きみはハンドパックを知っているか
少し前にネットでも話題になったが、サーティワンには「ハンドパック」なるものがある。
3~6人分のアイスを大きい容器に入れてくれるメニューだ。
これを頼むと、店員さんは容器にあふれんばかりのアイスを必ず見せてくれる。ケーキ屋さんで中身の確認をさせられるのと同じだ。
あまりに量が多くないか?と思うのだが、これには仕掛けがある。
お家に帰ってふたを開けると、サーティワンのロゴが浮かび上がるようになっているのだ。
このハンドパックは3人用のサイズでは2つまでフレーバーを選ぶことができる。
ちょっと前にポッピングシャワーだけにしたとき、いつもよりパチパチをたくさん味わえる幸せをかみしめたのだ。
こうして、ポッピングシャワーのパチパチをより楽しみたいという欲望に火が付いたのだった。
「全部ポッピングシャワーで」
そうこうしてハンドパックでポッピングシャワー1フレーバーを頼んだ次の週に再度サーティワンに赴くことになった。
今回はレギュラーサイズのポッピングシャワーをより「ポッピング」させる、つまりパチパチキャンディを追加したい。
店頭で店員さんにテイクアウトメニューであるバラエティボックスの最小サイズ4コ入りを頼む。
フレーバーを聞かれたとき、照れながら「全部ポッピングシャワーで」といった。
この店舗で「ポッピング野郎」や「ポッピングウーマン」とあだ名がついても仕方ないな、というくらいの覚悟で頼んだのだが、店員さんはただただ笑顔で「ポッピングシャワーですね」と返してくれた。さすがプロフェッショナルである。本社にお礼のメールを書こうと思う。
ポッピング部分の割合を導く
別のは113gだった。10個くらい食べて平均を出したいところだが、こう見えて私の胃腸は弱い。おそらく110gくらいがレギュラーサイズの目安なのだと思う。
110gのうち、ホッピングが何グラムを占めるのか。まずはここの究明をする必要がある
ポッピング部分をひとつずつ箸でつまみ、氷水にうつして採集した(しながらアイスの部分は食べた)。
氷水でアイスを落とし、水気を取ったポッピング部分を空のカップに入れて軽量する。
もちろん完全に乾いた空のカップを作るため、事前に1個完食している。
ポッピングシャワーのポッピング部分は 6%ということになる。
6%。これをみて皆さんはどう思うだろう。
私は意外と少ないと思う。もっと頑張れる。
ポッピングシャワーはもっと、ポッピングできるにちがいない。
パチパチするキャンディは意外に少ない
よりポッピングさせるにはまずパチパチキャンディを用意する必要がある。
私が子供の頃は「わたパチ」という綿菓子にパチパチキャンディがまざったお菓子がはやったものだが、現在は終売しているらしい。
「ドンパッチ」というパチパチキャンディもあったようだが、同じく現在は販売停止している。
スーパーやお菓子のお店に行ってもパチパチキャンディの姿はない。最近の子供たちがお口をパチパチさせるにはポッピングシャワーを食べるしかないのか。かわいそうに。
と、嘆いたところでネットで「パチパチパニック」というものを見つけた。口内をパチパチさせたい気持ちは今も昔も変わらないのだ。
グレープ、ソーダ、コーラ味があり、ラムネが混じっている。
大きなかけらもあれば小さいものもある。
ひとまずラムネと大きいかけらをそれぞれ仕分ける。
小さいかけらも、もったいないので熱した砂糖水に浸した楊枝で集めて固めることにした。
うっかりすると砂糖水に溶けたキャンディがはじけるのでかなりの慎重さと集中力が求められる。割高でもいいので大きいかけらだけを売ってほしい。
これだけでもけっこう疲れるのにまだ作業は終わらない。
チョコをコーティングするのだ。
「見えないトンネルをずっと走っている気がする」
調べてみると、ポッピングシャワーを自作するレシピは意外にもたくさんあった。
「ポッピング」の再現には着色したホワイトチョコをクッキングシートに伸ばし、そこにパチパチキャンディを散らして上からまたクッキングシートをかぶせて挟み込み、冷やすというアイディアが多かった。
しかしこの場合、余分なチョコも混ぜ込むことになるし、あの「ポッピング」部分の丸っこい感じが失われているように思えた。
私はちゃんとひとつぶひとつぶコーティングしてみせる。
誰にも頼まれていないのにそんな闘志を燃やしてホワイトチョコを買いにスーパーへ急いだ。今思えばおとなしくクッキングシートで挟んでおくべきだった。
パチパチキャンディたちを箸でつまみ、この色チョコにくぐらせていく。またしても細かい作業だ。
目がしょぼしょぼするし、時間が経つにつれ、チョコが固くなる。
エアコンの除湿を利かせていてもパチパチキャンディ同士がくっついて固まってくるし、コーティング済みのキャンディが力なくはじける音がする。
本当にこれで正しいのだろうか。だんだんと不安に駆られる。
昔、知名度も将来性もない商材の営業職に従事していたとき、先輩が「出口の見えないトンネルをずっと走らされている気がする」と言い残して転職していったことを思い出す。先輩、私も今走っています、トンネル。
なんかこう、見た目があんまり麗しくないし大きい。
こういう石のチョコレートのお菓子があった気がする。
でももうつくってしまったのだから責任を以ってポッピングシャワーとしての役割を全うしてもらう他ない。
これより最終工程に入ります。
111%のポッピングシャワー、爆誕
早速ポッピングシャワーと自作ポッピングを混ぜていく。
今回作ったポッピング116gと通常のポッピングシャワーに入っているポッピング約7gの計123gのポッピングが入っている。
レギュラーサイズ約110gで計算すると、ポッピング部分は111%を占めることになる。通常のほぼ18倍だ。
混ぜ込むとあのさわやかな色味が失われる。ポッピングを優先するためには仕方のないことである。肝心なのは味だ。
まずはホワイトチョコのつよい甘さが口に広がる。
いつもなら2~3口に少量入ってくるパチパチが、常に襲い掛かってくる。パチパチしない瞬間がない。のどまで響いてくる。とてもアイスを食べているとは思えない。
そもそもアイスを超えた量のポッピングが入っているこれは、もはやアイスといっていいのだろうか。
甘すぎて水を飲むと、口の中で聞いたことがない量のポッピングフィーバーが起きた。異音と察した犬が逃げた。
それでもパチパチがたくさんなるのは楽しい。楽しいけど甘さに体がついていかないのだ。
あと20年早くこれを食べていたら100%ポジティブな気持ちで食べることができていたと思う。
残り半分のところでギブアップしてしまった。もう半分は少しずつ食べていこうと思う。
世界的なアイスクリームチェーンが、ポッピングシャワーのポッピングの適量は6%(あくまでも筆者調べです)と決めているのだから、もうそれは一番おいしくポッピングシャワーを楽しめる量ということである。
欲を出して、サーティワンをすこしでも疑った自分が恥ずかしい。
ポッピングシャワーのポッピングをもっともっと思う存分楽しみたい人は是非、ハンドパックをポッピングシャワー1フレーバーでご購入ください。間違っても18倍のキャンディで作ろうなんて思わずに。