特集 2024年7月22日

ギガファイル便の人に「なんで無料なんですか?どういうことですか?」と聞く

動画や写真など、大きなファイルを誰かに送りたい。

そんなとき、個人的にずっとお世話になっているサービスが「ギガファイル便」である。どんなにファイルを送っても無料なのだ。

冷静に考えると、なんで無料なんだろう。いいんだろうか。結構長いあいだ使っているけど、大丈夫なんだろうか。もっとギガファイル便について知ったほうがいいんじゃないだろうか。

改めてギガファイル便の「中の人」に、そもそもの話を聞きました。

1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

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忙殺からの「気分転換」で作られたサービス

昔から「どうなってるんだ」と思っていたのだ。

国内最大規模のファイル転送サービスでありながら、ユーザー登録は不要だし、無料で使えちゃう。転送できる容量は無制限(※1ファイルは300GBまで)だし、アップロード後は最大100日間保持してくれる。

至れり尽くせりすぎる。どうなってるんだ。

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トップの画像はデカいし(画像提供:株式会社ギガファイル)

そんな「ギガファイル便」を運営するのは、株式会社ギガファイル。取材を申し込むと、メールでのインタビューならOKとのこと。

そもそもサービスを始めたきっかけはなんだったのでしょうか……?

「以前は受託業務を行っておりまして、仕事に忙殺されていた弊社代表が気分転換で作ってみたサービスが『ギガファイル便』です。ドメインを取得したのが2010年8月なので、おそらく2010年9月ごろから開始していると思います」

すべては気分転換から始まったのだ。仕事に忙殺されてみるものである。作ったときの苦労を聞いてみたら「最も腐心したのはネーミングで、『便をつけるかつけないか』で悩んだ」とのこと。そこなんですね。

あ、ということは、昔から「株式会社ギガファイル」ではなかったんですか?

「そうですね。ギガファイル便自体の規模が大きくなったので、社名を変更して、現在はギガファイル便の開発・運営のみを行っています」

ギガファイル便が始まった2010年は、まだGoogleドライブもなかったころ(※2012年サービス開始)。

当時からファイル転送サービスはいろいろあって、だいたいが有料プランじゃないと大容量ファイルは送れなかったはず。「無料で使えるけど高度な機能は有料」という、いわゆるフリーミアムのビジネスモデルだ。そりゃ慈善事業じゃないので、どっかでお金を取らないとやっていけないのはそうだろう。

で、そこに完全無料のギガファイル便が出てきたんでビックリしたんですよね。気分転換で作ったサービスとはいえ、なぜ無料に……? やっぱり慈善事業ですか……?

「代表曰く『細かいお金の計算が苦手なので無料にした』とのことでした。現在も広告収益のみで運営しており、ギリギリでなんとかやっております。データはすべて自社で保管しており、AWSなどのクラウドサービスは一切利用しておりません。ストレージ費用より回線費用の方がはるかに高いのが実状です」

「細かいお金のことはいいから」と、畑で取れた野菜を配るような気前の良さで始まり、完全広告モデルで14年間。お世話になっている気持ちを伝えたくても、課金や投げ銭をするところはない。我々にできることはたくさん使って広告を見ることしかない。

ちなみに、最初にギガファイル便を公開したとき、ユーザーの反応はどうだったんですか?

「公開後は『トップの画像デカすぎ』とよく言われましたね」

あの画像もまた、14年間ずっとデカいのだった。

いったん広告です

「ノリ」で作業用BGMを24時間ライブ配信

1日あたりの利用量については非公開ながら、やはり職業柄大容量データを扱う人の利用が多いよう。

「音楽業界や映像業界の方々によく使っていただいている印象です。珍しい使い方ですと、映像コンテンツの特典をギガファイル便のURLからダウンロードする形で渡しているのには驚きました」

ギガファイル便はユーザ登録がいらないので、ダウンロードURLさえ伝えればファイルを配布できる。QRコードにすれば簡単に伝えられるし、保持日数を5日とかに短くすれば期間限定公開みたいな形にもなる。なるほど理にかなっている。

他にも、意外と知られていない機能や使い方ってないですか?と聞いてみると、「GIGAFILE FLY」という機能があると教えていただいた。なんですかそれは。

「アップロードされたZIPファイルに含まれている画像を、そのままWEB上でプレビューできるんです。欲しい画像だけ選んでダウンロードができるので、ぜひ使っていだければ」

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「GIGAFILE FLY」全然知りませんでした。高解像度のデータをやりとりする人には便利そう(画像提供:株式会社ギガファイル)

そうそう、これは僕が最近知ったことなんですけど、ギガファイルさんってYouTubeで作業用BGMを公開されていますよね……?

その名も「GiFi Records / Radio」。心地良いテンポのLo-Fi HIP HOPがライブ配信で24時間延々流れている。

フリー音源を流しているのかと思ったら、自ら音楽レーベルを立ち上げたとのこと。まさかの完全オリジナル楽曲だ。

「社員が制作した楽曲もありますが、基本的には外部のクリエイターさまに発注して作成していただいております」

すごい。めちゃくちゃ手が込んでいる。これもギガファイル便のマーケティングってことなんですか……?

「マーケティングのことはまったく考えておりません。もともと、ファイル転送中の暇な時間にユーザーが他のサイトに遷移してしまうのを防ぎたい、なんとかギガファイル便に留まってほしいと思って始めました。基本的には代表と担当者のノリです」

ただ、その「ノリ」で失敗したこともあるという。

「昨年の春ごろ、ネットワークのエラーが原因で、GiFi Recordsのライブ配信が完全に終了してしまいました。丁度ギガヒコ関連のTweetでバスった直後だったため、バズりきっかけで流入したお客様を逃してしまい、やっちゃったなと思いました。もちろん、失敗を糧にYoutube Liveの設定や配信環境を見直し、今は安定して配信できています」

「ギガヒコ」とは、「GiFi Records / Radio」で宇宙船を操作しているこの人物のこと。

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この人です。後ろで寝ているのは飼いマヌルネコの「テティン」。

その名も、転送寺ギガヒコさん。れっきとした株式会社ギガファイルの社員であり、あのギガファイル便のトップ画像の人である。

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頭身が全然違いますけど、確かに同じ宇宙服を着ていますね……。

VTuberもやっているし……。

プロフィールも細かく決まっている

担当の方によると、ギガヒコさんは宇宙で働いているらしい。大変だ。ご苦労も多いのではないか。仕事のやりがいとかどこに感じているのだろう。

というわけで、次のページではギガヒコさんの単独インタビューをお届けします。

⏩ 転送寺ギガヒコさんにインタビュー!

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