特集 2024年12月24日

高千穂峡のボートを素直に楽しむ

高千穂峡の観光ボートの乗船券をもらった。高千穂峡といえば宮崎県屈指の観光名所で、そこで乗れるボートは王道のレジャーだ。

なんだか照れくさいので、ぼくは宮崎に移住してきてから一度も乗ったことがない。人に勧めたこともない。しかし無料なら話は別である。せっかくなので素直に楽しんでこよう。

 

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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ボート乗り場からはじまります

高千穂峡の写真を雑誌やテレビで見たことがある人も多いだろう。渓谷と滝の景色がいいアレだ。

ね、見たことあるでしょう。この川でボートに乗ることができる

滝がクローズアップされがちだが、実際見に行ってみると水の量や勢いはそこまで凄いというわけでもない。高千穂「峡」というくらいなので渓谷のよさ、とりわけ人工物かのような柱状節理のほうに注目すると通ぶれる。

阿蘇山の火砕流と川の流れがどうにかなって形成された谷。赤で囲んだ部分を柱状節理という。ほぼ鉄板。​鉄板なのかもしれない。

さて、高千穂峡の周囲の遊歩道などを歩いてみたり、おすすめの駐車場を紹介したりと、書けば書けることはあったのだが、撮影日に寝坊してしまったので本題のボート乗り場から話を始めよう。

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30分で4,100円!
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10分遅れるごとに1,000円!金のにおいがする!

世の流れもあるのだろうけど、近年に高千穂峡のボート乗船は倍ほどの大幅な値上げがあり地元住人は軽く引いていた。僕も引いた。

しかし、そんなことはお構いなしにハイシーズンになると人で溢れていて、予約なしでは乗れないほど人気があるのだ。インバウンド需要もかなりあるっぽい。

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4,000円あったら豚こまが何パック買えるかしら……

 

王道・高千穂峡のボートに乗る

遠方から知人友人が訪ねてきてくれるので高千穂峡を年に何度か案内するが、ボート乗船を勧めたことは一度もない。

そのお金でもっと幸せになれる方法がある!熊本でカヌーツアーに参加したほうがいい!などと徹底的にくさすからだ。自分は乗ったこともないのに。酸っぱいカヌーだ。酸っぱいカヌー?

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受付でチケットを見せてボート乗船者しか入れない場所へ。
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いつもは見下ろす川を同じ目線で見る

当然だがボート乗り場は川のすぐそばにあるので、いつもは見下ろしている場所まで降りてくることになる。

今回はじめてここの川を近くで見たが、朝日が反射して綺麗だった。うっかりいいなと思ってしまった。これだけで1,000円分くらいの元が取れる。

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簡単な浮きをつけてもらって早速乗り込みます
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意外と丁寧な説明はなく、流れ作業的に乗船
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出航!

スタッフの目が届く場所までしか行けないとはいえ、漕ぎ方の説明がほぼなかったのには驚いた。けっこう乗る人任せなのだ。

指示といえば「漕ぐ方はこちら側に座ってください(※撮影者と二人で乗っています)」くらい。自分で工夫しながら分かっていくのが好きなので燃える。

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こうかね
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あっ、楽しい!

上からボートの様子を眺めていたときは、こんな狭っ苦しいところでなにが楽しいのかねと思っていたが、漕ぎ出してみると川が広く感じる。景色を差し置いても単純にスポーツとしてのボート漕ぎが面白い。

オールを漕ぐ向きや力の入れ具合でボートが進んだり曲がったり戻ったりする。微調整がうまくいかず壁にぶつかったりもするが、自分のコントロールで川の上を自由自在に動けるのがいい。

普通に景色もいい

これまた困ったことに景色もいいのだ。

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ややこしくてかっこいい
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柱状節理、まじで柱

いつもと違う目線で見る柱状節理がまじで柱だった。きれいででかい。

ボートに乗るのは紅葉シーズンがいいのかとばかり思っていたが、実際のところ目に入るのは岩壁ばかりである。これならいつ来てもよさそうだ。閑散としがちな冬が狙い目かもしれない。

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せっかくなので滝を目指そう

いわゆる高千穂峡の滝、真名井の滝に近づくこともできる。

滝の周りはフォトスポットとして人気で混雑しているので、ここまで培った技術を発揮して他のボートの合間をかいくぐりながら向かおう。

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すぐそばまで行こうぜ
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もうすぐだ
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ヤッター!

普通に達成感がありますよ、これは。乗り場からの距離は数十メートルなのだろうけど、新大陸にたどり着いたかのような喜びがある(没入しやすいタイプです)。

冬なのでしなかったが、ギリギリまで近づくこともできる。同乗者を水しぶきで濡らしてキャーモーヤメテヨー!なんてのも可能だ。キャーモーヤメテヨー!青春ですね。

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時間が余ったので乗り場近くにいた鴨の近くまで行った。お供え物にいいかも。

難なく30分の時間制限内に帰ってこられたが、最後は時間超過の緊張感があってそれはそれで楽しかった。やはり金がかかっていると身の入り方がちがう。ヒリつくぜ。 

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乗り場に戻ってスタッフの方にボートを岸に寄せてもらう
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疲れたな
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なんというか、素直におもしろかった。

「狭いのにボート(スポーツ)として楽しめるのか」と「ボートから見る景色はどうなんだ」という点に懸念を抱いていたが、まったく問題はなかった。30分でもちゃんとボートとして楽しいし、船上から望む景色もほかで見たことがないようなものだ。

ガイドブックに載りまくっている王道の観光を楽しむのもたまにはいい。そもそも観光ルートをいじくって個性を発揮しようとするのも変な話である。意地はっても疲れるだけだろう。

疲れないほうがいいに決まっているのだ。

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その後待ち合わせがうまくいかず、車に置いていかれた。走って追いかけた。
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キャー!
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モー!
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ヤメテヨー!
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