特集 2019年2月20日

ウェルカムマットコレクション

めくるめくマッティング(マットを設置すること)の世界

お店の入口でお客様を迎える店舗用玄関マット、ウェルカムマットを撮り集めている。ためになる知見はほぼ何も無いのだが、なんかいいので紹介したい。

1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

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たたみかけるいらっしゃいませ

お店の軒先で看板やのぼりなんかと共に道ゆく人に注目と来店をうながすメディアがウェルカムマットである。

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いらっしゃいませの向こうで待ちかまえるIPN(イカ・ピザ・ナン)
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段差スロープにもたれかかる、

レンタル・販売サイトなんかを見ると「抜群の注目度!」とかうたっていたりするがそうか?そんな注目するかあれ?そんなでもないだろ、どうなんだとか思っていろいろ見ていたらすっかり注目するようになってしまった。

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このいらっしゃいませは赤・緑の2色がレンタルマット市場などで出回っている。

素朴に「いらっしゃいませ」と書かれたものだけを見ても色や柄、書体や文字位置、そしてくたびれ具合など、見どころが多々塗り込められており、1枚見つけるとまた次の1枚が見たくなる中毒性を秘めている。

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久米島にて。泥落とし力の強そうな樹脂タイプ
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いらっしゃいませの位置が少し下。中華料理店はやはりかなりの確率で赤マットだ。
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上下のもじょもじょしたグラデーションが質感を出している。
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ドアーの開閉をかわしていらっしゃいませ。
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高級感あふれるダイヤカットパターン。清掃用品などのレンタル大手、サニクリーンの商品だ。
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レトロな味わいのあるいらっしゃいませ
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いいマットにはいい店。「Ⅱ」というのがいい。

多様さをほこるWELCOME

マット界のもう一方の雄、ウェルカムだって負けてはいない。負けてはいないと言われても困るだろうが。

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シンプルモデル。ほどよく抑制が効いている。「来たまえ」って感じ。
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交感神経を刺激するパキッとしたイエロー。
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上等な麺類のようなものが優雅に波打っている。前のイエローとこのウェルカムは前出のサニクリーンの取り扱い商品である。

ウェルカムはデザインの切り口が広い。世界の公用語といわれるだけあって、さすがの豊潤さを見せている、見直したぜウェルカム。

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シンプル&モダンにウェルカム。
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石を敷き詰めウェルカム。
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Wをくねらせてウェルカム。
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沖縄の久米島は兼城港ターミナルの大好きな1枚。配色と退色が渋き良きマット。施設から外(つまり島内)に向いているのも島の玄関口たるターミナルの特性があらわれていてただただ素敵というしかない。

既製にとらわれないマット達

フルオーダーでお店の個性を打ち出し、世界観を演出するマットも多数存在する。

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時間に追われて忙しいビジネスマンでもぱっと見て庄やだとわかる、ありがたや。
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魚屋のウェルカムマット、かわいい。
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夜の街のあれ。引っ張り込もうというむき出しの意思がすごい。動く床にすら見えてくる。
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不動産のラブいマット。
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純喫茶、このすすけた味がたまらない。

理美容店のウェルカムマットはハイセンスなものが多い。

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イラストも書体もかわいい。
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植木と自転車を従えて。はさみで切り裂いたような床屋カラーが映える。
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かっこいい、きっと店内にはジェームズ・ディーンのポスターが貼られているに違いない。
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旅情マット

旅先でその土地の風情を感じるマットとの出会いがある。

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徳之島、いっちもーれとは鹿児島弁で「いらっしゃいませ」
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一方でいらっしゃいませもちゃんとある。
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山口県柳井市。おいでませと言われてすなおに入りました。
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沖縄、浜比嘉島の多幸感にまみれたたこ。どこに出してもはずかしくない共喰いキャラである。

あのマットのメーカーも出している

3名のピクトさんがうやうやしく頭を下げるマットを見つけたら要注意だ。

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ふわっとしたパイル地、カラーは赤、青、緑なんかがある。

これはテラモトのプリントデザインマット。

テラモトは家庭の玄関で昔から愛用され、泥よけマットの定番となっているあれのメーカーである。

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ぼろぼろになった写真しか持っていなくて申し訳ないがこういうやつです。製品名「タンポポマット」、ちなみに同様の形状のマットを製造しているメーカーは他にも数社ある。

街でこのマットを見かけたら「おお、あの泥よけマットブランドの!」と知人友人ならびに2親等くらいまでの親族をお誘い合わせの上、お店に立ち寄ってほしい。

味のあるマッティング事例たち

ここ数年の観察で、入口をマットではさみ、来訪者を丁寧にお迎えするサンディングという高等技法の存在も明らかになった。そういえば今まで何の説明もなく突っ走って来たが、マッティングもサンディングも私が勝手に言っているだけである。

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若松へいらっしゃいませ。
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いらっしゃいませつぼ八へ、こちらは倒置法でせめる。
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おもちゃ屋で雑然とたたみかけるサンディング。この勢いに負けてよくわからないポータブル釣りゲームを買ってしまった。こんなんだからちっとも部屋が片付かない。

シャッター前

屋外に敷きっぱなしにしてあるウェルカムマットは閉店時でもシャッターの前で健気にウェルカムメッセージを送っている。

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ウェルカまない。
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ウェルかまないよ!

かぶさり

メンテナンス時はなにかにかぶされがちだ。

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思いっきりハグ
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全身を弛緩させてもたれかかる。

階段下がよい

雑居ビル的な建物の階段下に既製品がマッティングされている様が好きだ。自分が清少納言だったら枕草子は春がどうこう言う前にこの趣(おもむき)から書きはじめていたに違いない。

ほの暗い階段の下で静かに、ミステリアスにウェルカムメッセージを発している。

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自転車に踏みつけられてもびくともしないヘビーデューティーさ、いとをかし。
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なにかへのいらっしゃいませ。むしろ寂寥感を感じる。
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下りもいいけどどっちかといえば父さん上り推しかな。ちなみにこの店は麻婆豆腐がうまかった。
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岡山にて。引いてみても……
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いいではないか。

最後は階段下マッティングシーンのマイベストで締めたい。

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いらっし

スペースに合わせるためとはいえ「こう」折るかという発想に持って行かれ、偶然そこから取り出された「いらっし」というワードの言語感覚にも引き込まれる。さらには先に紹介したあの泥よけマットとのコラボだし、見どころだらけで過呼吸になりそうだ。

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シャコガイのように波打ったふちもいいですね。
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階段の趣もすばらしい。このマッティングにしてこの階段あり。

まとめ

吉田類みたいにいろんな居酒屋をふらりと探方して周囲と打ち解けて楽しい雰囲気を作り出すのは私には到底無理だ。でもウェルカムマットだったらぶらりと訪れられる。私はマットの吉田類になりたい。
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トップ画像の中心に据えたにもかかわらず全然紹介してなかったがめっちゃ長いのあった。
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