パイナップルピザについて知ろう
まずはパイナップルピザについての学習が必要だ。
定義としては「トマトソース、チーズ、パイナップル、ハムを材料とするピザ」。(Wikipediaより)
これを踏まえた上で事前情報としてピックアップした4つがこちら。
冒頭から便宜上、「パイナップルピザ」といっているが、パイナップルが入っているピザのことは「ハワイアンピザ」と呼ぶことが多い。以下、ハワイアンピザと呼ばせてもらう。
発明者のサム・パノプロスがはじめてこのレシピを作った時に使ったパイナップル缶のブランド名にちなんで名づけられたそうだ。
「もぎたて!パイナップル缶」とかだったら”Mogitate Pizza”になっていたかもしれない。
サムはアメリカ料理と中華料理を出すレストランを経営しており、旨味と甘みを融合させたメニューとして、1962年にハワイアンピザを発明した。
これはつまり、「酢豚にパイナップル」の存在が先、ということを意味する。元祖おかずパインは酢豚だった。
スライドの後半2点からもわかるようにハワイアンピザには過激な否定派が存在する。日本でいうところの「きのこたけのこ戦争」と似ている。もはや個人の本当のところの好き嫌いを超えたエンタメとして楽しむミームと化している。
こうしたところから、プロレスとの親和性も高いのだろうと推察したが、ピザのレスリング団体って一体何なんだろう。詳細を調べはしたものの、実態をつかむことはできなかった。わかる人は教えてください。
ピザを知り、ピザを食べる
ハワイアンピザを食べる会として今回集まっていただいたメンバーをハワイアンピザ肯定派⇒否定派の順に紹介します。
各社とも急に単品でハワイアンピザを頼まれてどんな気持ちだっただろう。
下調べから伺える嫌われ具合からすると、注文されることも少なそうだ。
「そもそも3社のピザを一気に食べることないよね」という声が挙がった。
並べてみると大きさや見た目に結構な違いがあることに気づく。これは後述にて。
お値段が高い順から食べていくことにした。
ピザーラ、ドミノ、ピザハットの順だ。
ピザーラ「ハワイアンデライト」\2,100
ぱっとみてパイナップルがどこにあるかわかるだろうか。細かく刻まれていて、あまり存在感がない。
茶色い肉(イタリア風ソーセージのサルシッチャ)とハムの2種類の肉があるな、という特徴の方が目に入ってくる。
ひとまず食べてみないことにはわからない。話はそれからだ。
普通のピザだ。後から甘さを感じるが、甘めのトマトソースなんだろうな、と思う程度。
ちょっと拍子抜けしてしまった。この程度のものをみんなはあんなに嫌っていたのか。
肯定派・中立派の意見をまとめた。
・肉々しい。複雑な味。どの味を伝えたいかわからない
・古賀さん「いつも食べているドミノよりパイナップル感が薄い」
・パインをもっと強く感じたい
・甘さは感じるけどコーンかなと思う(コーンはないっていない)
・林さん「居酒屋で生臭いのを食べたくて塩辛を頼んだのにゆずがかかってきちゃった、みたいな、そこまでしなくていいのに感がある」
パイナップルピザ肯定派には物足りないようだ。逆に考えると、ハワイアンピザに抵抗がある人の入り口としてはいいかもしれない。
そんな希望を託してハワイアンピザ否定派の橋田さんに食べてもらう。
敏感な人はやはりおいしく感じられないようだ。どんどん壁際に行ってしまう橋田さん。
気持ち悪いとかではないけどパイナップルがない方がおいしいんじゃないかなと思う、とのこと。
細かく刻んだり、肉を多く入れたりすることで甘さを抑え、否定派に配慮した結果、どっちつかずのものになってしまったんだろうか。
考案メンバーにハワイアンピザ好きがアサインされていなかったのかもしれない。ピザーラさん、古賀さんをメンバーに入れて再考願います。
ドミノピザ「トロピカル」\1,900
ピザーラと打って変わってパイナップルの存在感がすごい。
これはごまかしようもなくパイナップルの味をダイレクトに感じられそうだ。
古賀家御用達のドミノピザ。林さんの反応をご覧いただきたい。
「全然あってなくて笑っちゃうけど普通にいける」とのこと。
雑だけどそれがいい。デイリーポータルっぽいとも言っていた。
◆肯定派・中立派の総評
・すごくパンっぽい。ピザの生地って味違うんですね
・チーズとのしょっぱさと合うから肯定派としてはうれしい
・黄桃が乗っているパンの後味。結局缶詰の味
・パイナップルが大きいから苦手な人はよければいけるかもしれない
・パイナップルを取った後の風味は残る(お弁当のうめぼしみたい)
・林さん「人んちだな~って感じがする」
否定派・橋田さんに食べてもらうターンではげましの声援が飛んだ。部活みたいだ。
しんどそうな表情を見せたが、ピザーラが細かいパイナップルがちりばめられていたのに対し、ドミノは大ぶりなチャンクが2,3個しか載っていない。
こちらのほうがいいかも、という結論に。
「これで終わるし」と言っていた。部活の大会前の人みたいな意見だ。
筆者も食べてみたが、ガツンとパイナップルの味が伝わってくるものの、嫌じゃなかった。
むしろベーコンとチーズの塩味と絡んでおいしい。かなり和解に近づいた気がする。
苦手な人は避けやすく、好きな人にとっては存分にパイナップルを堪能できる。
シンプルゆえの良さを感じられた。
ピザハット「ハワイアン」\1,730
ピザハットってあんまり頼んだことがない。林さん曰くアメリカではよく見るらしい。
日本ではドミノやピザーラほど目立っていないように思えるが、価格も一番安い。
パイナップルが目立ちすぎず、とはいえちゃんと存在していることはわかる。料理として溶け込んでいるように見える。
一番最後、果たしてどんな味なのか。
今回、目を見張ったのが古賀さんのためらいのない食べっぷりだ。
普段から食べている人だな、という所作ですいすい食べ進めてしまう。
ピザーラのハワイアンピザが食卓に現れたら、そのパインの小ささに一家はざわつくことだろうと言っていた。
そんな古賀さんのピザハットの感想。
驚くほどパイナップルに言及がなかった。
本当に食べなれている人にとってパイナップルは当たり前の存在。違う視点からハワイアンピザを見ているのだ。
◆肯定派・中立派の総評
・すごくしょっぱい。ベーコンの量が多い
・パイナップルに気を取られすぎない。なじんでる
・チーズがいっぱい乗っててうれしい
・バランスがいい。ちゃんと料理になっている
・確かに歯切れがいい。パン屋さんのピザの生地
・耳が甘くておいしい
・古賀さん「頑張って作ってるよね」
・みんなもっとピザハットを食べてほしい
かなり評価が高い。食べていくにつれてどんどんピザハットへの推しの気持ちが高まっていく。
筆者もピザハットが一番おいしく感じられた。
そしてなんと橋田さんの反応にも変化が現れた。
さっき(ドミノ)はめちゃめちゃパイナップルだったけど、これはチーズの味も強いし、コーンと玉ねぎもいる。パイナップルはちょっと大きいけど、後味が別の具材で緩和されるので、そんなにいやじゃないかも。おいしいと思えるかもしれない。
橋田さんからおいしい(かもしれない)をいただいた。
これはほとんど克服したといってもいいんじゃないだろうか。
参加メンバー満場一致で「ピザハットのハワイアンが一番おいしい」との結論に至った。
特に意味はなく価格順に試食したが、結果として有終の美を飾ることとなった。
ピザハットさん、これから贔屓にさせていただきます。
パイナップルは料理として食べられる
撮影会を終えた帰り、その足でパイナップル缶と食パンを買った。
それから毎朝私の朝ごはんはチーズとハムとパイナップルを乗せたなんちゃってハワイアンピザトーストだ。
塩気とあたたかいパイナップルからしたたるシロップがおいしい。
パイナップルピザへの偏見がなければ、もっと早くに和解できていたはず。百聞は一見に如かずとはこのことだ。
しかし、「酢豚にパイナップル」にチャレンジする勇気はまだない。
以前、古賀さんがパイナップルだけで酢豚を作るという荒療治をしていたので、いざとなればそれを試そうと思う。