繰り返されるあやまち
またやってしまった。イヤフォンをポケットに入れたまま洗濯してしまったのだ。
洗濯されたBluetoothイヤフォン
最近はAirPodsみたいな両耳セパレートのタイプが人気だが、落としそうで怖いので線でつながったタイプを使い続けている。しかし落とすリスクを排除したところで、洗濯してしまったら意味がないのだ。
ちなみにこれで3回目である。
帰ったら定位置に置く
なんでこんなことになるのかというと、外出先で適当にポケットに突っ込んだあと、出すタイミングがないからだ。
しかしなぜイヤフォンだけなのか。スマホも同じようにポケットにつっこんでいるけど、こっちは洗濯したことがない。
スマホは帰宅時に充電ケーブルに挿す習慣になっているから
イヤフォンも、家に帰ったら定位置に置く。これを習慣づけるだけで、洗濯は避けられる……ことはわかったうえでの、今回の事故である。
なぜスマホは定位置に置けてイヤフォンは置けないのか。スマホの方は「充電」という別の目的があるからだろう。イヤフォンにも、定位置に置く目的があればいいのである。
そこで、こんなものを作りました。
イヤフォン置き場
でかい。圧倒的な存在感で、帰宅した瞬間に嫌でもイヤフォンのことを思い出すことになるだろう。ただ、でかさだけがこのガジェットの機能ではない。
イヤフォンを前面パネルに貼り付けると…
光る…!!
そう、これはランプなのである。
僕はもともと暗い場所が好きで、夜はスタンドライトひとつで過ごすことが多い。今日からはスタンドライトのかわりに、これを使う。
ムーディーな間接照明
よくビジネスホテルに泊まると、ドア脇のホルダーにキーを挿さないと照明がつかないようになっている。あれのおかげで室内でキーを紛失することはない。
それと同じで、このランプを使っている限りは絶対にイヤフォンを洗濯することはないはずだ。
……天才かもしれない。
ちなみに消灯時はランプ部がミラーになっている。イヤフォンをつけると透過し、歯が青く光る
Bluetooth(青い歯)イヤフォン、というギャグである。ガハハ。
工作の説明をさせてください
この話にはつづきがあるのだが、せっかく作ったのでここでいったんメイキングをご覧いただきたい。
まずイヤフォンを貼るとスイッチが入るギミックについて。ここは磁力を利用している。
もともとこのイヤフォンは磁石がついている。こうやって両耳くっつけて輪っかにしておくと、ポケットに入れても絡まらないし首からも落ちなくて便利
これとホワイトボードの組み合わせ。ホワイトボードになぜ磁石がつくかというと、中に鉄板が入っているからだ(鉄板であって磁石ではないのが今回のポイント)
さらに、リードスイッチという部品を使った。磁石を近づけるとONになるスイッチだ。
このリードスイッチが2個、直列でホワイトボードの裏に貼ってある。両方ONになると回路に通電する
これにより、ホワイトボードの決まった場所にイヤフォンを貼るとランプが点灯するようになっている。
シールの貼ってある2カ所が定位置
ちなみにスイッチの位置だが、横並びに配置したところ顔(歯)との位置関係から乳首っぽくなりすごく嫌だったので、縦並びに直したという制作秘話がある。
あとはランプ部分もお見せしておこう。
100均で買った小物入れの内側にLEDテープを貼り、歯を配置
LEDテープが電球色しかなかったのでセロファンで無理やり青くした。
※注:LEDテープはそこそこ熱くなるので、無防備に長時間使うと危ないかもしれない。もしこの記事を参考にランプを作ろうとしている人がいたら(いないと思うが)、セロファンを巻くより青色のLEDテープを買った方がいいし、不燃性&放熱性能のいいケースを使うべきだ。
正面のミラー部分は、こんなものを使った。
窓ガラスの目隠し用に売られているハーフミラーシート
貼るとなんでもマジックミラーになるという魔法のシートである。明るい場所だと透けてしまうのだけど、シートの向こうが暗い場合はばっちりミラーになってくれる。これを100均の硬質カードケース(硬いクリアファイルみたいなやつ)に貼ってマジックミラーにした。
リードスイッチに磁石を近づけ、ハーフミラーがうまく透けるか実験しているところ
これらをまとめて、完成したのが先ほどのランプである。
暗い部屋で点灯するとこんな感じ
ちなみに裏はこんなにスカスカである。工作が雑!
生活に溶け込む青い歯
さて、さっき、この話には続きがあると書いた。話をつづけよう。
このランプを導入した日とその翌日、計3度の外出をしたが確かにイヤフォンをポケットに入れっぱなしにすることはなかった。たまたまではなく、これなら今後も失敗はしないだろうという確信があった。その点では大成功である。ただし、別の難点があった。
部屋にずっと歯があるのが
けっこう嫌なのである
先ほども書いたけど僕は夜間は部屋を暗くして過ごすことが多い。そんな生活の中で、たとえば
楽器の練習をしていても、視界にチラチラと青く輝く歯が入ってくる
ちょっとお酒でも飲もうかなと思ったときも、歯にむかって乾杯する形になってしまう
歯が嫌というか、歯茎が全部むき出しなのが嫌なのかもしれない。いや、なにが嫌かのディテールはこの際どうでもいいのだ。大事なのは「インテリアに冗談は要らない」ということである。
読み物サイトの仕事をしていると何でもウケを狙う習慣が身についてしまう。でも少なくともお部屋のインテリアには、おもしろは不要だったのである。主張しすぎず、邪魔にならない程度の存在感で、ただそっとその場に在ってくれさえすればいいのだ。
グイグイ来ちゃった悪い例
暮らしに寄りそうVer.2
洗濯回避と引き換えにあまりにもQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が下がってしまったので、回路の一部に改良を加えた。今度のシナリオはこうだ。
夜に帰宅すると、暗い部屋の中ですでにランプがついている。歯が光ってて嫌だな…
そんなとき、ポケットからイヤフォンを取り出して…
パチッと貼り付けると……歯が消える!
スイッチの動作を逆にし、イヤフォンなしで点灯、置くと消灯としたのだ。
これで視野内に歯が光っていない平穏な生活を送りつつ、イヤフォンも定位置に置けるようになった。もう二度とうっかり洗濯することはないだろう。
ありがとう、歯…。
工作で脳に焼き付ける
とはいえ、Ver.2もその後ずっと常用しているかというと、そうでもない。だって家にいないあいだランプがずっと点いてるのは電気がもったいないし、無人の家で素人の電子工作がずっと稼働しているのもトラブルが起きそうで怖いからだ。
しかし一度こうやって工作を作ることで、ランプなしでも自然と帰宅後にイヤフォンをポケットから取り出せるようになった。
方向があってるとか間違ってるとかどうでもいいから、とりあえず手を動かしてなにかやると、大事なことが脳に焼き付けられるのかもしれない。
関係ないけど磁石のついたイヤフォンをいろんなところに貼り付けてみるといつもと違った表情が見られて面白い。これは駅のエレベーターの壁
おしらせ:Ogaki Mini Maker Faire 2022に出展します!
ものづくりの祭典Maker Faire、今度は岐阜の大垣で開催されるOgaki Mini Maker Faire 2022に出展します!デイリーポータルZからは本記事の筆者・編集部 石川がこの記事のランプを持っていくほか、ライターのこーだいさん、爲房さんが参加します(爲房さんは4日のみ)。中部にお住まいの方はぜひ…!
公式サイト
https://www.iamas.ac.jp/ommf2022/
デイリーポータルZブースの出展告知
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物理会場 :ソフトピアジャパンセンタービル
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リアル会場のほか、オンラインのバーチャル会場(2Dのみ)にも参加しています。遠地の方はこちらをぜひ!