うわさの始まりは兄からだった
僕の兄は東京の西部に住み、本の保管専用のアパートを契約しているという本好きガチ勢なのだが、その兄がつくば市に住む僕にこんなうわさを伝えてきた。
「うちの近所に『コーチャンフォー』っていう、めちゃくちゃ最高の本屋があるんだが、それがつくばにも出店するぞ」と。
「最高」まで言い切っている。
何がそんなに最高なのか、さらに聞いてみたところ、この返事だった。
あの兄の心を震わせるとは、なかなかにすごい。
これは期待できるなと開店の日を待っていたのだが、いざ開店してみると、これが「品揃えの良い本屋」どころではない、想像以上の夢の空間だったのである。
「消失点」が撮れる書店
編集部の林さん・橋田さんを案内しながら取材に行ってきた。
雑貨・文具コーナーの写真は、中央を拡大すると僕が写っている。
撮ったカメラと僕の距離が、フロア長辺の3分の1ぐらいなので、その広さは推し量れるだろうか。
そして喫茶コーナーの奥には編集長の林さんがいる。
この喫茶店、実はおどろきの「ドトールコーヒー」である。
首都圏の駅前で小粋に営業しているイメージのドトールが、ここコーチャンフォーでは好きなだけ広がって大変なことになっている。
ちなみに日本一店舗面積の広いドトールらしい。
なんなら自動演奏するピアノまで置いてある。
どこから見てもホテルのロビーにしか見えない。有機野菜サンドが800円ぐらいするタイプのやつだ。
(注:ジャーマンドックは通常価格です)
林さんは「日本一大きいドトール行ってみたかったんですよ」とうきうきしながら写真に写っていた。
脇道にそれたので、書籍コーナーに戻ろう。
表紙が輝く! 圧倒的な面陳列
僕がコーチャンフォーを好きなところは「面陳列」、つまり表紙を向けて並べる見せ方が基本になっているところだ。
ランキングコーナーはもちろん、新書コーナーや文庫コーナーもリズムの良い面陳列がほどこされていて、本を見ることに負担を感じない。
とにかくさまざまな本が「買ってー、買ってー」と言わんばかりに、こちらに向けて語りかけてくる。
「まず2時間、売り場を見させてください」という約束で取材を始めたのだが、4分の1も回らないうちに1時間以上が過ぎ、橋田さんに「間に合いませんよ!」と尻を叩かれる展開となった。
心を撃ち抜く文具・雑貨コーナー
文具・雑貨コーナーも広い。
広いというか、書籍コーナーと同じくらいの広さなので、店全体としては「本屋」というより「文化系趣味の総合市場」といった感じだ。
全体的に、置いてあるものの趣味がいい。
ハンズとロフトと新宿世界堂のいいところを取り合わせたようなセレクションである。
文化系の人々がなにを欲しがっているか、その心をすっかり知り尽くされている感じがする。
と、盛り上がっているうちに、約束の2時間があっという間に過ぎてしまった。
なぜこんな素敵なものが僕の住むつくばにやってきてくれたのか、恐れ多くも支社長である近藤さんにお話をうかがうことができたので、感動、疑問、悩み、喜怒哀楽の全てをぶつけてみた。