特集 2019年3月7日

ラ・ムー、ディオの198円弁当の深遠なる世界

「ラ・ムー」と「ディオ」というスーパーがある。

その2つのスーパーは同じ系列で、僕はほぼ毎日のように弁当を買って食べている。そんなディオとラ・ムーの弁当を記録していたら結構な量になったのでここに紹介したい。

1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

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ラ・ムーとディオとは? 

ラ・ムーといっても菊池桃子が組んでいたバンドの話ではないし、ディオといってもジョジョの奇妙な冒険の話ではない。

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こっちがラ・ムーで、
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こっちがディオ。

2つとも商品が安いディスカウントスーパーだ。

上の写真のディオは西日本豪雨で被害を受けた岡山県倉敷市真備町にある。いち早く再開し復興の助けになっているということで報道されていたことも記憶に新しい。

しかしながら、ラ・ムーとディオを初めて聞いたという人もいるだろう。

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ラ・ムーとディオがある府県を塗るとこんな感じだ。

ラ・ムーとディオは中部以西から福岡県にかけて展開しているスーパーだ。

そのためそれ以外の地域だとあまり馴染みがないかもしれない。しかし僕は従業員さんたちの次によく行っているんじゃないかと思うほどに通いつめている。

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198円弁当の衝撃

さて僕の仕事場から最寄りのラ・ムーとディオは徒歩だと10分弱かかる。それより近くにコンビニもあったので以前はコンビニで弁当を買って済ますことも多かった。

しかしコンビニの弁当も食べ続けると飽きてくる。ある日の昼食時ちょっと足を伸ばしてラ・ムー、ディオに向かう事にした。

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198円チーズハンバーグ弁当。ハンバーグにソースとチーズがかかり、ナポリタンとポテトサラダ、たくあんがついている。ハンバーグは198円の弁当とは思えないほどボリュームがあり濃厚なチーズの風味と相まっておいしい。

この弁当が198円で売られていた。格安弁当にありがちな中身スカスカな感じではない。ご覧の通りのちゃんとした弁当だ。

さらに言えばよくある198円+税ではない。税込で198円なのだ。

弁当を買って百円玉を2枚出すと2円お釣りが返ってくる。平成も終わろうかという時代に、これが商取引として成り立っているのだ。あれ?今僕が買ったの弁当だったよね?と心配になってしまう。

もちろんセールとか見切り品で198円になっているのではなく。いつも198円なのだ。この198円弁当とのファーストコンタクトは衝撃的だった。

そして、それからというもの毎日の様に198円弁当を食べることになる。198円弁当は1種類だけではない。とにかく種類がたくさんあるのだ。

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198円おろしハンバーグ弁当。さきほどのチーズハンバーグとほぼ同じ内容だが、大根おろしソースになっていてよりあっさりと食べられる。チーズハンバーグとは甲乙付けがたいので気分で買い分けた。

ラインナップは常時数種類あり少しずつ変化していく。

ある種の収集癖を持っている人なら分かってもらえると思うが、こういうのはなにやら収集癖を掻き立てられるので食べる度に写真に収めていった。

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198円エビフライ弁当。エビフライの名を冠するが、おかずはエビフライだけではなく、から揚げ、コロッケも付いている。
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メインのおかずの下にはやきそばが敷いてある。

安い弁当でよくあるそばのみのやきそばではなくちゃんと野菜も入っている。繰り返すが198円だぞ。

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同じ種類の弁当でも細かいバージョンに違いが

そして更に収集癖を刺激する事実が分かってきた。

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198円唐揚げ弁当。メインの部分は唐揚げとやきそばになっている。唐揚げはジューシーで大変美味しい。人気があるのかどの店でもいつもよく見かける。

この唐揚げ弁当は個人的にはイチオシだ。他の弁当を食べたとしても、最終的にはこの唐揚げ弁当に行き着く安心感がある。ポテトチップスでいうとうすしおの様な奇をてらわない安定感だ。

これが198円唐揚げ弁当の基本形だ。

店に並んでいるのは99%以上がこの基本系の唐揚げ弁当だが、ごく稀に他のバージョンが並んでいることがある。

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198円唐揚げ弁当(炊き込みごはんバージョン?)。白米と梅干が炊き込みごはんに変っていた。

このように白米と梅干が別のごはんになっている別バージョンが存在する。出現頻度は極めて少ない。たぶん年に1~2回くらい。

しかしながら、こんなにも趣向を凝らしているにも関わらず値段はそのまま198円で売られていた。ここまで来ると商売として成り立っているのか心配になってしまう。

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198円唐揚げ弁当(かしわ飯)。こちらはかしわ(=鶏肉)のご飯に変っている。

こちらのかしわ飯バージョンも売られていたのは1度だけだ。3年くらいほぼ毎日通って1回だ。そのレアリティが分かってもらえると思う。

あとついでに唐揚げ弁当はある時期を境に3つだった唐揚げが4つに増えた。

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198円唐揚げ弁当(舞茸ご飯)。こちらも舞茸ご飯に変わっている。

こちらも一度だけしか見たことがない。

ここまでは肉の弁当が多かったが、肉ばかりではなくて魚を使った弁当もある。

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198円焼きサバ弁当。弁当名に冠している焼きサバの他にもコロッケ、唐揚げ、シュウマイもあり盛りだくさん。やはりやきそばが敷いてある。和風の弁当だからかポテトサラダの代わりに筑前煮も。

焼きサバ弁当はよく見かけるので人気の弁当のようだ。そしてこの焼きサバ弁当もまた極々稀に、飯が違うバージョンも確認できた。

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198円焼きサバ弁当(炊き込みごはんバージョン)。白米と梅干が炊き込みご飯になっている。炊き込みご飯も美味しい。
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198円焼きサバ弁当(グリーンピースご飯バージョン)。
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198円焼きサバ弁当(かしわ飯)。

これらの焼きサバ弁当の別バージョンもやはり値段は変わらず198円だ。元々おかずの数が多くて豪華な焼きサバ弁当なのでダメ押しの一品である。

そして和風があれば中華もある。

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198円中華弁当。揚げ春巻き、串揚げ、肉団子、コロッケがメインでその下にはレタスが敷かれている。

そしてこの中華弁当にも別バージョンが存在していた。

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198円中華弁当(炊き込みご飯バージョン)。

こちらもやはりかなりレアだ。見つけたら必ず押さえておきたい。

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他とは全然違った孤高の198円弁当もある

ここまでの様に、ごはんとポテトサラダ、たくあんに加えてメインのおかずというのが198円弁当の基本のフォーマットだったが、それに準じていないものも存在していた。

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198円のり弁当。のりとおかかが乗っているご飯に、白身フライ、厚焼き玉子、ちくわ天。これまで確認した中で唯一たくあんの位置にきんぴらごぼう。
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店によってもラインナップが異なる

ある日、僕は普段行っているのとは別の店に行くことにした。その店ではそれまで見たことがなかった弁当が売られていた。

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198円筑前煮弁当。メインは筑前煮と厚焼き玉子。和風なのでポテトサラダがなく代わりにほうれん草の胡麻和えになっている。

どこの店でも大まかなラインナップは同じようだが、店によってラインナップが微妙に異なるらしい。198円弁当は本当に奥が深い

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登場しては消えて行く198円弁当

そしてお気に入りの198円弁当はいつまでも食べられる訳ではないことも分かった。新しい198円弁当が登場する一方で消えゆく198円弁当もある。

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てりたまハンバーグ弁当。冒頭のチーズハンバーグ弁当に似ているが目玉焼きと照り焼ソースがかかっている。

このてりたまハンバーグ弁当が登場してからチーズハンバーグ弁当とおろしハンバーグ弁当は姿を消した。それまでエース級の扱いだった2大弁当もついに代替わりを迎える。

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198円かきフライ弁当。基本のフォーメーションを維持しつつ、メインは名前にもなっているかきフライ、イカフライ、シュウマイ、肉団子が勢揃いしている。

かき好きなので好きな弁当だったが一瞬だけ華々しく登場しすぐに姿を消した。

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198円ミックスフライ弁当。揚げ物がメインでアジフライ、白身フライ、鶏ササミフライと並ぶ。基本フォーメーションではたくわんだった場所には揚げ物につけるタルタルソース、ポテトサラダだったにはナポリタン。

新しい198円弁当を見つけたらすぐに買う。そうしないとすぐに買えなくなってしまう。そんな栄枯盛衰もまた198円弁当の魅力なのだ。

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プルコギビーフ弁当。あまからいプルコギビーフでご飯が進む。

このプルコギビーフ弁当も好きだったが短命だった。どこかの店で元気にしてくれていたら嬉しいのだけど。

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198円なすと豚肉の味噌あんかけ弁当。あっさりした豚肉の味噌あんかけがメインを務める。

この弁当も美味しくて他の人にもすすめていたけど最近見ていない。

ラ・ムー、ディオを運営している大黒天物産さんに198円弁当について聞いてきた

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そしてラ・ムーとディオを展開している大黒天物産は岡山県倉敷市に本社がある。

前の道はよく通っていたけど、ここが本社だとは気が付かなかった。

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本社の入口横には大黒様の石像が鎮座している。

社内には大黒様の像がそこかしこに飾られていてとてもありがたい雰囲気だった。

対応してくださったのは業務課の課長の方。198円弁当とラ・ムー、ディオに関する長年の疑問をぶつけてみた。

――まずラ・ムーとディオの名前はそれぞれどういう意味があるのでしょうか?

「ラ・ムーはムー大陸の伝説がありますが、ムー大陸に住んでいる人が豊かな生活をしていることから、商品を安く買っていただく事でお客様にも豊かな生活をしてもらいたいという意味が込められています。ディオはDiscount、Infinity、Offのそれぞれの頭文字をとったものです。」

――ラ・ムーとディオには何か違いがありますか?

 「例外もありますが、同じ敷地内に他の店がある場所ではラ・ムー、敷地内に他に店がなければディオとしています」

――198円で弁当を売るってすごい事ですよね。

「はい。始めた当初は従業員からも驚きの声があがっていました。」

――198円弁当のラインナップはどうやって決めているのでしょうか・

「惣菜だけじゃないのですが、専門の部署があり週に1回提案の会議のなかで話題になった食べ物とかを元に試食をしたりしながら安い価格でどうやって提供できるか検討して決めています」

――198円弁当のなかでも人気の弁当はありますか

「198円唐揚げ弁当は定番で、最近は198円のり弁当もよく売れています」

――198円弁当のラインアップは全国同じでしょうか

「多く仕入れて売ることで安くできるため、どこの店に行っても同じものを同じ価格で売っているのが基本ですが、地域色もありますのでその地域でのみ売っているというものもあります」

――198円弁当はそれぞれのお店で作られているのでしょうか

「岡山県総社市のセントラルキッチンで作っている場合もありますし、各店で作っている場合もあります。」

――見なくなった弁当はもう無くなってしまったのでしょうか

「はい。売れなければどんどんカットしていますね」

――無くなった198円弁当の復活はないのでしょうか

「もしお電話やメールなどでお声が上がれば検討することもあります」

――可能性はあるのですね。本日はありがとうございました。


ここ3年くらいの僕の生活は198円弁当と共にあったので長年の疑問が色々と解決できてとても良かった。これからも新たな気持ちで198円弁当を食べていくことができそうだ。


実はこれだけじゃない

198円弁当に慣れきってしまった僕は、たまにコンビニで弁当を買おうとすると値段が高くて狼狽えてしまうのだ。

なんとラ・ムー、ディオには198円弁当から100円アップしただけの298円弁当というものもある。

これもまたコスパがめちゃくちゃ高いのでまた折を見てご紹介したい。

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298円でとんでもなく豪華なのだ

取材協力:大黒天物産株式会社

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