散々「硬い」と書いてきたが、昔からファンの母いわく「いまのかた焼は昔のよりだいぶやわらかい」らしい。
いまでも硬いのでほんまかいなと正直思うが、忍者は石に打ち付けて割っていたというから本当にもっと硬かったのかもしれない。
「やわらかくなってこの硬さ?!」を知るためにも、一生に一度は食べてみて欲しい。
「三重のおすすめのお土産は?」と聞かれるといろいろあるが、一度でいいから試して欲しいのがかた焼だ。
かた焼とは、伊賀忍者で知られる三重・上野の銘菓であり、名前の通りかたく焼いたせんべいである。
正直、それ以上でもそれ以下でもないのだが、とにかく信じられないほど硬いので皆様にいまから「かた焼の硬さ」をお伝えしたい。
生まれも育ちも三重なのだが、小さい頃からたまに食べさせられていたせんべいがこれである。
「硬い」と言っておきながら意外と硬くないものはこの世にけっこうあるが、かた焼に関しては本当に硬い。
どれくらい硬いかというと、セットでこれがついてくるぐらいだ。
そう、かた焼はかたすぎて歯ではまったく噛めないのである。
なので、このトンカチで小さく砕いてからなめて食べる。持ってうまれた人間の歯では、とてもじゃないが太刀打ちできない硬さなのだ。
かた焼がここまで硬いのは、もともと忍者が潜伏するときの保存食だったからである。
つまり、おいしく食べるために生まれてきたお菓子ではないのだ。機能性だけをとことん追求したハイスペックフード、それがかた焼なのである。
噛んでも割れないくらいなので、ちょっとやそっとでは無理である。
しかたないので付属の説明書に従って、トンカチでばんばん叩いていく。
トンカチでばんばん何度も裏と表を叩いたが、まったく割れる気配がない。
確かに子どもだった頃、トンカチでかた焼を割ろうとしてもまったく割ることができなかった。
あの頃は子どもだからだと思っていたが、立派に成人した今になってもまだ割れない。子供だから割れないのではなく、単純にかた焼がかたかったのだ。
10分ぐらい奮闘したが、ヒビのひとつも入れられない。
かくなる上は、かた焼好きの母がよくやっていた方法でなんとかしよう。
「ダイヤモンドを削れるのはダイヤモンドだけ」とまったく同じ理屈でかた焼が割れた。目には目を、かた焼にはかた焼を、が一番いいのだ。
忍者が生んだ三重の知られざる銘菓・かた焼。ぜひ、近くにお立ち寄りの際はかた焼にチャレンジしてみて欲しい。
散々「硬い」と書いてきたが、昔からファンの母いわく「いまのかた焼は昔のよりだいぶやわらかい」らしい。
いまでも硬いのでほんまかいなと正直思うが、忍者は石に打ち付けて割っていたというから本当にもっと硬かったのかもしれない。
「やわらかくなってこの硬さ?!」を知るためにも、一生に一度は食べてみて欲しい。
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