まとめ
栓抜き以外のもので瓶を開けることは、思ったより簡単だった。そしてそこそこ丈夫で安定感があるものであれば、大体どんなものでも瓶を開けられることも分かった。一度コツを掴むと、身近なものが全て栓抜きに見えてくるが、指輪や家の鍵など壊れやすいものは使わない方が良いかも。
長年憧れていたスキルを習得できて嬉しかった。いざとなったらサッと適当なもので瓶を開けることができるんだぞと思うと、なんだかドイツ人度がレベルアップしたような気分だ。
ドイツの人は栓抜きをあまり使わない。
身の回りの適当なものを使って瓶をいとも簡単に開けている。
私も、いつでもどこでもかっこよく瓶を開けれるようになりたいものだ。
ドイツに引っ越して間もない頃、友人宅の台所でご飯を食べていた。そこに同居人が帰ってきて、彼は挨拶をするなり冷蔵庫から瓶ビールを取り出し、近くにあった木べらをサッと手に取り、一瞬で瓶を開けた。その一連の動作がまるで合気道の技のように、あまりにも素早く滑らかで、そのさりげなさに圧倒されたのを覚えている。
その後、様々な場面で同じような光景を目にした。道具はスプーン、家の鍵、ライター、テーブルの端など様々。男も女も、適当なものでいとも簡単に瓶を開けていた。
もちろん家では栓抜きを使う人もいるし、コンビニにも栓抜きは置いてある。存在しないわけではないのだが、ドイツでは基本的に「瓶は栓抜き以外のもので開けるべし」という暗黙のルールがあるようである。栓抜き以外のもので瓶を開けれることが、ビール大国ドイツの国民にとって「当たり前」であり、プライドなのだ。多分。
また、外国人の友人達に聞くと、長く住んでいる人でも栓抜きでしか開けられない人が多かった。そんな人は開き直って栓抜きを持ち歩くか、人に開けてもらうそうだ。やはり栓抜き以外のもので瓶を開けることは、ドイツ以外の場所では学ばない特殊なスキルなようだ。
私も随分前に諦めて栓抜きを持ち歩くようになった。でもなんだか悔しい。私も栓抜きを卒業してかっこよくさりげなく、栓抜き以外のもので瓶を開けてやろうではないか。
いつでもどこでも栓抜き無しで瓶を開ける能力が必要になった背景には、私が考える限り2つの理由がある。
一つは、ドイツはガラス瓶に入った飲み物が多いこと。もちろんペットボトルやカンもあるが、スーパーやコンビニの飲み物コーナーでは、ビールや炭酸飲料、ミネラルウォーターなど、ガラス瓶に入って売られているものが圧倒的に多い。ビールに関しては、王冠付きガラス瓶に入っているものがほとんどだ。
もう一つは、ドイツではいつでもどこでもビールを飲む習慣があること。公園での飲み会やピクニックが日常茶飯事なため、どんなものででも瓶を開けられるサバイバルスキルが自然と身についたのでは、というのが私の勝手な理論だ。
使われる道具はというと、やはり外出中でも常備していることが多いライターや家の鍵の他、公園のテーブルなどが主流。また、瓶が2本以上ある場合は、一本の瓶を使ってもう一本の瓶を開ける人も多い。
試しにドイツ語で「瓶を開ける方法」を検索すると、検索候補にズラッと道具が出てくる。
これだけあれば、きっと一つはうまく行くはず。ビールも飲みたいし、早速試してみることにする。
用意したのは、瓶ビール1ケース(24本入り)、最もポピュラーな代用品とされるライター、そしてドイツ人のコーチ(夫)だ。
まずは夫なりの方法を教えてもらう。
何度もやってみるが、ライターが滑ったり、ライターと瓶の間に指が挟まったりして、一向に開かないどころか手がめちゃくちゃ痛い。手がしびれてきたので夫に瓶を開けてもらい、とりあえずビールを飲む。
その日とその次の日、何度かチャレンジしたが一向に開かない。これはセカンドオピニオンが必要かもと、YouTubeで動画を検索してもう一度試してみた。
なんと、あっさりできてしまった。手も全然痛くない。YouTubeでも「痛かったら何かが間違っている」と言っていたので、今までずっと間違っていたらしい。
動きがあったほうが分かりやすいので、GIFもどうぞ。(しくじりすぎてライターがガリガリ)
ライターを下ろす時、左手の人差し指で一緒にライターを上に持ち上げる気持ちでやると、さらにうまくいく感じがする。
あまりにもあっけない習得だったため、まだ20本近くビールが残っている。ライター以外のにも9種類の道具を試したので、開けやすい順にまとめてみた。
リモコン
A4サイズの紙
テーブルの端
他の瓶
炊飯器
自転車の鍵
割り箸
2ユーロ硬貨
リップクリーム
栓抜き以外のもので瓶を開けることは、思ったより簡単だった。そしてそこそこ丈夫で安定感があるものであれば、大体どんなものでも瓶を開けられることも分かった。一度コツを掴むと、身近なものが全て栓抜きに見えてくるが、指輪や家の鍵など壊れやすいものは使わない方が良いかも。
長年憧れていたスキルを習得できて嬉しかった。いざとなったらサッと適当なもので瓶を開けることができるんだぞと思うと、なんだかドイツ人度がレベルアップしたような気分だ。
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