特集 2022年12月25日

ロータス ビスコフほか ベルギーのカラメルビスケット3種の味は同じ!?違う!?

ホテルのドリンクバーでコーヒーの横に置かれていたり、パーティー等でちょっと気の利いたケータリングに入っていたりと、「ちょっといい場」で定番で出てくるビスケット、ロータス ビスコフ。

なんとなく食べたくなって買いに行ったところ、似たようなベルギー産ビスケットがいくつか売られているのに気づいた。あえて別のを買って食べてみたら、驚くほどロータスだったのである。

なんか面白いので食べ比べてみることにした。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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3種のカラメルビスケット

そもそもロータスって何?という方もいらっしゃると思う。これだ。

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これがロータス ビスコフ

今回買ったパッケージはビスケットが裸で入っていたが、個装されている姿のほうがおなじみかもしれない

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あのビスケットこと「ロータス ビスコフ」に塗る版があった』より

僕はシナモン味のビスケットという認識でいたのだが、一般的には「カラメルビスケット」というジャンルのお菓子であるらしい。

ビスケットといっても塩気の強いお菓子ではなく、どちらかというとクッキーっぽい。カラメルの名のとおり甘さの中にちょっとだけ苦みもあり、コーヒーによく合うおいしいビスケットだ。

それにそっくりのビスケットというのがこちらである。

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ポピーズ カラメルビスケット
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個装。デザインこそ違うものの、隙間のないムチムチ個装は完全に「同類」の香り

これだけではない。もういっこある。 

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ベルメーレン スペキュロス。誇らしげに貼られた「ベルギー大使館推奨」のラベル
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個装が透明でないので見にくいが、これもそこそこムチムチである
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ムチムチの個装をさらにムチムチに外装している構造が全く同じなのだ

どれもバラバラのタイミングで食べてみたのだが、そのときは全く同じ味だと感じた。本当に全く同じなのか、食べ比べてみたいと思う。

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とはいえ自分の舌に自信がないので、ライターのほりさん、ナミノリさんにもご参加いただきました。
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ついでに日本代表、ミレービスケットのキャラメル味も買ってきた

形は違うが質感は同じ

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出してみたところ

ロータスは「Lotus」って書いてあるのですぐわかる。ポピーズはあのマットにちょっと似ている。

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あのマット(「あのマットができるまで」より)

ベルメーレンはきれいな四角ではなく独特の形をしている。2列の盛り上がりがあって、線路みたいだ。 

形や模様の違いはあれど、3つとも質感は全く同じである。
(ミレーは質感も違うし、丸いのですぐわかる。)

味くらべ・ロータス vs ポピーズ

では、実際食べてみよう。

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まずロータスを食べたナミノリさんが…
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ポピーズを食べて笑い出した

ナミノリ:一緒です!

石川:全く同じ?

ナミノリ:噛めば噛むほど一緒です!

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2つ食べたのち、熟考して「味は全く一緒…」とつぶやいたほりさん

ほり:最初は違うかなと思うけど、よく味わった結果、結局いっしょです。

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筆者。ん~~~~~~~、同じ…!!!

同じなのだ。同じものは同じとしか言いようがない。

普段はライターとして言葉を磨き、気の利いた表現を追い求める3人であるが、「同じ」の前では無力であった。
全意識を舌に集中し、味覚の深淵にダイブ……するも結局なんの収穫も得られず浮上してくるのみである。

もちろん、どちらも同じようにおいしいということなのだが。

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ベルメーレンはザクザク

続いてベルメーレンだ。

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こっちは違いがあってくれ…!
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違う!!!!!!

ナミノリ:サクサク感が違いますよ!
石川:ほんとだ!全然違う。ザクザクしてる
ほり:裏が違うからかな

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たしかに、表側は同じように見えたが裏返すとベルメーレンだけ密度が違う

ロータスとポピーズがクッキーっぽいしっとり感を残していたのに対して、ベルメーレンはザクザク食感。比べずに食べたときは気づかなかったけど、続けて食べてみると全然別物だと分かった。

ちなみに、ベルメーレンだけ原材料にナツメグが入っている。でも味の違いは分からなかった…。

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味は一緒ですね…

味は同じ。以上がファーストインプレッションである。

ミレーは別物

あ、そうそう、ミレービスケットは、逆に全てにおいて違った。パッケージにもカラメル味でなく「キャラメル味」とあるとおり、お菓子のキャラメルの味がするビスケット。油で揚げてあるようで、ベルメーレン以上にサクサクの食感だった。「日本のビスケット」という感じで、安心のおいしさである。

カラメルビスケット見分け方チャート

その後、何枚もの試食を重ねた結果、特徴の一覧表が完成した。

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特に全く同じと思われたロータスとポピーズ、ほりさんがわずかな後味の違いに気づいたのがブレイクスルーとなった。

さらに、この表をもとに作成した、カラメルビスケット見分けチャートがこちらである。

スクリーンショット 2022-12-22 174744.png

このチャートを検証すべく、目隠しして利きビスケットを行った。

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「この後味は…ポピーズ!」正解!
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「2列の突起があります…ベルメーレン!」正解!
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「最後まで甘い…ロータス!」正解!!

というわけで、3種のビスケットは慣れれば当てることは可能ということがわかった。

逆に言えば、そこまでしないとわからないくらい似ている、ということでもある。迷ったらどれを買うべきか、という質問に対する僕からのアドバイスは「どれを買ってもいい」である。

各ビスケットの歴史

その後、各ビスケットの歴史を調べてみるとこのようになっていた。

ロータス…ロータス・ベーカリーズの元、ロータス・ビスケットは1932年創業

ポピーズ…パン職人のポプリエ氏が1935年に伝統的クッキーの製造を開始

ベルメーレン1650年創業のベルメーレン家族が営むパン屋で焼いていたビスケット。ベルメーレン社は1919年に創業

3つの中ではベルメーレンが一番古いことがわかった。そもそもが伝統的なお菓子のようなので、真似したとかされたとかいう話ではないのだと思うが、とはいえベルメーレンはこの歴史の長さこそがベルギー大使館推奨のゆえんなのかもしれない。


味のプロも迷う

撮影後、となりの部屋で撮影をしていたメンバーにも食べてもらった。

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味のプロ、本業は蕎麦屋のライター石井さん

一口ずつ食べて「何も言われないで食べたら同じものだと思う」とつぶやいたのち、「ロータスは先に塩がくるので、ポピーズの方が後味がしょっぱいと感じるのかもしれない」と言っていた。違いの分かる男。

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ライター月餅さん、編集部 林さん。林さんは一口食べて「カレー?」と言っていた。シナモンです!
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