かけあしで紹介してきましたが、どの商品にも新しい発見や出会いがあった今回の企画。
軽く知人数人に聞いてみただけで、この何倍ものおすすめ商品リストが集まってしまったので、未知なる美味と出会うための、すごくいい方法だなと思いました。
ちなみに僕が最近知ってその美味しさにびっくりしたのは、宮城県「日高見の国」の「牡蠣の潮煮」。
なんと、水や塩すら加えず、とれたての牡蠣の中から迸る旨味の「潮」のみで煮込んだ漁師伝統の製法で作られた一品だそうで、
どんな人にも生まれ故郷がある。
もしくは、旅先で出会った思い出深いその土地の味がある。
何より、日本の全国各地には、その土地ならではの食材、郷土料理が溢れている。
いろいろな人に「あなたの大好きな物産品を教えてください」と聞いてみたら、未体験の美味に出会えるんじゃないか?
そんなアンケートをもとに、東京で物産館をあちこちめぐり、買い集めてきたものたちをレポートします。
出だしから宣伝になってしまって面目ないのですが、7/10に「ほろ酔い!物産館ツアーズ」という、僕の新しい漫画単行本が発売されます。
少年画報社の「ヤングコミック」という漫画雑誌の1年半に渡る連載をまとめたもので、東京にある日本全国の物産館を巡り、毎回3000円の軍資金でお酒とおつまみを買って、ひたすら飲み食いするという内容。
そんなお仕事をしばらくやらせてもらっていたので、全国各地にお気に入りの物産品が日に日に増えていきました。
東京に生まれ、のほほんと生活していただけでは決して出会うことのなかった、珍しくて美味しいその土地ならではの味。
もちろん、現地に行って新鮮なものを食べればもっと感動は大きいのかもしれませんが、そういう疑似体験が気軽に味わえる物産館って、ものすご〜く楽しい場所なんですよね。
そこで僕は考えました。
いろいろな知り合いに、その人が個人的に大好きだったり思い入れのある物産品を教えてもらうことが、新しい美味との出会いの近道になるのでは? と。
そこで試しに数人に聞いてみたところ、こういうのって語りがいのあるジャンルなんですよね。
魅力的な物産品情報が、集まる集まる!
今回はその中から、僕が都内の物産館などを回って発見できた商品たちを実際に買って味わってみました。
推薦者:デイリーポータルZ 古賀さん
推薦コメント:
宮城の温麺、ほどよいしょっぱさとツルツル感でめったうまなんですよ。
短くて鍋に入りやすいのも良いんです。
とくにここのメーカーのがオススメなんですが、パッケージも泣ける可愛さで。
まずは担当編集の古賀さんのおすすめから。
宮城の温麺、いきなり知らない! 読みかたすらもわからない。
というわけで調べてみたところ、宮城県白石市名産の、そうめん的な麺のこと。
油を使わずに作るので胃に優しく消化に良いのが特徴で、読みかたは「うーめん」だそうです。
「短くて鍋に入りやすいのも良い」とのことでしたが、確かに長さが一般的なそうめんの半分くらい。
そのぶん束が太く、なんだかずんぐりむっくりしていてかわいらしいですね。
いきなりおすすめドンピシャな商品がなくてすみません。
上が古賀さんオススメのメーカー「はたけなか製麺」のものなのですが、オーソドックスなものがなくて、あかもくという海藻入り。
下は「きちみ製麺」の、くるみだれ付き湯麺。
まずはきちみ製麺のオーソドックスなほう。
ツルツルとのどごしよく、そして確かに優しい味わいで美味しいです。
はたけなか製麺のほうは、きちみのものと比べるとかなりプリプリとしたコシが印象的。
ここが古賀さんのお気に入りポイントなのかもな。
けっこうしっかりと香る海藻の香りも、体にいいものを食べてる感を盛り上げてくれます。
はたけなかのオーソドックス、こんど見かけたら必ず買ってみよっと。
推薦者:山口さん(編集者)
推薦コメント:
宮城の「白謙」の笹かま! ちょい高めですが、これは本当にうまいす!
同じく宮城のアイテムをおすすめしてくれたのは、お酒系のお仕事で長くお世話になっている編集者さん。
「ちょい高め」といっても、1枚200円程度でした。
お皿に出してみたところ、まずでっかい。
そして箸で持ち上げただけでわかる活きのいい弾力感。
じっくり味わってみると、今まで食べた笹かまでは味わったことのない、きめ細やかな身のもっちり感が衝撃的!
それからなんていうんでしょうか、良い地酒を飲んだ時のような、甘くて高貴な香りがふわり漂う気がします。
うおー、うまい!
教えてもらえなかったら人生でたどり着けていたかな〜、この笹かまに。
バンド「絶対忘れるな」でラッパーとして活動するセルラ伊藤さんからのおすすめ。
池袋の宮城物産館へ行ったついでに、いろいろありそうな「成城石井」にも寄ってみたら見つけました。
生乳を70%も使用し、他にはコーヒーと糖分しか加えていないというコーヒー牛乳。
甘み濃厚なんですが、余計なものが入っていないシンプルな素材の味! って感じでとても美味しい。
頭を使う仕事でヘトヘトになったあとに飲んだら、めちゃくちゃ癒されるだろうな〜。
コメントが秀逸すぎることのほうに情報が持っていかれてしまいますが、バブリーアイドル「ベッド・イン」のちゃんまいさんのお気に入りがこちら。
北海道のカズノコ屋さんが開発した、燻製カズノコとチーズを組み合わせた新感覚おつまみだそうで、口に入れるとスモーキーさとチーズのコクが相まってどうしたってお酒が欲しくなってしまう味。
それに加えて、まったりとしたチーズの食感とカズノコのプチプチ感のバランスが絶妙!
ついつい手を伸ばし、一瞬でなくなっちゃうやつですね、これ。
ちなみにこの日は都内であれこれ物産品を探し回っており、カズチーと一緒に、なんとなく秋田県の物産館で目に付いた、
というお酒をいただいたんですが、ストロング・オブ・ストロングって感じでかっこいいですよね。
さまざまな雑誌などで活躍するフリー編集者の高田さんは、仕事がら出張も多く、グルメ関係の情報にも詳しい。
気軽な気持ちで質問してみたところ、おすすめがバーっと一覧で返信されてきました。すご。
その中のひとつを
で発見。
ちなみにここは、店内で買ったものを飲み食いできる他、揚げたての沖縄天ぷらやオリオンビールの生がいただけるイートイン、
海人ならぬ「カフェ人」!? の居心地が最高で、よく飲みに寄らせてもらってる物産館。
オリオンビールの発泡酒「麦職人」が普通に買えるのも嬉しいんですよね。
売り場のポップに「カレーの付けあわせにも!」と書いてあったので、やってみました。
なんでラーメンどんぶりでカレーを食べているのかに関しては、最近なんでもこれで食べるのにハマってるってだけなのでスルーしてください。
パパイヤキムチ、シャキシャキとした歯ごたえが強く残っていて、白菜キムチともカクテキとも違う新鮮な味わい。
福神漬けは甘みも強いお漬物ですが、こちらは爽やかな酸味がメインなので、夏のカレーにはむしろこっち! って感じでとても良いです。
食と酒と旅を愛する編集者であり、雑誌連載や料理に関する著作も多数の、現代の食のカリスマ!
そんなハナコさんが大プッシュする調味料とあっては、味わわないわけにはいきません。
有楽町駅前にある「東京交通会館」は、全国各地の物産館が10数軒も集まる、物産館好きにとって夢のビル。
もっと小さいのもあったけど、どうせうまいんだろうしと1リットルを購入。
味わいは、めんつゆよりは醤油寄り、醤油よりはめんつゆ寄りな感じで、何より醤油自体の味がものすごく美味しい!
これは確かに、なんにでも合うやつだな〜。
ちょっと見た目が悪いですが、晩酌の時に思い立って、
も、絶妙な仕上がり。
あと今さら告白しますけど、実は白石湯麺を最初にゆでた時、麺をパラパラパラーっとほぐさず、そのままお湯にドボンと落としてしまって、失敗して、
になっちゃったんですよ。
ダマになっちゃったというか。
これ、いちかばちかで、
になりました。
ちくわぶみたいで酒がすすみましたよ。
白石湯麺も味どうらくの里も、ポテンシャルすごい。
先ほども登場した「高田リスト」から、秋田の商品を発見。
いわゆる甘いおやつですね。
これ、持ち上げみてびっくり。
そして、その手触りは、まるで生まれたばかりの赤ちゃんの柔肌のよう。
なかなか衝撃的な質感のお菓子です。
味は、「すあま」ってあるでしょう? あの系統。
ただ食感はあれよりぜんぜん柔らかくて、イメージ的には「生のすあま」って感じ。
すあまがわからなければおしまいな説明ですみません。
もっちりと噛みしめると、ふんわりと甘くバターの香りが漂い、食べ進めるに従ってお餅本来の美味しさが感じられるようになってきて、しみじみと美味しいです。
同じく交通会館内の、博多に特化した物産館。
発酵バターを練り込んだパイ生地の上に、アーモンド粉100%のスポンジ、アクセントにラズベリーソースを加えた人気のお菓子だそう。
その感じだとお酒にも合いそうなので、
まず、アーモンド粉ってどういうものだろう? パサパサしないのかな? ってイメージもあったのですが、しっとりと柔らかく、それでいてアーモンドの風味濃厚で美味しいです。
甘みはかなり強め。
九州の甘いお菓子って容赦なく甘いことが多いんですが、これもその系統。
ただ、しつこさを感じるわけではなく、ベリーソースの酸味が全体の印象を引き締めてます。
お酒にも合う!
関西在住で、スズキナオさんの記事にもよく登場する会社員のヤマコさん。
さまざまなカルチャーに精通しており、関西で飲むときには案内役をお願いしてしまうこともしばしばの、頼れる友人です。
僕の代わりに記事を書いてもらいたいほど説得力満載の推薦コメントも見どころ。
パッケージに「手土産の小窓」なる切り取り線を発見し、なるほど、ここを開けると食べやすいのかな? と思ったら、
の注意書きが。
うんうん、知ってる知ってる、と、ふたを開けると……
いやでも、鶏の唐揚げですからね。
このくらい書いておかいても温めちゃう人がいるんだろうし、そしてそれは本意ではない、そのくらい冷やして食べて美味しい味を追求されているということでしょう。
骨つきの小ぶりな唐揚げが、たっぷりと詰まっています。
両手で持ってかぶりつくと、硬いわけではないけれど、みっしりとした皮に甘辛く味が凝縮されていて、とても美味しいです。
そしてなるほど、確かに熱々よりもしっかりと肉の旨味が感じられるように調整されている気がする。
食べだすと止まらず、これ、夏のビールのお供に最強なんじゃないでしょうか!?
雑誌「レタスクラブ」の編集者さんで、食関連の知識における信頼度は折紙つき。
そんな渋谷さんがおすすめしてくれた故郷の味は、山形県酒田市の伝統食。
納豆に、麹、昆布、塩などを加えた発酵食品だそうです。
いや〜この塩納豆が、めちゃくちゃ美味しい!
普通の納豆と比べ、甘みや深み、さらには気品すらも感じる新境地。
もともと納豆好きというのもありますが、ちょっと感動ものです、これは。
ちなみに豆腐のほうの手前側に乗ってるのは、これも渋谷さんおすすめの「あけがらし」というピリ辛の調味料。
偶然いただきものが家にあったので乗せてみたのですが、こちらも米麹や醤油といった共通点のある素材から作られていて、相性ばっちりでした。
これまた最高におもしろい!
その複雑な妙味は、完全に納豆の未体験ゾーン。
なんかもう、頭の中にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が鳴り響きだすような納豆体験でした。
かけあしで紹介してきましたが、どの商品にも新しい発見や出会いがあった今回の企画。
軽く知人数人に聞いてみただけで、この何倍ものおすすめ商品リストが集まってしまったので、未知なる美味と出会うための、すごくいい方法だなと思いました。
ちなみに僕が最近知ってその美味しさにびっくりしたのは、宮城県「日高見の国」の「牡蠣の潮煮」。
なんと、水や塩すら加えず、とれたての牡蠣の中から迸る旨味の「潮」のみで煮込んだ漁師伝統の製法で作られた一品だそうで、
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