特集 2020年2月3日

“あの”フライドチキン味ふりかけでコンビニチキンをあの味に

“あの”って、まぁ、「ケンタッキーフライドチキン」のことですよね。

僕、ケンタッキーが大好きなんです。なんていうかこう、世の中に無数にある揚げた鶏料理とはあきらかに一線を画す、中毒性のある味わい。食べている間だけ理性がふっとんでしまうような、暴力的なまでの旨味。その秘密は、創業者であるカーネル・サンダースさんが開発した、秘伝の11種類のハーブ&スパイスによる味付けに間違いないと思うんですが、とにかくあんなにもわかりやすく美味しいものってそうそうなくないですか?

ただ、コンビニなどと比べれば店舗数も少ないし、それに、僕にとってはちょっと高級な食べ物でもあるゆえ、日常的というよりはもう少し特別な存在。毎月28日、「にわの日」に、お得な「とりの日パック」を買って食べるのが月に一度のお楽しみ。

あぁ、あの味がもっと気軽に、日常的に食べられたら、どんなに幸せだろうか……。

1978年東京生まれ。酒場ライター、他。酒カルチャー雑誌「酒場人」監修をはじめ、いろいろとやらせてもらってます。(インタビュー動画)

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これですよ。こ〜れ!

秘伝の調合が流出!?

なんてことをとある酒の席で話していたところ、ひとりの友人が言いました。

「ケンタッキーの11種類のハーブ&スパイスの調合、判明してるよ」と。

いやいやいや、カーネル・サンダースさんが9年もの歳月をかけて完成させた秘伝の調合が、そう簡単に流出するはずがない。そもそもそいつも「関係者から聞いたって人から聞いた」くらいのノリで、信憑性は限りなく低い。それでも一応聞きだした内容がこちらなんですけども。

・オレガノ:小さじ1
・チリパウダー:小さじ1
・グランドセージ:小さじ1
・乾燥バジル:小さじ1
・乾燥マジョラム:小さじ1
・コショウ:小さじ1
・塩:小さじ1
・パプリカ:大さじ2
・オニオンソルト:小さじ1
・にんにく粉:小さじ1
・グルタミン酸ナトリウム:大さじ2

もしもこの調合が正しかったとして、カーネルサンダースおじさんが世界を魅了する技の秘密は、それだけではあるまい。が、すがってみたい。この、今にも切れそうな、一本の蜘蛛の糸に。
考えるより早く、僕は家を飛び出していました。

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勢いで買い揃えたハーブ&スパイスたち

万が一なんですけれども、これを上記の割合で調合し、例えばコンビニのホットスナックコーナーにある揚げ鶏の類にふりかけるだけで、お手軽に“あの味”が再現できるならば、人生一変しません? 小袋に入れてポケットにしのばせておけば、いつでもどこでも、思い立ったときにあの味を堪能することができる。

前提が「すでに味のついているチキンにかける」なので、塩は不要だろう。「オニオンソルト」の「ソルト」の部分も、できれば排除したい。つまり粉末状のオニオン的なものがあれば、それが望ましい。
そんな感じで100円ショップと輸入食品店を回り、どうしても見つからなかった粉末オニオンだけはネットで注文したところ、他を圧倒するボリュームで届いてしまいましたが、とにかくすべてのハーブ&スパイスが揃いました。
この時点で、とりの日パックが3つほど、つまり、オリジナルチキン12個とナゲット15個が手に入るほどの金額を使ってしまいましたが、もう後戻りはできません。深く考えず、先を急ぎましょう。

調合

「小さじ」とかまだるっこしいので、「スパイス1瓶」を基準に比率を合わせて調合していくことにします。

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バサッ
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調理過程がジオラマ
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パプリカの量
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一気に地質が変わる

リストの中でもっともなじみのない「グルタミン酸ナトリウム」とは、旨味のもと、つまり「味の素」の主原料だそうです。

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旨味の量
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フタをして
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シェイク!
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完成! “あの味”ふりかけ

感想としては、とにかく赤い。もしこれを舐めてみて、あの味がしたら、すごいことじゃないですか?

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まずはそのまま……

ドキドキ……ぺろり……おぉ! これは……!

ぜんぜんあの味じゃない!!!

なんていうか、すごく美味しいハーブとスパイスが混ざったような味という、当たり前の印象。若干の駄菓子っぽさはあるけれど、あれだけ味の素を入れたにも関わらず意外とおだやかで、刺々しさは一切ありません。特に香草系、オレガノ、セージ、バジル、マジョラムあたりの、独特の香りと若干の苦味に、ケンタッキーにはない個性を感じてしまう気がする。

が、あきらめるのはまだ早い! この「KFCふりかけ」がチキンと合わさることで、魔法が生まれるかもしれないじゃないですか。

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実験開始

というわけで、3大メジャーコンビニ、「ファミリーマート」「セブンイレブン」「ローソン」を回り、6種類のチキンを買ってきました。

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どれもそのままでうまいんだけど

いざ、ふりかけ実験を始めていきましょう。
せっかくなので、ふりかけをかける前のノーマルの感想とともにどうぞ。

ファミチキ(ファミリーマート)

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「ファミチキ」(税込180円)

・ノーマルの感想

衣がザクザクで、肉は、なんらかの裏技を使わないととてもここまで……ってくらい、過剰にジューシー。「ファミチキ」としかいいようがないこのうまさ。お見事。

・プラスふりかけの感想

おぉ! これは……ぜんぜんケンタッキーじゃない!!! そうか、もう悟った。そんな簡単なことじゃないんだ、やっぱり。
けどまぁ、すごく凝ったハーブチキンというか、ワンランク上のファミチキになっているような気はします。

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どうでもいいが、フライドチキンにはビールですよね

吉吾監修からあげ(ファミリーマート)

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「吉吾監修からあげ」(税込180円)

・ノーマル

大分県中津市出身のからあげ専門店「吉吾」監修の唐揚げ、だそうです。ファミマのこのタイプの唐揚げ、本格的で美味しいですよね。肉に醤油ベースの下味をきちんと揉み込んだ丁寧な味わい。ファミチキとはもはや別ジャンル。

・プラスふりかけ

ほんのすこ~しだけ、ケンタッキーに近いような気がしないでもないです。ファミチキに特徴がありすぎたのかな。

とり竜田(セブンイレブン)

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「とり竜田」(税込194円)

・ノーマル

先ほど食べたファミチキと唐揚げのちょうど中間くらいというか、自然なんだけど中毒性もあってバランスのいい味わい。

・プラスふりかけ

あ~、けっこう遠くない気がする。今までではいちばんケンタッキーかもしれない。

「ななチキ」(セブンイレブン)

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「ななチキ」(税込203円)

・ノーマル

え? あれ? ちょっと待って、これ、すでにかなりのケンタッキー味なんですけど! あんまり食べたことなかったけど、セブンイレブンのななチキってこんなにあの味っぽいんだ。もう、それっぽさを求めるだけなら、これでいいじゃん!

・プラスふりかけ

え~と、いらないですね。ノーマル状態で完成されすぎてて。

Lチキ 旨塩(ローソン)

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「Lチキ 旨塩」(180円)

・ノーマル

衣がバリバリしてて、肉の歯ごたえもしっかりしてて、味が濃くて、でかい。食べごたえすごい。Lチキの「L」って、ローソンのLかと思ってたけど、もしかしてLサイズのL?

・プラスふりかけ

もはやわかりきったことですが、ふりかけをかけたからといってケンタッキーに近づきはしません。うまいけど。

からあげクン レギュラー(ローソン)

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「からあげクン レギュラー」(216円)

・ノーマル

パサパサとしてて、ちょっと固くて、けどそれがいやってわけじゃなく、このスナックっぽさが酒のつまみに良い。これまた、からあげクンでしかない味。

・プラスふりかけ

こんなにもケンタッキーから遠いものがこの世に存在したの!? って感じ。

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ここからはおまけです

以上の実験から導き出された、今回の結論はこちら。

・あの味をお手軽に再現しようなんて考え自体が甘い

と、結論は出たのですが、ここまできたらどうしてもあれをやってみないことには気持ちがおさまりません。手を抜きたいからこそ思いついた今回の企画において、本当はいちばんやりたくなかった、「調合したスパイスを使って、自分でフライドチキンを作る」という行為を。

そこで、牛乳と卵を半々ずつ溶いた液と、先ほどのスパイスに塩と小麦粉を加えた粉を

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用意し、

液に漬けたチキンに粉をまぶして揚げます。本式だと圧力釜で15分かけて揚げるそうなんですが、家ではそこまでできないので、普通に。

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それがこちら

食べてみると、なるほど、一般的な唐揚げとは違う衣感。皮と一緒にべろーんとはがれたところのザクッとした美味しさが特徴の、あの感じは確かにあるんですが、やっぱり味は決定的に違う。単なる、普通に美味しいフライドチキンだ、こりゃ。


世界中で愛され続ける“あの味”。お手軽に再現しようなどとは、考えが甘いにもほどがありました。そりゃそうだよね、っていう。というわけで、これからも月に一度程度のお楽しみとして、ケンタッキーさんとは末長く付き合わせてもらいたいと思います。

今回の実験、最大の収穫は、気軽にケンタッキー風のチキンが味わいたいなら、セブンイレブンの「ななチキ」を買えばいい。というのが知れたこと。とはいえ、やっぱり何かが決定的に違うんだよなぁ。例えていうなら、ビールとノンアルコールビールのように。決して優劣ではないけれど、僕にとってのケンタッキーって、やっぱり魔法の宿った食べ物だなってことが、あらためてわかりました。

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その後スパイスは
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普通にチキンにまぶして焼いたりするのに使ってます

美味しい美味しいハーブチキンが手軽にできて便利。

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