実はこれだけじゃない
198円弁当に慣れきってしまった僕は、たまにコンビニで弁当を買おうとすると値段が高くて狼狽えてしまうのだ。
なんとラ・ムー、ディオには198円弁当から100円アップしただけの298円弁当というものもある。
これもまたコスパがめちゃくちゃ高いのでまた折を見てご紹介したい。
取材協力:大黒天物産株式会社
「ラ・ムー」と「ディオ」というスーパーがある。
その2つのスーパーは同じ系列で、僕はほぼ毎日のように弁当を買って食べている。そんなディオとラ・ムーの弁当を記録していたら結構な量になったのでここに紹介したい。
ラ・ムーといっても菊池桃子が組んでいたバンドの話ではないし、ディオといってもジョジョの奇妙な冒険の話ではない。
2つとも商品が安いディスカウントスーパーだ。
上の写真のディオは西日本豪雨で被害を受けた岡山県倉敷市真備町にある。いち早く再開し復興の助けになっているということで報道されていたことも記憶に新しい。
しかしながら、ラ・ムーとディオを初めて聞いたという人もいるだろう。
ラ・ムーとディオは中部以西から福岡県にかけて展開しているスーパーだ。
そのためそれ以外の地域だとあまり馴染みがないかもしれない。しかし僕は従業員さんたちの次によく行っているんじゃないかと思うほどに通いつめている。
さて僕の仕事場から最寄りのラ・ムーとディオは徒歩だと10分弱かかる。それより近くにコンビニもあったので以前はコンビニで弁当を買って済ますことも多かった。
しかしコンビニの弁当も食べ続けると飽きてくる。ある日の昼食時ちょっと足を伸ばしてラ・ムー、ディオに向かう事にした。
この弁当が198円で売られていた。格安弁当にありがちな中身スカスカな感じではない。ご覧の通りのちゃんとした弁当だ。
さらに言えばよくある198円+税ではない。税込で198円なのだ。
弁当を買って百円玉を2枚出すと2円お釣りが返ってくる。平成も終わろうかという時代に、これが商取引として成り立っているのだ。あれ?今僕が買ったの弁当だったよね?と心配になってしまう。
もちろんセールとか見切り品で198円になっているのではなく。いつも198円なのだ。この198円弁当とのファーストコンタクトは衝撃的だった。
そして、それからというもの毎日の様に198円弁当を食べることになる。198円弁当は1種類だけではない。とにかく種類がたくさんあるのだ。
ラインナップは常時数種類あり少しずつ変化していく。
ある種の収集癖を持っている人なら分かってもらえると思うが、こういうのはなにやら収集癖を掻き立てられるので食べる度に写真に収めていった。
安い弁当でよくあるそばのみのやきそばではなくちゃんと野菜も入っている。繰り返すが198円だぞ。
そして更に収集癖を刺激する事実が分かってきた。
この唐揚げ弁当は個人的にはイチオシだ。他の弁当を食べたとしても、最終的にはこの唐揚げ弁当に行き着く安心感がある。ポテトチップスでいうとうすしおの様な奇をてらわない安定感だ。
これが198円唐揚げ弁当の基本形だ。
店に並んでいるのは99%以上がこの基本系の唐揚げ弁当だが、ごく稀に他のバージョンが並んでいることがある。
このように白米と梅干が別のごはんになっている別バージョンが存在する。出現頻度は極めて少ない。たぶん年に1~2回くらい。
しかしながら、こんなにも趣向を凝らしているにも関わらず値段はそのまま198円で売られていた。ここまで来ると商売として成り立っているのか心配になってしまう。
こちらのかしわ飯バージョンも売られていたのは1度だけだ。3年くらいほぼ毎日通って1回だ。そのレアリティが分かってもらえると思う。
あとついでに唐揚げ弁当はある時期を境に3つだった唐揚げが4つに増えた。
こちらも一度だけしか見たことがない。
ここまでは肉の弁当が多かったが、肉ばかりではなくて魚を使った弁当もある。
焼きサバ弁当はよく見かけるので人気の弁当のようだ。そしてこの焼きサバ弁当もまた極々稀に、飯が違うバージョンも確認できた。
これらの焼きサバ弁当の別バージョンもやはり値段は変わらず198円だ。元々おかずの数が多くて豪華な焼きサバ弁当なのでダメ押しの一品である。
そして和風があれば中華もある。
そしてこの中華弁当にも別バージョンが存在していた。
こちらもやはりかなりレアだ。見つけたら必ず押さえておきたい。
ここまでの様に、ごはんとポテトサラダ、たくあんに加えてメインのおかずというのが198円弁当の基本のフォーマットだったが、それに準じていないものも存在していた。
ある日、僕は普段行っているのとは別の店に行くことにした。その店ではそれまで見たことがなかった弁当が売られていた。
どこの店でも大まかなラインナップは同じようだが、店によってラインナップが微妙に異なるらしい。198円弁当は本当に奥が深い
そしてお気に入りの198円弁当はいつまでも食べられる訳ではないことも分かった。新しい198円弁当が登場する一方で消えゆく198円弁当もある。
このてりたまハンバーグ弁当が登場してからチーズハンバーグ弁当とおろしハンバーグ弁当は姿を消した。それまでエース級の扱いだった2大弁当もついに代替わりを迎える。
かき好きなので好きな弁当だったが一瞬だけ華々しく登場しすぐに姿を消した。
新しい198円弁当を見つけたらすぐに買う。そうしないとすぐに買えなくなってしまう。そんな栄枯盛衰もまた198円弁当の魅力なのだ。
このプルコギビーフ弁当も好きだったが短命だった。どこかの店で元気にしてくれていたら嬉しいのだけど。
この弁当も美味しくて他の人にもすすめていたけど最近見ていない。
前の道はよく通っていたけど、ここが本社だとは気が付かなかった。
社内には大黒様の像がそこかしこに飾られていてとてもありがたい雰囲気だった。
対応してくださったのは業務課の課長の方。198円弁当とラ・ムー、ディオに関する長年の疑問をぶつけてみた。
――まずラ・ムーとディオの名前はそれぞれどういう意味があるのでしょうか?
「ラ・ムーはムー大陸の伝説がありますが、ムー大陸に住んでいる人が豊かな生活をしていることから、商品を安く買っていただく事でお客様にも豊かな生活をしてもらいたいという意味が込められています。ディオはDiscount、Infinity、Offのそれぞれの頭文字をとったものです。」
――ラ・ムーとディオには何か違いがありますか?
「例外もありますが、同じ敷地内に他の店がある場所ではラ・ムー、敷地内に他に店がなければディオとしています」
――198円で弁当を売るってすごい事ですよね。
「はい。始めた当初は従業員からも驚きの声があがっていました。」
――198円弁当のラインナップはどうやって決めているのでしょうか・
「惣菜だけじゃないのですが、専門の部署があり週に1回提案の会議のなかで話題になった食べ物とかを元に試食をしたりしながら安い価格でどうやって提供できるか検討して決めています」
――198円弁当のなかでも人気の弁当はありますか
「198円唐揚げ弁当は定番で、最近は198円のり弁当もよく売れています」
――198円弁当のラインアップは全国同じでしょうか
「多く仕入れて売ることで安くできるため、どこの店に行っても同じものを同じ価格で売っているのが基本ですが、地域色もありますのでその地域でのみ売っているというものもあります」
――198円弁当はそれぞれのお店で作られているのでしょうか
「岡山県総社市のセントラルキッチンで作っている場合もありますし、各店で作っている場合もあります。」
――見なくなった弁当はもう無くなってしまったのでしょうか
「はい。売れなければどんどんカットしていますね」
――無くなった198円弁当の復活はないのでしょうか
「もしお電話やメールなどでお声が上がれば検討することもあります」
――可能性はあるのですね。本日はありがとうございました。
ここ3年くらいの僕の生活は198円弁当と共にあったので長年の疑問が色々と解決できてとても良かった。これからも新たな気持ちで198円弁当を食べていくことができそうだ。
198円弁当に慣れきってしまった僕は、たまにコンビニで弁当を買おうとすると値段が高くて狼狽えてしまうのだ。
なんとラ・ムー、ディオには198円弁当から100円アップしただけの298円弁当というものもある。
これもまたコスパがめちゃくちゃ高いのでまた折を見てご紹介したい。
取材協力:大黒天物産株式会社
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