特集 2020年12月10日

ニョロニョロした魚が好きです

魚が好きだ。特に、細長くてしなやかな魚が好きだ。要はニョロニョロした魚が好きだ。

ニョロニョロした魚なんて気持ち悪い…なんてことを言う輩もいるが、まことにナンセンス。
まともにニョロと向き合うこともせずに知ったようなことをぬかしてんじゃねえ。

今日はぁ、おまえらにぃ、ニョロニョロの良さぁ、教えっからなぁ。

1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

前の記事:有毒?無毒?深海の怪フグ『ウチワフグ』を食べる(※肝も)

> 個人サイト 平坂寛のフィールドノート

ニョロいはカッコいい

なぜニョロニョロした魚が好きなのか、と問われれば、それはもう「だってカッコいいから」と答えるほかありますまい。

むしろ「だってカッコいいじゃん?」と同意を求めたいくらいである。

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おまえらどうせこういう魚ばっかり「スマート」とか「機能美」とか言ってチヤホヤしてんだろ?…まあ正直、造形としてめちゃくちゃカッコいいよね。なんというか二枚目な感じ。でもニョロニョロだって機能美だかんな?

一般的に、魚類における均整のとれた体型というのはマグロ、サケ、アユ、スズキあたりの「流線型のボディーに背、胸、腹、しり、尾びれがしっかり生えている」ものではないかと思われる。

アンコウやオコゼ、フグのような寸詰まり体型、あるいはヒラメやエイのようなペラペラ横扁平体型、そしてウナギのようなニョロニョロ体型はあくまで異端、「変わった魚」として扱われがちである。

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プクプクした魚

別に当の本人たちからしてみれば人間にどう思われようがどうということはない。
むしろ異様だ奇怪だと一歩引いて接された方が食われる機会も減って都合が良いことだろう。

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ゴツゴツした魚

だが変な体型の魚好き、特にニョロニョロ支持派としては彼らに迷惑がかかることさえ承知の上でその良さを知ってもらいたいのである。

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ペラペラな魚

かつて酒宴の席で「別に女性として見てるわけではないんだけどね?アーティストとしての魅力を知ってほしくてね?」的な論調で某十代女性アイドルを布教してくるおっさんにドン引きしたこともあった。口角に溜まった泡は適宜拭いてほしかった。

そして今、僕は彼と同じことをしている。

たぶん、ほとんどの人には伝わらないだろう。「おっさんが急に自分の趣味を早口で語り出してる…」と思われるだけだろう。

でも、書くよ?載せるよ?写真も。
こうして文字打つキーボードの口角も泡を吹きはじめているよ?

チンアナゴはニョロニョロだからかわいい

ニョロニョロなんてキモい!となどと抜かす連中はまずは彼らのことを思い出してほしい。

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チンアナゴの仲間たち

はい。チンアナゴ。水族館で展示されていれば誰もが足を止めるスーパーアイドル。

そう、かわいい!かわいい!と讃えられる彼らもまた典型的なニョロニョロ体型魚なのだ。

チンアナゴおよびその近縁種であるニシキアナゴたちは長きにわたって魚類界でもトップクラスの人気を誇ってきた。グッズ化もされまくりだ。

果たして流線型ボディーがご自慢のアユさんやスズキさんは「グッズ展開」という人気商売の要で、このニョロニョロどもにどれだけ太刀打ちできているのでしょうね…(笑)。

 

チンアナゴなんて仕草が可愛いだけ、という声も聞こえてくるようだが、彼らの特有の秘技「餌待機あざと漂い背伸び」はニョロニョロ体型であるからこそなし得るパフォーマンスである。

どうだ。チンアナゴのことを一度でもかわいいと思った者はニョロに萌えたというその事実から目を逸らすな。その胸キュンから逃げるな。

というわけで「ニョロニョロ魚=かわいい」という普遍的な事実が証明されたところで、いろんなニョロに目を向けつつ「なぜニョロニョロした魚は魅力的なのか」という哲学的真理に迫ってみよう。

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ウナギの仲間

はい。茶番は終わりです。

ここから本番です。いろんなニョロニョロした魚を捕まえてきたから見てって〜。魚界がいかにニョロバリ(※ニョロニョロバリエーション)豊富かを知って〜。

とりあえずチンアナゴについて触れたので彼らが属す分類群でありニョロニョロの宝庫であるウナギ目の魚から見ていこう。

まずはウナギ科。もっとも知名度が高い正統派ニョロニョロだ。

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ニホンウナギ。養鰻場にて。

世の中には「○○ウナギ」と名のつく魚はたくさん存在している。

しかし、その多くは僕らが蒲焼きにして食べるニホンウナギ(ウナギ目)には属さない他人の空似なのだ。
別に人間が勝手につけた名に正統もニセモノもないのだろうが。

ちなみに日本にはニホンウナギのほか、より大型になるオオウナギとニューギニアウナギの二種が一部の地域に分布する。

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オオウナギ
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ニョロニョロでしかもデカいとか最高だな。

アナゴの仲間

続いてウナギに次ぐ有名どころであるアナゴの仲間を見てみよう。
分類学上はウナギにとても近い魚で、基本的な体型もよく似ている。

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食用としてメジャーなアナゴ。他の種と区別して「マアナゴ(真穴子)」とも。

ウナギもアナゴも筒状の細長くしなやかな体に小さな胸びれが付属する。さらに尾びれと背びれ、尻びれが一枚に繋がって体の後半部分を縁取り、パドル状になっている。

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大型になるダイナンアナゴ。ウナギ類よりもアナゴ類の方が眼の大きなものが多い。

細長く起伏突起の少ない体は「穴子」の名が示すように、遊泳よりむしろ狭い岩の隙間などに身を潜めることに特化した特徴と言える。しかし、ちゃんと立派に鰭を備えているあたりに「泳ぐ」という魚らしい動作も捨てていないことがうかがえる。

実際、ウナギもアナゴもその気になると目にも留まらぬ速さで泳ぐことができる。
さらにニホンウナギに至っては繁殖に際して海なし県の谷川からマリアナ海溝まで長距離遊泳を行うのだから当然のことと言えよう。

ウツボの仲間

ウナギ、アナゴと同じくウナギ目に属す魚といえば、ウツボが彼らに次ぐ有名どころであろう。

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ウツボ

ウツボというと何よりまず「歯がするどい」「危ない」「凶暴」といった尖ったイメージが先行しがちである。

人によっては「海にいる大きくて歯の生えたウナギ」くらいの認識だったりするのかもしれない。

だが、彼らにはウナギやアナゴと大きく異なる点が存在する。

一番わかりやすいのは「ヒレが無い」ことだろう。

正確には一枚に繋がった背びれや尾びれ、尻びれは痕跡的に残っている。しかし膜ではなくひだ状になっており、むしろ胴体の一部とみなしてよい程度の存在感である。

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アセウツボ。ウツボの仲間は意外と種類が多い!
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クモウツボ。かわいかったり綺麗な種類も。

これはウツボたちがウナギやアナゴ以上に岩礁に潜り込んで過ごすことに特化した進化を遂げたことを示す特徴だと言えるだろう。

より「魚離れ」し、「ヘビ化」が進んだとも言えるかもしれない。

一方でスイミングテクはウナギやアナゴより苦手になったようであまり俊敏に泳ぐことはできない。

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漁具に噛みつき自分の体を「結ぶ」ウツボ。実はこれ、ニョロニョロならではの恐ろしい能力。

さらにウツボはニョロニョロっぷりをその強力な歯と顎と組み合わせることで食事や狩り、防衛に際して大いに活用する。

ウツボは獲物あるいはタコなどの外敵に噛みつくと体をひねって自分の体を「結ぶ」。
そこから少しずつ結び目を滑らせて獲物に噛みつく頭部側へずらしていき、結目が解ける瞬間にその衝撃で肉を「もぎ取る」のである。

いわゆる「デスロール」の一種で、ニョロニョロ系の魚はその多くが修得している技であるが、ウツボの場合は特にえげつない。
釣りや魚突きの際にうっかり噛まれないよう注意が必要だ。

「ニョロニョロ」は強力な武器にもなるということか。うーん、なんてカッコいいんだ…。

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ウミヘビの仲間

ウナギ一族(ウナギ目)の中でもさらに「ヘビ化」が進んでいるのがこれらの一群。その名も「ウミヘビ」である。

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シマウミヘビ。後述する爬虫類の方の「ウミヘビ」に擬態している?
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ホタテウミヘビの仲間

さらに、多少の扁平さを保つがゆえに魚らしい雰囲気をその身に残していたウツボと違い、体は円筒状。尾の先まで断面が丸く、それこそ魚というよりヘビの尻尾に近い。

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モンガラドオシというウミヘビ。魚のウミヘビに毒はないが、顎が強いので噛まれれば怪我はする。

ウミヘビ類は砂や泥に穴を掘って潜むことも多いため、余計な出っ張りであるヒレはむしろ邪魔なのだろう。

泳ぎ回ることもないから水を掻く平たい体も不要ということか。より海底を這い回り、なにかの陰隙間に隠れることへ特化した姿と言えそうだ。

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ウナギやアナゴよりも細長〜いものが多い。ニョロニョロの鑑だ。

なお、「ウミヘビ」と名のつく生物には魚類以外にも本当に名前そのまま海に棲むヘビ(爬虫類)もあるのでややこしい。注意が必要だ。

ちなみにこっちのウミヘビはコブラに近縁で有毒である。注意が必要だ。

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爬虫類の方のウミヘビ。縞模様のものが多い。

ホラアナゴの仲間

ウナギの仲間は深海にだっている。しかもシギウナギやら、フサアナゴやら、フウセンウナギやら意外と多彩だ。

その中でも特にポピュラー(?)なのが食用にもなっているホラアナゴの仲間だろう。

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水深1000mの深海から釣り上げられたホラアナゴの仲間。同じニョロニョロでもどことなく深海魚っぽさが漂う。

ギンポの仲間

ニョロニョロはウナギとその眷族だけに許された専売特許ではない。

たとえば江戸前天ぷらのタネとして知られるギンポの仲間にもニョロニョロしたものは多い。

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ナガヅカ
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オオカミウオ

有名なオオカミウオもギンポの仲間である。

オオカミウオは頭部の迫力がありすぎてあまりニョロニョロ感が無いが、頭から下に着目するとやはりニョロい。日本最強のニョロニョロだろう。

ドジョウ

おっと忘れてはいけない。ドジョウもニョロニョロだ。

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ドジョウ

川魚界のニョロ担当としてはウナギに並ぶ知名度と存在感。

しかし、よくよく見てみるとそれぞれのヒレが独立しているし、体もそこまで長くない。ウナギに比べるとまだまだ魚らしい、いわゆる「均整のとれた」魚体である。

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なぜ彼らはニョロニョロになったのか

という具合に、ウナギ類に限らずニョロニョロした魚はたくさん存在しているのだ。

ではここらで彼らが「ニョロニョロしている理由」について書いておきたい。
なにも彼らは伊達や酔狂でニョロっているわけではない。

よくニョロニョロした魚を「ヘビみたい」と表す場面に遭遇するが、これはある意味で的を射たものと言える。

ヘビというのはザックリ説明するならば、もともと四足を持つトカゲのような爬虫類が「なにかの隙間や地面に潜り込む」「茂った藪を這い回る」といった生活様式に特化するため、ものに引っかかってしまう四足を進化の過程で捨て、進行時の抵抗や減らしたり蛇行能力を得たりするために体を細く伸ばした姿である。

ニョロニョロした魚もこれに同じく、「潜る」「這う」という生活様式にマッチする体に進化した結果の姿なのだ。

あらゆるグループの魚類に同じようなニョロニョロウナギ体型が見られることからも、この姿がある種の「完成形」であることが見てとれる。
これって…機能美そのものでしょうよ。

じゃあもっといろんなニョロニョロも見てみよう!

タウナギ

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タウナギ

タウナギの仲間は名前にウナギとつくが分類の上ではウナギには縁遠い。

タウナギは一切のヒレを持たない、魚ばなれした「究極のニョロニョロ」の一角である。いいニョロ出してる魚だ。

トゲウナギ

 

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タイとミャンマーの国境付近で捕まえた綺麗なトゲウナギ。

タウナギにやや近縁とされるトゲウナギ(スパイニーイールとも)の仲間も良ニョロ。

東南アジアからアフリカにかけて分布する彼らは名前のとおり背びれにトゲがあり、顔つきも独特。

一風変わった趣向を感じるオンリーワンなニョロニョロである。

ハイギョ

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アフリカ産のハイギョ。巻貝とかを食べるので顎の力が強い。噛まれるとヤバいやつが多いのもニョロニョロ魚の特徴。

空気呼吸ができることで知られるハイギョもニョロニョロ系のものが多い。アフリカ産、南米産のものは手足のように伸びたヒレもニョロニョロ。

ちなみに大昔からその姿や体内の構造を変えていないので「生きた化石」とも呼ばれる。

ワラスボ

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ワラスボ。福岡県柳川の鮮魚店にて。

ハゼの仲間のワラスボ(当サイトでもかつて特集されてます)もニョロニョロ。

顔つきがエイリアンっぽいということでよく話題になるが、泥に穴を掘って暮らす習性ゆえのニョロさも素晴らしい。

 

…どうだろう。

いろんなニョロニョロを見てみると、同じような体型ながらもそれぞれに個性を持っていることがわかるはずだ。

「あ、なんかニョロニョロの魅力もわからんでもないかも…」と思い始めてくれた方もいるのではないだろうか。

まぁ、そう思えなくても何の損もないし一向に構わないのだが…。

ベストオブニョロニョロ

ではこの辺で「ニョロニョロ、良い!もっと見たい!」と思ってくれた方に向けて、個人的ベストニョロたちを紹介したい。

カッコいいニョロ部門 : ファイヤーイール

まずはカッコいいニョロニョロとして紹介したいのはこちら。

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ファイヤーイール(ファイヤースパイニーイールとも)

東南アジアに分布するトゲウナギの一種で、真っ黒な体に赤い模様が走る。

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キレイでかっこいいのに写真じゃあんまり伝わらないんだよね〜。このよさ!

この派手なカラーリングに加えて最大で1.5メートルにもなるというご立派ぶり。

ほかにもドンキの店先水槽によくいるニセゴイシウツボあたりも推したいところだが、唯一無二の存在感を買ってベストカッコニョロい魚に選出した。

美ニョロ部門 : ハナヒゲウツボ

さきほどのファイヤーイールでお察しのとおり、ニョロニョロはイロモノばかりではない。美麗なものだって存在する。

ニョロくて美しい魚といえば、やはり黄色と青のコントラストが印象的なハナヒゲウツボは外せないだろう。…と書きながら気づいたのだが、手持ちの写真がないので「あつまれどうぶつの森」のプレイ画面で勘弁してほしい。

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ゲーム化されるほどメジャー!
(『あつまれ どうぶつの森』Nintendo Switch 用ソフト(発売元:任天堂) ※画面はゲームよりキャプチャし筆者が一部加工したものです。 (C) 2020 Nintendo)

天下の任天堂でさえ、あの「あつ森」でさえ一目を置く美しさというわけだ。

ちなみに、幼魚の頃は青い部分が真っ黒でまた違った美しさがある。ぜひ画像検索をして写真でその姿を堪能してほしい。

特殊能力ニョロ部門 : デンキウナギ

驚異的な能力を持っているニョロニョロもいる。かの有名なデンキウナギである。

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真似したらアカン

デンキウナギはその長〜いボディーの大半に発電器官を詰め込んでおり強烈な電撃を放つことができる。

ある意味、大量の電池を直列でつなぎまくるスペースとしてニョロニョロボディーを手に入れたという面もあるだろう。

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シルエットはスタンダードなニョロニョロなのだが…

ニョロニョロたちの、いや魚類全体の多様性と懐深さを感じさせてくれるデンジャラス・ニョロニョロだ。

美味ニョロ部門:ニホンウナギ

そして、味という観点から見ればやはり日本ウナギの頂点は揺るがないだろう。ホントうまい。

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ほんっとうまい。(値段はともかく心情的には)気兼ねなく食べられたあの頃が懐かしい。

こいつの蒲焼きがおいしすぎるせいで、「ニョロニョロした魚は蒲焼きにすれば食える」という偏見を持つ者もいるが、実際のところ蒲焼きにしておいしいニョロは日本ではニホンウナギとせいぜいマアナゴくらいのものである。

残念ながら今では絶滅危惧種に指定されてしまい、心情的にも気軽に食べられない存在になってしまったニホンウナギだが、また気兼ねなく食べられるようになる日がいつか来てくれるよう願うばかりだ。

この魚のおかげでニョロニョロ魚全体のイメージがだいぶ底上げされている部分もあるだろう。やはりニョロ界の花形は彼らをおいて他にいまい。

惜しい!ややニョロ編

さて最後にちょいニョロ、ややニョロ、半端ニョロたちの話を。

世の中が白か黒かではないように、魚体だって並かニョロかでは分けきれない。

中にはニョロニョロと言い切れる一歩手前、あるいは体の一部だけニョロニョロといった「ややニョロ」も存在するのだ。

ラブカ

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ラブカ!

たとえば深海性の古代鮫と言われる「ラブカ」もかなりニョロニョロである。

そのニョロっぷりから「ウナギザメ」という異名もあるほどである。

この体はどこかに潜り込むものなのか、あるいはヒレを小さくすることでエサの少ない深海での省エネ生活を実現するためのものなのか…。彼らの深海での暮らしを直接見る機会はないが、妄想が膨らむ。

タチウオとかリュウグウノツカイとか

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オキナワオオタチと呼ばれる南方系の大型タチウオ
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サケガシラ。リュウグウノツカイの仲間。

そしてタチウオやらサケガシラやらリュウグウノツカイといった、銀色で細長いやつら。

こいつらはニョロニョロというよりピラピラ系だ。ロープじゃなくてリボン。これは似ているようでだいぶ違うのだ。

彼らは何かに身を寄り添わせたり、まさか岩の隙間に潜ったりなんてことはきっとしない。

こちらは垂直方向への移動とホバリングを突き詰めた結果の体型だったりするのではないだろうか?
ニョロニョロに限らず、どうして進化の過程でその体系に至ったのかを想像するのもまた楽しい。

ナマズ類

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ヒレナマズの一種

ナマズの仲間にもニョロっとした体型のものが多い。

しかし、たいてい頭が大きく、ウナギやウツボに比べるとニョロ感にやや欠ける。非常に惜しいが、これはこれで頭でっかち+下半身ニョロニョロの組み合わせが実に美味しい。アンバランスの妙もまたいいものだ。

ソコダラ

半身だけニョロニョロといえば、ソコダラという深海魚も該当する

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ソコダラの一種、イバラヒゲ。

これはエサが十分でない深海でエネルギーを節約するためだろうか、立派な上半身に対して下半身がヒョロヒョロである。

ウナギというよりはオタマジャクシ的な体型だ。

そもそも魚じゃないニョロ

そういえばタウナギしかりトゲウナギしかり、ニョロニョロした魚にはウナギと縁遠くとも「○○ウナギ」なる名をあてられているものが多い。

その中に「ヌタウナギ」というものがいるのだが…。

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ヌタウナギ

これは体型こそウナギっぽいが、ウナギの仲間ではない。

というか、そもそも魚ですらない。魚類ではなく、「無顎類」というグループに属すニョロニョロ生物なのである。

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口元を見れば魚でないのは一目瞭然。
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ヌタウナギは身に危険が迫ると大量の粘液を生成して身を守ることで知られる。ニョロニョロでヌメヌメとか最強だな(?)

 

ウナギっぽいけど魚じゃないといえばこの辺も。

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アンフューマ

アメリカに分布するアンフューマというニョロニョロ生物だが、これは一見するとウナギっぽいが実はイモリやサンショウウオに近い両生類である。

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ヒレではなくかわいいおててが!

その証拠によ〜〜く見るとちっちゃいちっちゃい脚が生えているのだ。

ヌタウナギもアンフューマも魚ではないが、ニョロニョロしているのですごく好き。

というわけでニョロニョロフィッシュ一歩手前の魚(?)たちを紹介してみた。半端といえば半端かもしれないが、絶妙なバランスであるとも言える。

いずれも、彼ら特有の進化の果てにたどり着いた尊い姿なのである。

もはや、魚であるかどうかも些細な問題なのかもしれない。ヌタウナギもアンフューマも素晴らしい。

なんならヘビもミミズもイカしている。好きだ。とある進化の究極形、その一つの形こそがニョロニョロなのである。

ビバ!ニョロニョロ!!


細長いのはいいことだ

…なんか自分で書いていてほとんど怪文書になってしまった感がすさまじい。

でも考えてみてほしい。ヘビや龍がモチーフの装飾やデザインは世界中に見られるだろう。人間はああいうニョロニョロした生物に何か特別な感情を覚えるのだ。そういうものなのだ。そういうことにしとこう。な?

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次は逆に突出部分が多い魚を特集しようかしらん。
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