味は熱で飛んでしまったのか、全体がまろやかな味。アクセントが唐辛子ではなくてコショウのせいもあるのか、どこかコーンバターとかそういう、洋風の料理のテイストにも感じられ、ビールのつまみにぴったりなんですよ。
ふだん料理をし慣れていない人が「きんぴら作って」と言われたら、なんだか難しそうと思うかもしれませんが、このマヨきんぴらなら、ハードルほぼなし!
「きんぴらごぼう」も作ってみよう
そこで続いては、王道の「きんぴらごぼう」をマヨバージョンで作ってみましょう。
あ〜これは、ごぼうが入ることによってだんぜんきんぴら感が増し、味も食感も複雑になり、めちゃくちゃうまいな。さっきも言った洋風化の効果か、不思議とチーズにも近い深みをも感じるような。リピ確定。
最後はもう少し冒険して……
古賀さんの言ったとおり、ここまでの万能感を出されると、やはりもう少し冒険してみたくなってきます。とりあえず、根菜系ならなんでもいけんじゃないの? と。よし、じゃがいもいってみましょう。
小さめのじゃがいもふたつをよ〜く洗い、芽だけとって薄めにスライスしたら、マヨネーズと共にフライパンへ。
ここに醤油を加えて味見してみたところ、もうね、めっちゃくちゃうまい! まぁ、マヨ×じゃがなんて間違いないにもほどがある組み合わせだけども、それにしても、こんなに簡単でうまいじゃがいもおつまみを知れたのは嬉しいな〜。
が、ここでなんとなく、ちょっと遊び心が湧きだしたというか、ほら、さっき「不思議とチーズにも近い深み」を感じたと書いたじゃないですか。ならば、こんな食材も合うんじゃないかな? と思って、加えてみました。
こちらをさらに炒め、仕上げにコショウをふれば、
おいおい、それのどこが「きんぴら」なんだよ。どう見たって「ジャーマンポテト」だろ! という読者さんの声がはっきり聞こえてきますし、確かに味もジャーマンポテトそのもの。
なんだけど、成り立ちから考えればこの料理は、僕のなかではあくまで「きんぴら」なんです!
そして、もはやそんな細かいことはどうでもいいくらい、うまい!
マヨきんぴらの可能性、こんどあらためて、いろ〜んな食材で試してみようかな〜。