特集 2021年12月15日

セブンイレブンのサバ缶はノルウェー産の方が高くて濃厚

セブンイレブンには、国産さばのサバ缶と、ノルウェー産さばのサバ缶が取り揃えられている。

国産のほうがお高めで、ノルウェー産のほうが廉価版なのだと直感的に思いつつ値札を見ると、なんと逆であった。ノルウェー産の方がけっこう高い!

国産とノルウェー産、一体何が違うんだ。食べ比べてみた。

北海道在住の大学生。演劇サークルに所属していますが、やったことがあるのは音響担当・舞台装置担当・当日宣伝担当で、一度も演技をしたことがありません。好物はパステルのなめらかプリン。

前の記事:ちくわパンとザンギがうまいパン屋 ~札幌市 どんぐり~


それはある日、待ち合わせをしていたときのこと

ある日、友人と待ち合わせをしていた時のことだ。待ち合わせ場所に予定より早く到着し、セブンイレブンで時間をつぶしていた。

飲み物を買い、お菓子を買い、でもまだ時間がちょっとある。「ああ、どうしよう」なんて思いながら、ぼんやりと缶詰コーナーを見つめた。すると……。

ノルウェー産……?

サバ缶のさばはだいたい国産だと思っていたが……。

しかもノルウェー産の方が高いんだ!価格破壊……?

ここ数年、食品の産地を付加価値にした商品が増えている。国産の牛肉や国産の果物が、いわばブランド化されて海外産のものよりも価格が高くなっている例を最近よく見る。僕だけだろうか、少なくとも自分は「国産の方がお高い」というふうにに刷り込まれているのだ。

もちろん国産の方が高いんだろうと思い込みながら値札を見ると、ノルウェー産の方がすげえ高い。あれ……? え、価格破壊??

国産バージョンとノルウェー産バージョンで、なぜこんなにも価格の差が生まれてくるのだろう。ノルウェー産は遠洋漁業の分、遠洋代が上乗せされているのだろうか。

この2つを徹底比較してみようと思う。

基本スペック比較

それでは味噌煮缶のスペックをそれぞれ確認していこう。まずはひと缶178円の国産から。

明らかに缶の背が高くてでかい。「塩こうじでまろやか」だそうです。
固形量、つまりさばの身の量は140グラムとある

続いてひと缶238円のノルウェー産。

国産と比べると背が低くて小さめ。こちらは「塩こうじでまろやか」ではないみたい。
ノルウェー産さばの固形量は90gだそうだ。少なめ!

これらのスペックを表にまとめるとこのようになる。

固形量グラム単価は、つゆの部分の価格を0円とみなして算出しています
ちなみに1キロカロリー当たりの価格は国産が約0.407円、ノルウェー産が約0.638円でした

グラム単価が示す通り、国産とノルウェー産はかなりの価格差があることがわかる。セブンイレブンに限らず、国産さばのサバ缶がグラム当たり約1円であるなか、ノルウェー産さばのサバ缶は約1.59円。およそ1.5倍で、かなりお高めだ。

味はどうなのか

グラム単価における約1.5倍の価格差は味わいにちゃんと反映されているのだろうか。味を比べてみようじゃないか。価格差警察、出動します。

⚫︎国産さばの味噌煮

缶にみちみちに詰まったさばを皿にあけると、ごろごろとしたさばの身が4つほど。見た目はやはりいつものさばの味噌煮である。

味わいも、舌に覚えのある(?)さば味噌煮の味である。強いて言えば、感じた第一印象は「さっぱり感あるな」だ。

さっぱり感があるとはいえ、噛み締めていくごとにさばの脂のうまみを感じる。奥深くにしっかりコクもあり、たぶんこれが塩こうじの作用なのかもしれない。

⚫︎ノルウェー産さばの味噌煮

ノルウェー産のサバ缶の中身は空間に余裕があった。皿に開けてみると、見た目からしてぜんぜん国産さばのものと違う!

さばの身は大きなものが2つ。形がしっかり残っていて、皮目の部分に傷もなく、かなり美しい見た目である。さぞ大切に扱われてきたのだろうという育ちの良さが伺える。ぜひとも結婚させて頂きたいくらいだ。

つゆの見た目はかなり濃厚。つゆだけ残して「ビーフシチューです」と言い張っても見た目だけなら多分バレない。それほど濃いように見える。

味わいは全くもって見た目の通り。ビーフシチューのような見た目と矛盾しないストロングさがすごい。みりんが多く使用されているのか、甘めの味付けだ。

口にした瞬間さばの脂感をかなり感じ、こってりな味付け。さっぱりした酒と合いそうな感じである。

脂の浮き方が明らかにこってりですもんね

味の比較は以下のようになった。

端的に言ってしまうと、国産のものとノルウェー産のものでは全くの別物といった味わいだった。

どちらを美味しく感じるかは各々の好みによるとは思うのだが、自分的には濃厚なノルウェー産に軍配を上げたい。ただ味が濃いだけでなく、味の奥行きも兼ね備えている気がするのだ。

気がする、とは言ったが成分表示を見てみると……

国産のものはシンプルな調味料の構成で、ノルウェー産のものはみりんや出汁などが含まれている。そりゃあ深みもでるなぁ。

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しょうゆ味の煮付はどうか

では、もう一つのサバ缶。しょうゆ味の煮付はどうだろう。

国産の煮付は黒酢のうま味が効いているらしい

しょうゆ味も同様に大きな価格差が生まれている。また固形量も味噌煮とほぼほぼ同様であり、

国産は130g、ノルウェー産は90gである。

比較をするとこのようになる。やはり内容量グラム単価で比べると約1.5倍の差が生まれている

スペックは味噌煮とほぼ同様であった。ここまできて味に差がなかったらどうしよう。

煮付けもノルウェー産はかなり濃厚

⚫︎国産さばの煮付

缶の中にはさばの身が3つ。ほどよくほろほろと煮崩れている。つゆは透き通っていて、脂とのバランスが良く見える。

これもまたよく食べたことのある煮付という感じである。味噌煮と同様にさっぱりとした味わいであった。黒酢!

⚫︎ノルウェー産さばの煮付

ノルウェー産は煮付けも身の形がかなり綺麗に仕上がっている。まさに箱入りさばだ。いや、缶入りさば……?

濁った濃厚なつゆの味わいがしっかり染み込んでいる。味噌煮ほどのインパクトはないかもしれないが、やはり濃くて深みがすごい。ご飯をいっぱい食べたい味だ。

やはり、セブンイレブンのサバ缶2種、国産のものとノルウェー産のものは全くの別物と考えてよい。わざわざ別商品として存在している意味を体感できた気がする。みなさんもぜひ違いを分かってみてください。どんな鈍感な人間でも、違いが分かる男じゃなくても絶対に分かるはず。

というわけで、本記事の結論を画像にまとめました。そちらをご覧いただきながらお別れといたしましょう。


なぜノルウェー産さばなのか

市場に存在するサバ缶はだいたい国産さばだが、セブンイレブンはなぜあえてノルウェー産さばを採用しているのか。多分しっかりとした味へのこだわりがあるのだろう。

少しだけさばについて調べてみると、日本のさばとノルウェーのさばは種類が違うらしく、調理した際の味わいがけっこう異なるとのこと。やはり味へのこだわりが生んだバリエーション展開なのだろうと思う。

……いや、違う。食べる専門の我々の認識としては、ノルウェー産さばのサバ缶は濃厚。うまい。それだけでいい。それだけでいいのだ。

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原料となるさばの相場をまとめてみたところ、国産の方が比較的安い傾向にあるみたいです。いや、原料が安いんかい!
(データ出典:東京都中央卸売市場日報
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