観光地が気になる
この取材の後、川越で例のソーラーで動くタイプの招き猫が置いてあるお店を見つけて「本当にあった!」と感動したので本文中に使った。
観光地って似てきているのかもというか、時代に合わせて進化しているんだなと思った。そりゃそうか。人が集まる場所なわけだから、集まった人が求めるお店が残るし、新しくできていくよね。これからは観光地のトレンドも気になってしまいそうだ。
きっかけは観光地で蜂蜜専門店を見つけ、ここの名物は蜂蜜なのだと思っていたら他の場所でも同じ店を見つけてしまったことだった。これ、もしかして名物ってわけではない?
そういえば、七味唐辛子の店やパワーストーン屋も割と観光地では見かけるイメージだ。みんなの記憶の中の観光地周辺の店を総動員させれば、どこかに実際にありそうな平均化された観光地が表れるのではないだろうか。架空の観光地を考えたい。
架空の観光地を考えるために、私の方で大まかな枠組みを用意した。
今回の舞台は「大きな神社」だ。観光スポットというとお城やタワーや牧場や動物園などいろいろと考えられるが、単純に自分が神社好きなので考えるとどうしても神社になってしまう。
イメージとしては、鎌倉の鶴岡八幡宮や福岡の太宰府天満宮のような県の観光スポットとして数えられるような大きな神社だ。その神社はかなり現代的で、神社のフリーWi-fiもあるしインスタグラムのハッシュタグを使ってね! と書いたポスターが貼ってあったり境内にカフェがあったりする。そしてお守りの種類も多い……みたいな神社(すべて想像)なんだけど、神社への妄想はこのへんにして、参道の周りのお店を考える。
参道周辺の飲食店は有名店や人気店も多いが、表参道にある食べログ3.01のそば屋は、おいしいけど観光地価格で高いし、悪くないけどパッとしないそば屋という想定だ。地元の人は少し奥に入った昔ながらのそば屋を利用するというウワサ。あくまでもネット上で見た評判だけど……(全部想像です)。
地元のマダムがここでおしゃれするような、昔ながらのブティックが細々と頑張っている。店頭では1年を通して店主のマダムとお客さんが会話に花を咲かせている光景を見る。地域に愛されるお店ではあるが、娘さんや息子さんはお店は継がずマダムの代で終わってしまうのだろう……(想像です)。
シャッターが閉じているお店もある。伝統あるこのエリアも新陳代謝が活発に進んでおり、古い店と新しい店が混在するおしゃれなエリアに変貌しつつある。閉じた古い店の後にはタピオカ屋など人気の新しいお店が出店して若者の人気を集めている。みんな夏場はハンディタイプの扇風機を持って行列に並ぶのだ。
これは、夢の中で行った観光地を描くような作業だ。私はここに行ってみたい。
これ、ひとりで考えているだけで既に楽しいのだが、ライターのネッシーさん、江ノ島さん、北向さん、ウェブマスターの林さんにも知識を借り、架空観光地の地図の完成を目指す。
まずこちらの図を見せた反応が、「チーズケーキ屋さんどこにでもある気がする!!」「肉屋のコロッケありますね!」「あるなー」という感じだったので「そういう話がしたかったんです!!」を2回言ってしまった。
林:おれ案いいですか。老舗の和菓子屋がやってるようなソフトクリーム屋。ソフトクリームの上に昔からのそこの名物がのっているの。人形焼とか。
全員:あーーー(合唱)
あーの音がみんな違くてハモっていた。みんな「あー」の音程って微妙に違うんだ。
江ノ島:あー! はいはいはい。ありますね。
井口:めちゃくちゃいいですね。
ネッシー:一個思いついたんですけど、試食ができるタイプの漬物屋さん。
全員:あーー!
北向:あと店頭で売っているせんべい。
ネッシー :あー! 売ってる! せんべい。たまに店頭で焼いてたりもする…!
林:紫色の宝石をくりぬいたようなやつ。あれも割とどこでも見るよね。
井口:鉱物のアメジストですね! そう思って入れといたんですよタピオカ屋のとなりに。こういうところってパワーストーン屋絶対あるので。
北向:入ってる!(笑)
江ノ島:あと、やたら独楽を売ってるお店ないですか。工芸品の店。
林:あのソーラーで動く招き猫が店頭に置いてあったりする。
ネッシー:ずっと招き続けるやつだ(笑)
林:あとはクラフトビール屋じゃないですか。
北向:そう! クラフトビールはウィンナーソーセージ屋にきっと売ってるんですよ!!
全員:あーーーー!!
林:そこの名物のフレーバーを使ったビールとか。あんまり美味しくなかったりするんだけど。
江ノ島:とりあえず作ってみた感じだ。
クラフトビールはもともとあったウィンナーソーセージ屋に併設させた(ここは後から追加した項目だったのだ)。お店を更新していくのもありなのだ。町を作っている気分……!
みんなどんどんアイディアがでてくるし、そういう話がめちゃくちゃしたかったので嬉しい。そんな感じで出来上がったのがこれだ。
途中でおせんべいやお団子などを食べ歩きできる。こういう観光地、すごくいい観光地な気がするし実際に行きたい。
以上の話し合いから、観光地あるあるビンゴを作ってみた。それなりに栄えている観光地であれば、結構ビンゴできるんじゃないだろうか。
せっかくなので、最初描いたものの観光地じゃないなとお蔵入りにしたやつも見てもらいたい。観光地じゃなくて、池上線沿いの江戸時代に賑わった感じの神社のようになってしまったやつだ(といってもそこまで池上線に明るいわけではない)。
駅前にはチェーン店が立ち並ぶ。銀だこやマックのあたりは学校帰りの中高生で夕方混み合う。日高屋は遅くまで食べられるので周辺に住んでいるサラリーマンに重宝されている。日高屋の隣は文字がつぶれてしまったが居酒屋ビルだ。白木屋や魚民などが入ってる。スーパーマーケットがまいばすけっとしか見当たらないが、それはこの奥に大きめのス-パーがあるから大丈夫。たぶんOKストアかオオゼキあたりがある。まあ、全部想像なんだけどね。
池上線沿いに住んでいたこともある林さんによると久が原のあたりっぽいとのこと。割と本当に池上線っぽいようなのでよかった。こういうところが本当にあるなら行ってみたい。
池上線(仮)はこのようになった。駅前商店街は考えやすいが神社や公園の近くとなると意外とお店を考えるのが難しい。文房具屋は学校指定の文房具屋で上履きとかも売っているし、もう何年売っているかわからないような古い消しゴムとかもある。老舗の写真館はつい最近撮ったであろう垢抜けたお嬢さんの成人式から、少し日焼けている平成初期だろうなという家族写真までがずらっと並ぶ。先々代の時代から、お宮参りから七五三、成人式とこの街の人の一生を見つめ続けてきたのだ。ま、全部想像なんだけど。
この街、いいなあ。良すぎて住むならこのへんだとマークしてしまった。
夢の中で行った観光地を描くような作業で楽しかった。完全に想像なわけだが、日本のどこかにこんなところが本当にあるんじゃないかと思ってしまう。そしてそんなところがあるなら実際に行きたい。
この取材の後、川越で例のソーラーで動くタイプの招き猫が置いてあるお店を見つけて「本当にあった!」と感動したので本文中に使った。
観光地って似てきているのかもというか、時代に合わせて進化しているんだなと思った。そりゃそうか。人が集まる場所なわけだから、集まった人が求めるお店が残るし、新しくできていくよね。これからは観光地のトレンドも気になってしまいそうだ。
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