過去に例がないからかも
ここまで強引に論じてきたが、正直、壁の前で跳ねてるだけのようにも見える。なぜ壁を突き破っているように見えないのだろうか。たぶん壁を突き破って出てきた人を見たことがないからではないか。しかも壁に人型の穴をあけて。そんなひといない。
ところでこの穴あき板、カルチャーカルチャーに置きっぱなしになっているので遊びにきたかたはぜひこの前でジャンプしてご自分の目で確かめてください。
店長にゴミとして捨てられる前に。
アメリカのまんがでは走ってる人が壁にぶつかると壁に人のかたちに穴があく。
板に人型の穴をあけて、その前で跳ねたら僕は壁を突き破って出てきたみたいに見えるだろう。かっこいい!
いや、「奇妙な板の前で跳ねてる人」に見えるかもしれない。それは避けたい。どっちなんだろう。
人類の共通の命題とも言えるこの問題。わたくしが皆さんのかわりに検証してみました。
※2008年5月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
東急ハンズで買ってきたスチロールの板に穴を開けて作る。この素材は過去にも顔ハメ、でかいタバコの箱、でかい顔などで使用した馴染みの素材だ。軽くて加工しやすい。
・小さいスチロール板は文具コーナーだが、大きいのは建材コーナーで売っている
・持って帰ると駅のホームの風圧で倒されそうになるので、配達してもらうのがベター
・東急ハンズの配達は朝に配達時間確認の電話がある
スチレンボード豆知識である。
カルチャーカルチャーで板の配達を待ってるあいだに寝てしまい、配達のおじさんに起こされたのは恥ずかしかった。恥が続くと書いて人生である(適当ですよ)。
ちなみにこの日、カルチャーカルチャーでは5月16日に行われるイベントで別会場と中継を行うため、その回線テストが行われいた。緊張した雰囲気のなかの作業である。しかも無関係な作業。
会社で作業するとひとりだけあほの子みたいになるのでそれを避けてカルチャーカルチャーでの作業となったわけだが、場所を変えても問題は解決しないことが分かった。
周囲の雰囲気をシャットダウンして(高校2年の時のクラスの席順を思い出しながら)、作業は黙々と進む。指のあたりの細かい曲線が切るのが難しい
1時間ほどで切り抜く作業は終わった(席順は3人ぐらいしか思い出せなかったけど)。
僕の形が抜けている。僕が出てきた板を思い出す。いや、僕は板から出てきたことなんてないのだけど、まちがえてそんなこと思わせる板である。
この板ができただけでカタルシスだが、さて、ここから飛び出しているかどうかを検証してみよう。
板をたてて、そこでジャンプをする。1秒間に60枚の連写ができるカメラを買ったのでその能力が発揮される撮影である(カシオ EX-F1)。たぶんカシオの人もこれを確かめたくてこのカメラを作ったに違いない。
1) 壁を突き破って出てきた人、2) 奇妙な壁の前で跳ねてる人、どっちだろうか。ぜ、前者だよね。後者だというかた、2分ぐらい見てると飛び出してきたように見えるのであと2分見てください。
前者だというかただけ先に進みます。
撮影しては飛び出てるか確認、を繰り返したところ、上方向にジャンプするのではなく、前に飛び出すようにジャンプするといっそう壁を突き破ってる感が出るようだ。立ち幅跳びの要領である。立ち幅跳びなんてやったことないけど。
では、壁から飛び出た僕写真集です。
最後の正面の写真がよく撮れた。躍動感がある。が、よく見ると穴の形があんまり関係ない。ポーズをとることに夢中になって板のことを忘れていた。
こうしたらどうだろう。
穴のあいてない板と連続写真にしてみた。僕は子どものころから「楽しそう」と言われることが多かったが(さして楽しくないときも)、その理由が分かった。たしかに僕は楽しそうだ。
穴のあいてない板はフォトショップで塗りました。すいません(1枚しか買ってなかったのだ)。
最後にハイスピードカメラでとらえた壁から飛び出るようすをご覧ください。正確には壁から飛び出たように見せるために跳ねてる男を。
世界を征服したかのような満足げな顔なのが恥ずかしい。
ここまで強引に論じてきたが、正直、壁の前で跳ねてるだけのようにも見える。なぜ壁を突き破っているように見えないのだろうか。たぶん壁を突き破って出てきた人を見たことがないからではないか。しかも壁に人型の穴をあけて。そんなひといない。
ところでこの穴あき板、カルチャーカルチャーに置きっぱなしになっているので遊びにきたかたはぜひこの前でジャンプしてご自分の目で確かめてください。
店長にゴミとして捨てられる前に。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |